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第4章 揚げ屋
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「こっちに来なさい」
男が立ち上がり、座敷の奥にある襖を開ける音がした。
視界を塞がれた仙千代は、佐吉に手を取られて歩いて行く。
奥の部屋は、すでに床が整えられ、もう一人、中年の武士が褥の上で胡坐をかいていたが、仙千代には見えなかった。
「失礼いたします」
佐吉に促されるまま、仙千代は布団の手前に座った。
「殿、かなりの上玉でございます。きっとお気に召されるかと存じます」
背後から、若い男の声がした。
「後ろ手に縛れ」
見知らぬ男の声。
「はっ」
ふいに仙千代は腕をつかまれて背中にまわされると、手拭いのようなもので手首を縛られた。
「佐吉……?」
仙千代は両手の自由を奪われて、不安のあまり声を漏らすが、
「しっ」
佐吉に黙っているように促された。
顔も知らない客が、仙千代の隣に来た。
仙千代は目隠しをされているせいで、視覚以外の感覚は研ぎ澄まされていた。
客の鼻息を、首に感じる。
なにをされるのだろうと考えていると、客は右手を衿元から差し入れ、長襦袢の上から左の乳首に触れた。
「痛っ!」
仙千代は反射的に身をよじった。
「軽く触れただけだぞ?」
「乳首が腫れてるんです」
佐吉が助け船をだした。
「乳首が腫れてる?」
客は仙千代の長着と長襦袢を大きくはだけ、裸の胸元を露出させた。
「ほう……まことに赤く腫れておる」
客は右手の人差し指を舐めて唾をつけると、指先で乳首をなでた。
「……ッ!」
またしても、仙千代は痛みのため、反射的に身をよじる。
しかし、客は左手で仙千代の肩を強く抱き寄せ、腫れた乳首を摘まんだ。
「動くと、もっと痛い思いをするぞ?」
痛みに体を強張らせる仙千代の耳に、客はささやいた。
男が立ち上がり、座敷の奥にある襖を開ける音がした。
視界を塞がれた仙千代は、佐吉に手を取られて歩いて行く。
奥の部屋は、すでに床が整えられ、もう一人、中年の武士が褥の上で胡坐をかいていたが、仙千代には見えなかった。
「失礼いたします」
佐吉に促されるまま、仙千代は布団の手前に座った。
「殿、かなりの上玉でございます。きっとお気に召されるかと存じます」
背後から、若い男の声がした。
「後ろ手に縛れ」
見知らぬ男の声。
「はっ」
ふいに仙千代は腕をつかまれて背中にまわされると、手拭いのようなもので手首を縛られた。
「佐吉……?」
仙千代は両手の自由を奪われて、不安のあまり声を漏らすが、
「しっ」
佐吉に黙っているように促された。
顔も知らない客が、仙千代の隣に来た。
仙千代は目隠しをされているせいで、視覚以外の感覚は研ぎ澄まされていた。
客の鼻息を、首に感じる。
なにをされるのだろうと考えていると、客は右手を衿元から差し入れ、長襦袢の上から左の乳首に触れた。
「痛っ!」
仙千代は反射的に身をよじった。
「軽く触れただけだぞ?」
「乳首が腫れてるんです」
佐吉が助け船をだした。
「乳首が腫れてる?」
客は仙千代の長着と長襦袢を大きくはだけ、裸の胸元を露出させた。
「ほう……まことに赤く腫れておる」
客は右手の人差し指を舐めて唾をつけると、指先で乳首をなでた。
「……ッ!」
またしても、仙千代は痛みのため、反射的に身をよじる。
しかし、客は左手で仙千代の肩を強く抱き寄せ、腫れた乳首を摘まんだ。
「動くと、もっと痛い思いをするぞ?」
痛みに体を強張らせる仙千代の耳に、客はささやいた。
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