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ぼっち勇者 〜僕も仲間がほしい!!〜
11話
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「はぁー!気持ちかった~」
「スッキリしたな」
風呂から上がり少しのぼせ気味の2人。それほど極楽だったのだろう。
「いつもは部屋の風呂だが、たまにはこっちに来てもいいな」
「え、お前の部屋にもあったのかよ」
「?当然だ」
僕全裸で走らなくてもよかったじゃんと、ユノンは少し後悔した。
「さ、早く服を着__」
「ユノンさん。さっきはしたない格好でいらっしゃったので代わりの服を……………え?」
「あ……」
ユノンが全裸で走る姿を目撃したネクが、気を使って代わりの服を用意してきてくれた。とても嬉しいことなのだが、タイミングが悪かったとしか言えない。
「………魔王様?」
「ち、違うぞ!!?我が臣下!!!」
「浴槽は魔王様の自室にもありますよね?何故ここに?しかもユノンさんと?」
「いや、これはその……」
「ゼロは僕の体を洗っただけだぞ」
「…………ユノンさんのお体を?」
「おぉいやめろっ!!間違ってないけどやめろっ!!」
ゼロがユノンの口を手で塞ぐが、今更遅い。
ネクの目はもう笑ってなどいなかった。
「魔王様~、お洋服着るの手伝ってあげましょうか~?そしてそのあとすぐに会議室に行きましょうね~」
「くぁwせdrftgyふじこlpッッ!!!!」
「……なんだコイツら」
_____✻✻_____
「~♪」
「…………ただいま……」
ユノンがソファに座って本を読んでいると、かすれて消えそうなくらいの声でゼロが戻ってきた。
「お疲れ!寿命持ってかれた?」
「………10年くらいは………」
「ながッ」
「魔族にとっては短い方だぞ……」
いつものキレのあるツッコミも今はよわよわで、ゼロはそのまま寝室に向かっていった。
「…あ゛~~~………つらい……」
「かなり病んでんな」
「半分はお前のせい」
ベッドに倒れ込むと、ゼロは服も着替えずに目を閉じた。
「おい、僕のベッドだぞ」
「…俺のだ。…ベッド大きいんだから、寝たいなら勝手に寝ろ……」
「……どうしたんだコイツ」
おそらく、半分以上の魔力を吸われたのだろう。また魔力を溜めるには、体を休めなければならない。
「まぁいいや。体もあったかいし、僕も寝よ」
そう言ってユノンも布団に潜り込み、ゼロの隣で横になった。
2人の中に、長い沈黙が流る。そして暫くすると、ゼロの寝息が密かに聞こえてきた。
(……寝たのか?)
ゼロはユノンに背を向けているので、ユノンは彼の背中をつんつんしてみた。
「………ん、ん゛~~~~………」
声を上げたので、ユノンは少し体をビクつかせた。すると、ゼロはユノンと向き合うように体勢を変えた。
「…………すー………」
(……顔近)
もう少し近づけば鼻がくっつきそうだった。
(何だかんだで、ゼロの寝顔見るの初めてだな)
ユノンはゼロより早く寝ているのに、起きたころにはもうゼロは布団を綺麗にしている。
好奇心で、ユノンはゼロの頬を抓ってみた。
「…あがっ……すー……」
「っはは、おもしろ」
思わずユノンは無意識にも笑みが零れていた。
そのうち、彼は眠気が出てきたのか、瞼が重くなった。
(……いい匂い)
先程風呂でいいシャンプーを使ったからか、マバナの優しい香りに2人は包まれる。
ユノンは少し蹲り、ゼロの胸の中で目を閉じた。
(…なんか心地いい。よく眠れるわ…)
勇者と魔王が同じベッドで寝るという、なんとも奇妙な光景。だが、何故かお互いに悪い気は感じなかった。
それは契約上仕方ないことだから。あるいは、心の奥ではもう、互いを信頼しているのかもしれない。
