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ぼっち勇者 〜僕も仲間がほしい!!〜
9話
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__風呂場
「……ひっろーーーっっ」
新しくなっていた服を脱いで風呂場の扉を開くと、そこには1面お湯の景色が広がっていた。
「…ゼロの寝室もそこそこ広いのに、なんだこれ。無駄にデカすぎだろ…嬉しいけどさ」
ユノンは、幼少期の時でもこんなに大きな風呂に入ったことはなく、いち早く飛び込みたいところだった。
「しかし、僕の体は今汚いからな。次の人を汚れた風呂に入らせるわけにはいかない。先に体を洗おう」
料理と寝ること以外には何故か冷静な判断をして客観的に物事を見ている。
どうやら、この風呂は自分1人には勿体ないと感じたのだろう。
風呂椅子に座って桶で体全体にお湯を流す。
それだけでも気持ちがよかった。
「ふぅ…。さて、石鹸石鹸………ん?」
幼少期と同じように石鹸を使って体を洗おうと手を伸ばしたのだが、それらしいものは見当たらない。代わりに他のものが並べられていた。
「……しゃんぷー?りんす?ぼでぃそーぷ?なんだこれ。…わっ、リンスインシャンプー!?」
見たことの無い謎の液体が並んでいるので、ユノンは目をぐるぐるさせた。
「…な、何が違うというんだ!このヌメヌメしたやつが…!!……な、なにが……ぜ、ゼローーーッッ!!」
混乱状態に陥り、ユノンは次は猛スピードでゼロの部屋へと戻っていった。
_____✻✻_____
__ゼロの部屋
ゼロは机に座って、今日の仕事をこなしていた。
「……えぇと?魔族ネーム、人間美味しいさんから。
『魔王様こん魔族!先日誰かに私の食料が盗まれてしまいました。誰だかわからないけど多分人間なので、なにか人間界に被害を与えてください!!』
………雨でも降らしとくか。『雨』」
_____✻✻_____
__人間界
「わぁ!急に雨が降ってきたぞ!!」
「土砂降りだ!!」
「せっかくのピクニック日和だと思ったのに!」
「野菜がよく育つのぉ」
_____✻✻_____
「これでよし」
着々と仕事を進めていくゼロ。
「次は、魔王ネーム野菜大好きさん。『こん魔族だよ!!魔王様♡最近私の家の野菜が育たなくてイライラしてるので、人間たちの野菜も育ちにくくしてくだたい!』
……腹黒いな野菜大好きさん…。まぁいいか。『晴』」
_____✻✻_____
__人間界
「あ、おい!雨が止んでくぞ!!」
「日が出てきた!!…眩しッッ、暑ッッ!」
「絶好のピクニック日和だわ~!」
「わ、わしの野菜が枯れる~」
_____✻✻_____
「…はぁ、降らしたり止ませたり。まぁ、これで仕事になるんだからいいか」
んーっと大きく伸びをして、一旦休憩に入ろうとする。
その時、ゼロの部屋の扉がノックもなしに勢いよく開いた。
「わあぁぁぁあ!!!」
「ぎゃぁぁあっ!?なッッどうしたユノン………!!?はぁ!!?」
なんの礼儀もなしに入ってきたのは、先程風呂に行ったはずのユノンだった。
しかも彼の姿を見て、ゼロは思わず手で顔を覆い隠してしまった。
「なッッ!!!!なんで全裸なんだッッ!!!?フル○ンじゃねぇかッッ!!!」
「え?わぁ!?エッチッッ!!!」
「エッチはお前だッッ!!!!」
焦りと混乱が生じてか、ユノンは服を着ることを忘れていまっていたようだ。
「あー、どうしよ。……これでいいや」
とりあえずと、ユノンは近くの椅子にかけてあったゼロのものであろう上着を腰に巻いた。
「おい何やってんだ…!!?」
「フル○ンよりはマシだろ」
「…まぁ、確かに…。というか、近いとはいえ全裸でここまで来たのか!?走って!?」
「いや、全裸の自覚なかったからセーフ」
「確実にアウトだッッ!!!」
人として有り得ない行動に、ゼロも目を丸くしてツッコムしかない。
「でも影の薄さのお陰で魔族共は気づいてなかったぞ!!」
「唯一影の薄さで助かった瞬間だな」
自分の短所で救われているユノンが、逆に可哀想に思えてきたゼロ。
こんなにも影の薄さで前向きになれる人など今までいただろうか。
(……魔族でもいないぞ…)
「あ、でも走ってる時にたまたまネクとすれ違ったんだけど。……なんかこう、変態を見るような目してた。…疲れてるんだろうな、きっと……」
「…うん。その目線の先にはお前がいただろうな」
(ネクは魔眼の質がいいからな…)
「もういっそこのまま、ヌード勇者とか始めようかな」
「それはもう犯罪レベルだからやめてくれッ!!!というか!風呂場で何かあったのなら早く言え」
「!そうだった!早く来てくれゼロ!!リンスインシャンプー!!!」
「はあ…!?」
本来の目的を忘れかけていたユノンは、思い出した瞬間にゼロの腕をガシリと掴み、そのまま全速力で風呂場に向かった。
