色地獄　〜会津藩士の美少年が男娼に身を落として〜　18禁 BL時代小説【完結】

丸井マロ

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第11章　虐待

６

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「この張り型は、庵治石あじいしで出来ておる」

　庵治石とは、きわめて質の高い花崗岩で、高級石材として建築資材や墓石などに使用されている。

　固く冷たく、重量のある石で作られた張り型。

　そんなものを挿入されたままでいるのは、おとなしく横になっていても苦しいだろうに、お雪は客に命じられるがままに這って動いていた。

「こんな張り型は見たことないだろう」

　客は低く笑った。

「この雌犬は、売れっ子だからと調子に乗り、川上屋ではずいぶん甘やかされていたようなので、儂がしつけなおしてやった。雌犬の分際で、二度と人がましい態度をとらぬようにな」

　そう言いながら、客は鞭の先でお雪の陰嚢を撫でまわし、お雪は冷たい汗を流して震えながら耐えている。

　そのとき──

「旦那様、馬吉うまきちと牛蔵うしぞうです」

　障子の向こうから声がした。

「入れ」

　客が答えると、障子が開いて、二人の男が座敷に入ってきた。

　二人とも大柄な青年だった。

　彼らが近づいてくると、お雪は目に見えて青ざめ、うろたえはじめた。

「お客様」

　佐吉がへらへらと両手を揉んで割り入ってくる。

「うちとしましては、輪姦まわしは御法度でありまして──」

　一人の蔭間を二人以上の客で責めるのは、蔭間の消耗が激しいため、原則的に禁止されている。

「わかっておる、彼らはお雪の躾役だ。その淫売には指一本たりとも触れぬわい」

「へえ、申し訳ございませんです」

　佐吉は卑屈な笑みを浮かべて、元いたところに引っ込んだ。

「例のものは？」

　客が男たちに訊ねると、

「もちろん、持ってきました」

　男の一人が風呂敷で包まれた荷物を差し出した。

「見せてみろ」

「へい」

　風呂敷に包まれていたのは長方形の箱で、その中には山芋が入っていた。

　子供の腕ほどの太さがあり、長さは一尺強──およそ三十センチ以上ある。

「ここの女中に頼んで、皮を剥いてもらいました」

　山芋の三分の二の部分は皮が剝かれ、白い表面が見えた。

　客は、それの皮のついた部分に手ぬぐいを巻いて手に持つと、お雪の顔の前に差し出した。

「なにかわかるか？」

　お雪は、これからなにをされるか瞬時に悟った。

　恐怖に目を見開き、のろのろと首を横にふりながら、四つん這いで後ずさる。

　しかし、一人の男が、お雪の襟首をつかんだ。

「その雌犬を、丸裸にして吊るし上げろ」

　客はお雪を顎で指した。

「はっ、かしこまりました」

　男たちはお雪の帯を解き、強く引いた。

　お雪の体は半回転し、畳の上に投げ出される。

　彼らはお雪の腕をつかんで乱暴に引き寄せると、伊達締めや腰ひもを取り払い、長着の衿合わせを一息にはだけ、上半身を露出させた。

　仙千代は、また目を見張った。

　お雪の背中には鞭打たれた痕が痣になって縦横に折り重なって走り、細腰をさらに細く締め上げるように、胸郭の下から腰にかけて麻縄が何重にもきつく食い込んでいたのだ。

　これほど腹部を緊縛されていては、呼吸をするのも苦しいはずだ。

「これの柳腰を、長持ちさせるために縛りあげておる」

　客は自慢するように、鞭の先で、お雪の腰から胸部を撫で上げる。

「こうしていると、少し激しく責めると、すぐに失神してしまうのが難ではあるが……鍛練を重ねれば、この雌犬にも根性がついて、もっと堪えられるようになるだろう」

　お雪は目に涙をためて必死に恐怖に耐えているが、浅い呼吸は早くなり、顔からは完全に血の気が引いて、くちびるにさした紅だけが毒々しいほど赤く見えた。

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