2人は静かに、日の出る時間帯を寝て過ごした。
(………コイツの服硬……)
「スッキリしたな」
風呂から上がり少しのぼせ気味の2人。それほど極楽だったのだろう。
「いつもは部屋の風呂だが、たまにはこっちに来てもいいな」
「え、お前の部屋にもあったのかよ」
「?当然だ」
僕全裸で走らなくてもよかったじゃんと、ユノンは少し後悔した。
「さ、早く服を着__」
「ユノンさん。さっきはしたない格好でいらっしゃったので代わりの服を……………え?」
「あ……」
ユノンが全裸で走る姿を目撃したネクが、気を使って代わりの服を用意してきてくれた。とても嬉しいことなのだが、タイミングが悪かったとしか言えない。
「………魔王様?」
「ち、違うぞ!!?我が臣下!!!」
「浴槽は魔王様の自室にもありますよね?何故ここに?しかもユノンさんと?」
「いや、これはその……」
「ゼロは僕の体を洗っただけだぞ」
「…………ユノンさんのお体を?」
「おぉいやめろっ!!間違ってないけどやめろっ!!」
ゼロがユノンの口を手で塞ぐが、今更遅い。
ネクの目はもう笑ってなどいなかった。
「魔王様~、お洋服着るの手伝ってあげましょうか~?そしてそのあとすぐに会議室に行きましょうね~」
「くぁwせdrftgyふじこlpッッ!!!!」
「……なんだコイツら」
_____✻✻_____
「~♪」
「…………ただいま……」
ユノンがソファに座って本を読んでいると、かすれて消えそうなくらいの声でゼロが戻ってきた。
「お疲れ!寿命持ってかれた?」
「………10年くらいは………」
「ながッ」
「魔族にとっては短い方だぞ……」
いつものキレのあるツッコミも今はよわよわで、ゼロはそのまま寝室に向かっていった。
「…あ゛~~~………つらい……」
「かなり病んでんな」
「半分はお前のせい」
ベッドに倒れ込むと、ゼロは服も着替えずに目を閉じた。
「おい、僕のベッドだぞ」
「…俺のだ。…ベッド大きいんだから、寝たいなら勝手に寝ろ……」
「……どうしたんだコイツ」
おそらく、半分以上の魔力を吸われたのだろう。また魔力を溜めるには、体を休めなければならない。
「まぁいいや。体もあったかいし、僕も寝よ」
そう言ってユノンも布団に潜り込み、ゼロの隣で横になった。
2人の中に、長い沈黙が流る。そして暫くすると、ゼロの寝息が密かに聞こえてきた。
(……寝たのか?)
ゼロはユノンに背を向けているので、ユノンは彼の背中をつんつんしてみた。
「………ん、ん゛~~~~………」
声を上げたので、ユノンは少し体をビクつかせた。すると、ゼロはユノンと向き合うように体勢を変えた。
「…………すー………」
(……顔近)
もう少し近づけば鼻がくっつきそうだった。
(何だかんだで、ゼロの寝顔見るの初めてだな)
ユノンはゼロより早く寝ているのに、起きたころにはもうゼロは布団を綺麗にしている。
好奇心で、ユノンはゼロの頬を抓ってみた。
「…あがっ……すー……」
「っはは、おもしろ」
思わずユノンは無意識にも笑みが零れていた。
そのうち、彼は眠気が出てきたのか、瞼が重くなった。
(……いい匂い)
先程風呂でいいシャンプーを使ったからか、マバナの優しい香りに2人は包まれる。
ユノンは少し蹲り、ゼロの胸の中で目を閉じた。
(…なんか心地いい。よく眠れるわ…)
勇者と魔王が同じベッドで寝るという、なんとも奇妙な光景。だが、何故かお互いに悪い気は感じなかった。
それは契約上仕方ないことだから。あるいは、心の奥ではもう、互いを信頼しているのかもしれない。
2人は静かに、日の出る時間帯を寝て過ごした。
(………コイツの服硬……)
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