「……ひっろーーーっっ」
新しくなっていた服を脱いで風呂場の扉を開くと、そこには1面お湯の景色が広がっていた。
「…ゼロの寝室もそこそこ広いのに、なんだこれ。無駄にデカすぎだろ…嬉しいけどさ」
ユノンは、幼少期の時でもこんなに大きな風呂に入ったことはなく、いち早く飛び込みたいところだった。
「しかし、僕の体は今汚いからな。次の人を汚れた風呂に入らせるわけにはいかない。先に体を洗おう」
料理と寝ること以外には何故か冷静な判断をして客観的に物事を見ている。
どうやら、この風呂は自分1人には勿体ないと感じたのだろう。
風呂椅子に座って桶で体全体にお湯を流す。
それだけでも気持ちがよかった。
「ふぅ…。さて、石鹸石鹸………ん?」
幼少期と同じように石鹸を使って体を洗おうと手を伸ばしたのだが、それらしいものは見当たらない。代わりに他のものが並べられていた。
「……しゃんぷー?りんす?ぼでぃそーぷ?なんだこれ。…わっ、リンスインシャンプー!?」
見たことの無い謎の液体が並んでいるので、ユノンは目をぐるぐるさせた。
「…な、何が違うというんだ!このヌメヌメしたやつが…!!……な、なにが……ぜ、ゼローーーッッ!!」
混乱状態に陥り、ユノンは次は猛スピードでゼロの部屋へと戻っていった。
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__ゼロの部屋
ゼロは机に座って、今日の仕事をこなしていた。
「……えぇと?魔族ネーム、人間美味しいさんから。
『魔王様こん魔族!先日誰かに私の食料が盗まれてしまいました。誰だかわからないけど多分人間なので、なにか人間界に被害を与えてください!!』
………雨でも降らしとくか。『雨』」
_____✻✻_____
__人間界
「わぁ!急に雨が降ってきたぞ!!」
「土砂降りだ!!」
「せっかくのピクニック日和だと思ったのに!」
「野菜がよく育つのぉ」
_____✻✻_____
「これでよし」
着々と仕事を進めていくゼロ。
「次は、魔王ネーム野菜大好きさん。『こん魔族だよ!!魔王様♡最近私の家の野菜が育たなくてイライラしてるので、人間たちの野菜も育ちにくくしてくだたい!』
……腹黒いな野菜大好きさん…。まぁいいか。『晴』」
_____✻✻_____
__人間界
「あ、おい!雨が止んでくぞ!!」
「日が出てきた!!…眩しッッ、暑ッッ!」
「絶好のピクニック日和だわ~!」
「わ、わしの野菜が枯れる~」
_____✻✻_____
「…はぁ、降らしたり止ませたり。まぁ、これで仕事になるんだからいいか」
んーっと大きく伸びをして、一旦休憩に入ろうとする。
その時、ゼロの部屋の扉がノックもなしに勢いよく開いた。
「わあぁぁぁあ!!!」
「ぎゃぁぁあっ!?なッッどうしたユノン………!!?はぁ!!?」
なんの礼儀もなしに入ってきたのは、先程風呂に行ったはずのユノンだった。
しかも彼の姿を見て、ゼロは思わず手で顔を覆い隠してしまった。
「なッッ!!!!なんで全裸なんだッッ!!!?フル○ンじゃねぇかッッ!!!」
「え?わぁ!?エッチッッ!!!」
「エッチはお前だッッ!!!!」
焦りと混乱が生じてか、ユノンは服を着ることを忘れていまっていたようだ。
「あー、どうしよ。……これでいいや」
とりあえずと、ユノンは近くの椅子にかけてあったゼロのものであろう上着を腰に巻いた。
「おい何やってんだ…!!?」
「フル○ンよりはマシだろ」
「…まぁ、確かに…。というか、近いとはいえ全裸でここまで来たのか!?走って!?」
「いや、全裸の自覚なかったからセーフ」
「確実にアウトだッッ!!!」
人として有り得ない行動に、ゼロも目を丸くしてツッコムしかない。
「でも影の薄さのお陰で魔族共は気づいてなかったぞ!!」
「唯一影の薄さで助かった瞬間だな」
自分の短所で救われているユノンが、逆に可哀想に思えてきたゼロ。
こんなにも影の薄さで前向きになれる人など今までいただろうか。
(……魔族でもいないぞ…)
「あ、でも走ってる時にたまたまネクとすれ違ったんだけど。……なんかこう、変態を見るような目してた。…疲れてるんだろうな、きっと……」
「…うん。その目線の先にはお前がいただろうな」
(ネクは魔眼の質がいいからな…)
「もういっそこのまま、ヌード勇者とか始めようかな」
「それはもう犯罪レベルだからやめてくれッ!!!というか!風呂場で何かあったのなら早く言え」
「!そうだった!早く来てくれゼロ!!リンスインシャンプー!!!」
「はあ…!?」
本来の目的を忘れかけていたユノンは、思い出した瞬間にゼロの腕をガシリと掴み、そのまま全速力で風呂場に向かった。
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