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ぼっち勇者 〜僕も仲間がほしい!!〜
4話
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__数日後
「……ん、ん゛~~、ここは、……ハッ!何だこのふかふかなベッドは…!?こんなのいつぶりだ…?」
「ようやく起きたか。勇者よ」
「!?お前は…」
勇者が慣れないベッドから飛び起きると、そのベッドに腰を下ろしていた魔王ゼロが呼びかける。
「回復魔法で睡眠不足も治してやろうと思ったが、人間は普通に寝た方が体にいい」
「……どういう、…ここは…?」
「俺の寝室だ」
「!!!?ぅえ!?寝室!?」
「そうだ」
「あの誰もが無防備状態となる寝る部屋!!?」
「だからそうだと言っている」
相当驚いている勇者。それを見たゼロは、コイツはもう元気だなと結論ずけた。
「わー、やっべー。魔王なんかに寝顔見せちゃったよ。寝顔は彼女できるまで誰にも見せない予定だったのに」
「なんだそのくだらない予定は。元気になったなら、早く俺と戦え」
本来の目的が戦うことなので、ゼロは勇者を起こして初め出会った部屋まで行こうとする。
しかし__
「え、嫌だ」
「………は?」
勇者は立ち上がろうとしなかった。
「何故だ?1番戦いたいと言ってたのはお前だろ。わかったらさっさと行くぞ」
「いや、こんなふかふかなベッドとおさらばするなんてどうかしてる。一生離れないから。てかいい匂いだし」
「え、ありがとう」
「褒めてない」
どうやらゼロのベッドが気に入ってしまったようで離そうとしない。
「…俺を倒してチヤホヤされたいんじゃないのか?」
「……あ、そうだった」
(曖昧な理由だから忘れてるじゃん…)
自分自身でも目的を見失っていた勇者。チヤホヤされたい気持ちもあるが、今は5年間の疲れを、このベッドで回復したい気持ちの方が強かった。天秤にかけるまでもない。
「でもやっぱりここがいいっ!ベッド大好き!!」
「こら!起きろ!!」
ベッドに潜って蹲る勇者。怒りが抑えられなかったゼロは、大声で叱りながら布団を剥がそうとする。
「ッなんて強さだ…!数日寝たからって…!!」
「へへ、僕の握力は68キロだからな。絶対に離さないよ!」
「コイツ!23にしては強い!!」
魔王が全力で引っ張っても布団を離さない。というかもう少しで破れてしまいそうなので、魔王は最終手段を使うことにした。
「『浮』」
「……え?うわあぁあ!!?」
力勝負では敵わないと判断したゼロは、魔法を使って布団と勇者ごと宙に浮かせた。
「はい布団没収」
「か、返せーーッ!!」
驚いて勇者は布団から手を離す。その隙にゼロは空中に浮いた布団だけをこちらに持ってきて、手の中に収めた。
まだ浮いたままワタワタしていた勇者は、魔法を解いてベッドの上に落としてやった。
「あだッッ!…もうー、魔法使うなんて卑怯な!こっちはひ弱な人間様だぞ!!」
「ならさっさと俺と戦って負けて、修行でも行ってきてくださーい」
「くそっ、というかこんなことになったの、全部お前のせいなんだからな魔王!」
「…あ?」
「お前が雑魚モンスターまで強くしたせいで、僕の旅は大変になって今ベッドから降りれないんだ!」
モンスター全てを強くしたのは事実だが、ベッドから降りないのは自分の意思だろうと、魔王はため息を吐く。しかし、もう何を言っても反論される気しかしないので、大人しく肯定しておくことにした。
「はいはい、俺が悪かったよ勇者様ー」
「…わかればいいんだ。ちゃんと責任とってくれよ」
「?……責任?」
勇者に今の言葉の意味を問いただそうとする。
その時__
ぐうぅぅ
「……」
勇者の腹の音が鳴った。
「…えっと、……ご飯をくれ♡」
「………自分で動物狩ってこいッ!!この馬鹿!!!」
