色地獄 〜会津藩士の美少年が男娼に身を落として〜 18禁 BL時代小説【完結】

丸井マロ

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第3章 ちょんの間

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 仙千代が売られた「川上屋」は、基本的に「ちょんの間」である。

 一本の線香に火をつけて燃えつきるまでの間、およそ半刻──現在の時間にすると、約一時間の単位で、蔭間と遊ぶことができた。

 それとは別に、宵から朝までの一晩、あるいは一日という単位で買うこともできたが、蔭間の揚げ代は吉原の高級遊女と同程度であり、非常に金のかかる娯楽であったため、半刻いくらの「ちょんの間」方式で遊ぶ客が多かった。

 川上屋には、十三名の蔭間が在籍していた。

 お昼前には店を開け、客がやってきたら、お茶やお菓子、酒、料理などを提供して接客し、指名が入れば、客と共に二階にある個室に行く。

 もし客が、社会的地位のある者や、大店おおだなの旦那などの裕福な者で、直に蔭間茶屋を訪ねることに抵抗がある場合、客は近隣にある揚げ屋──料理茶屋に行き、そこに蔭間が呼び出されて行くこともあった。

 しかし、蔭間になって間もない仙千代は、まだ揚げ屋に行ったことはなく、もっぱら店の二階で客を取っていた。

 一晩単位で買われたのは最初の夜だけで、二日目からは、昼から深夜まで、一日に何人もの客を取らされた。

 まだ蔭間としての経験に乏しく、客あしらいが不慣れな仙千代に、川上屋の亭主は可能なかぎり、比較的やさしく人のよい客を選んで引き合わせてはいたが、それでも辛いことに変わりはなかった。

 吉原の女郎だって、月のものが来ている間は休みが与えられるというのに、蔭間は一日も休むことは許されなかった。

 毎日毎日、何人もの客に乳首をねぶられているせいで、乳首は赤く腫れて、肌着に触れるだけでも痛い。

 尻はヒリヒリと熱をもって疼き、指を入れられるだけで、焼け火箸を突っ込まれたかのような激痛に襲われる。

 深夜を過ぎて店が閉まり、最後の客を送り出して床についてからも、尻が疼いて眠れなかったり、ようやく眠りについても、少し身動きして乳首が寝衣に擦れるだけで、痛みに起きてしまうこともあった。
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