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第11章 虐待

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「お雪」

 客は足でお雪の尻を蹴り、続けるように促した。

 仙千代の尻に、ふたたびお雪の舌が触れた。

 口と舌と唾液で、お雪は仙千代の蕾をほぐしていく。

 仙千代は羞恥と、汚い部分を舌で清められる申し訳なさに頬をほてらせながらも、逃げられぬなら客を満足させるしかないと腹を据えて、お雪の舌が挿入しやすいように、できるだけ力を抜こうとした。

 あまり時間がかかると、また客が怒りの矛先をお雪に向けるのではないかと気が気でなかった。

 舌が菊門の中に入ってくる未知の感覚に、仙千代は時おり意図せず力を入れてしまうこともあったが、お雪の懸命の口技で、舌の半ばまで挿入できるようになった。

 お雪は唾液をすする湿った音を立てながら、両手を仙千代の尻にそえて、規則的に尖らせた舌を出し入れした。

「お雪、指も使ってよいぞ。儂が使いやすいように、その穴を充分に拡げておけ」

「はい、旦那様……」

 お雪は指を舐めて濡らすと、仙千代の菊座に指を加えた。

 ゆっくりと、指は一本から二本、三本と増やされ、指に添わせて舌が抜き差しされる。

「あぁ……」

 お雪の丁寧な奉仕に、仙千代は意図せず、苦痛や不快感によるものではない声がもれた。

 女形として、受け入れる側の苦痛をよくわかっているお雪は、仙千代に痛みを味わわせないように配慮してくれているのがわかった。

 そのお雪は、顔に汗をにじませて、肩で苦し気に息をついている。

 病に罹かっているのか、どこかに怪我をしているのか。

 顔色や呼気から、ただ起きているだけでも辛いのではないかと思われたが、仙千代にはどうすることも出来なかった。

「そろそろ良いだろう、お雪、その穴に張り型を」

「はい、旦那様……」

 お雪は客の近くに這いずって行くと、そこにある漆器の箱を開けた。

 その中に顔を入れ、一本の張り型を口に咥えて、仙千代のところに戻ってきた。

 大きさは平均的な成人男性のものの範囲で、表面はつやつやとしているが、生々しくも筋やカリの張り具合が誇張して彫られていた。

 お雪はそれを口に含み、唾液を絡ませながら舐めあげていく。

 そうやって充分に濡らすと、お雪はそれの先を、仙千代の蕾に押し当てた。

 仙千代の肉体が緊張したのを受けて、もう片方の手でやさしく背中を撫でて、くつろぐように促す。

 お雪は、菊座のくちびると張り型の境目を舌で舐め、さらに唾液で濡らした。

 お雪の、仙千代の苦痛を少しでも軽減しようとする配慮を感じて、仙千代は深くゆっくりと呼吸をするよう心がけた。

 息をつめると、腹に力が入り、後門がきつく締まってしまうためだ。

 張り型の先がめりめりと蕾をこじあけて、入ってくる。

 本来、出すべきところに異物が入ってくるのだから、何回経験しても、その違和感に慣れることはできない。

 しかも、張り型は固く、指や男根のような、しなやかさはない。

 ひたすら固い異物が体内に入ってくる感覚に、仙千代は恐怖を覚えた。
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