怒りが爆発したゼロは、勇者に『寝』の魔法をかけて強制的に眠りにつかせたのだった。
「……ん、ん゛~~、ここは、……ハッ!何だこのふかふかなベッドは…!?こんなのいつぶりだ…?」
「ようやく起きたか。勇者よ」
「!?お前は…」
勇者が慣れないベッドから飛び起きると、そのベッドに腰を下ろしていた魔王ゼロが呼びかける。
「回復魔法で睡眠不足も治してやろうと思ったが、人間は普通に寝た方が体にいい」
「……どういう、…ここは…?」
「俺の寝室だ」
「!!!?ぅえ!?寝室!?」
「そうだ」
「あの誰もが無防備状態となる寝る部屋!!?」
「だからそうだと言っている」
相当驚いている勇者。それを見たゼロは、コイツはもう元気だなと結論ずけた。
「わー、やっべー。魔王なんかに寝顔見せちゃったよ。寝顔は彼女できるまで誰にも見せない予定だったのに」
「なんだそのくだらない予定は。元気になったなら、早く俺と戦え」
本来の目的が戦うことなので、ゼロは勇者を起こして初め出会った部屋まで行こうとする。
しかし__
「え、嫌だ」
「………は?」
勇者は立ち上がろうとしなかった。
「何故だ?1番戦いたいと言ってたのはお前だろ。わかったらさっさと行くぞ」
「いや、こんなふかふかなベッドとおさらばするなんてどうかしてる。一生離れないから。てかいい匂いだし」
「え、ありがとう」
「褒めてない」
どうやらゼロのベッドが気に入ってしまったようで離そうとしない。
「…俺を倒してチヤホヤされたいんじゃないのか?」
「……あ、そうだった」
(曖昧な理由だから忘れてるじゃん…)
自分自身でも目的を見失っていた勇者。チヤホヤされたい気持ちもあるが、今は5年間の疲れを、このベッドで回復したい気持ちの方が強かった。天秤にかけるまでもない。
「でもやっぱりここがいいっ!ベッド大好き!!」
「こら!起きろ!!」
ベッドに潜って蹲る勇者。怒りが抑えられなかったゼロは、大声で叱りながら布団を剥がそうとする。
「ッなんて強さだ…!数日寝たからって…!!」
「へへ、僕の握力は68キロだからな。絶対に離さないよ!」
「コイツ!23にしては強い!!」
魔王が全力で引っ張っても布団を離さない。というかもう少しで破れてしまいそうなので、魔王は最終手段を使うことにした。
「『浮』」
「……え?うわあぁあ!!?」
力勝負では敵わないと判断したゼロは、魔法を使って布団と勇者ごと宙に浮かせた。
「はい布団没収」
「か、返せーーッ!!」
驚いて勇者は布団から手を離す。その隙にゼロは空中に浮いた布団だけをこちらに持ってきて、手の中に収めた。
まだ浮いたままワタワタしていた勇者は、魔法を解いてベッドの上に落としてやった。
「あだッッ!…もうー、魔法使うなんて卑怯な!こっちはひ弱な人間様だぞ!!」
「ならさっさと俺と戦って負けて、修行でも行ってきてくださーい」
「くそっ、というかこんなことになったの、全部お前のせいなんだからな魔王!」
「…あ?」
「お前が雑魚モンスターまで強くしたせいで、僕の旅は大変になって今ベッドから降りれないんだ!」
モンスター全てを強くしたのは事実だが、ベッドから降りないのは自分の意思だろうと、魔王はため息を吐く。しかし、もう何を言っても反論される気しかしないので、大人しく肯定しておくことにした。
「はいはい、俺が悪かったよ勇者様ー」
「…わかればいいんだ。ちゃんと責任とってくれよ」
「?……責任?」
勇者に今の言葉の意味を問いただそうとする。
その時__
ぐうぅぅ
「……」
勇者の腹の音が鳴った。
「…えっと、……ご飯をくれ♡」
「………自分で動物狩ってこいッ!!この馬鹿!!!」
怒りが爆発したゼロは、勇者に『寝』の魔法をかけて強制的に眠りにつかせたのだった。
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