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凡人高校生
9話
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__蓮見家
「……」
部活も無事終わり、自分が住んでいるマンションへ帰ってきた蓮見は、ベットの上で1人、ボーッと天井を眺めていた。窓の外からは、暗闇の中に光る星屑のような電気が部屋を照らしていた。
『大ちゃんの入ってる部活だが、…創造部だ』
「チッ。…あのバカ野郎が」
満の言葉を思い出したと思ったら、いきなりいつもとは違う空気を纏って舌打ちをした。
口調も、あの清々しいイケメン青年はどこへいったのか。どうやら、本来はこのような感じらしい。いわゆる猫かぶりだ。
「うひょー、こっわー」
「ッ!!?」
誰もいない部屋から見知らぬ声が響いた。声のする方へと素早く体を向ける。
すると、ベランダに青年が1人、カーテンを閉め忘れていた窓から蓮見の様子を伺っていた。
初めは驚いていた蓮見だが、顔を見てその感情も失せた。
「…なんだ、あんたかよ。ていうか、不法侵入なんだけど」
「いいじゃないか。近所だろっ」
どうやら、蓮見の知り合いだったみたいだ。知り合いとしては、行動や扱いが雑だったが。
「上からロープ使って降りてくるとか、変人にも程があるよバカ野郎」
鋭い目線を気にすることも無く、青年はさらに笑った顔を見せた。
「何回もバカバカって連呼するの、やめて欲しいな~。年上への礼儀がなってないぞ?」
「あんたに年の差とか、気にしたことないから」
敵視している蓮見を他所に、青年は空いていた窓から部屋へ侵入した。
「おや、そうだったのか。そなたがつい思春期の男の子に見えて、可愛らしくてつい眺めてしまったよ。我も思春期を楽しみたかったものだ」
「おい。そのよく回る舌。引きちぎってもいいんだぞ」
「だからいちいち発言が怖いって。それで~、なにかあったんだろう?この我に話してみてはどうだ」
「あんたに話すことなんかねぇよ」
蓮見は、無意識に声がさらに低くなっていた。そして体勢を起こし、青年と向き合えるようにベットに座った。
「おや、我たちはなんでも話し合える仲ではなかったのか」
「何勘違いしてんだ。気持ちわりぃ」
「いやでも~、そなたが表と裏で性格が全然違うのは、我だけしか知らないぞ。親にも隠してるのにな~」
「ッ、それとこれとは別だ。あと俺がバレたのは、俺からバラしたことじゃない」
「あ~、そうだったね~。確か…」
青年の脳裏に、昔のことが蘇る。
✻✻
「…うん、うん。…あぁ、俺のことは気にしないで。うん、それじゃあ、またね」
誰かと電話し終わった後、爽やかさとは裏腹に、蓮見はスマホの画面を勢いよくタップして布団に投げつけた。
「…チッ。どいつもこいつも自分勝手だな、女は。俺だって好きで一緒にいるわけじゃねぇっての」
「…へぇ~、そなた意外と怖いね~。笑顔で喋ってたときはさらに」
「ッ!誰だッ!!」
声のする方へ目を向けると、知らない青年が窓を開けて部屋に入ってきていた。
「やぁ、こんばんは。昨日この部屋の上の階に引っ越してきた、燈籠だよ。よろしくね~」
「…あんたここ、俺の部屋だぞ」
「ん?それがどうかしたかい、…あぁ。どうやって来たかってことか~。簡単だよ。窓の奥をちゃんと見て」
「……!!」
暗がりの中にあるのは、1本の長いロープが、上の部屋と蓮見の部屋を繋いでいる光景だった。
「そ、ロープを使ったの。簡単だろ~」
「…あんた、何しに来たんだ」
一瞬ぽかんとした燈籠が、首を傾げて答えた。
「…挨拶?」
「ふざけたことを言うな!!」
✻✻
「あのときは、あのまま一気に戦闘モードだったな~。懐かしいね~」
「何がだよ。頻繁にここ来やがって」
「いいじゃないかいいじゃないか~。本当の姿で話せるのは、我だけなんだから。それよりも、何考えてるのか、この我に教えろ」
「……クソ」
諦めたようにため息をついた後、蓮見はゆっくりと話始めた。
「……」
部活も無事終わり、自分が住んでいるマンションへ帰ってきた蓮見は、ベットの上で1人、ボーッと天井を眺めていた。窓の外からは、暗闇の中に光る星屑のような電気が部屋を照らしていた。
『大ちゃんの入ってる部活だが、…創造部だ』
「チッ。…あのバカ野郎が」
満の言葉を思い出したと思ったら、いきなりいつもとは違う空気を纏って舌打ちをした。
口調も、あの清々しいイケメン青年はどこへいったのか。どうやら、本来はこのような感じらしい。いわゆる猫かぶりだ。
「うひょー、こっわー」
「ッ!!?」
誰もいない部屋から見知らぬ声が響いた。声のする方へと素早く体を向ける。
すると、ベランダに青年が1人、カーテンを閉め忘れていた窓から蓮見の様子を伺っていた。
初めは驚いていた蓮見だが、顔を見てその感情も失せた。
「…なんだ、あんたかよ。ていうか、不法侵入なんだけど」
「いいじゃないか。近所だろっ」
どうやら、蓮見の知り合いだったみたいだ。知り合いとしては、行動や扱いが雑だったが。
「上からロープ使って降りてくるとか、変人にも程があるよバカ野郎」
鋭い目線を気にすることも無く、青年はさらに笑った顔を見せた。
「何回もバカバカって連呼するの、やめて欲しいな~。年上への礼儀がなってないぞ?」
「あんたに年の差とか、気にしたことないから」
敵視している蓮見を他所に、青年は空いていた窓から部屋へ侵入した。
「おや、そうだったのか。そなたがつい思春期の男の子に見えて、可愛らしくてつい眺めてしまったよ。我も思春期を楽しみたかったものだ」
「おい。そのよく回る舌。引きちぎってもいいんだぞ」
「だからいちいち発言が怖いって。それで~、なにかあったんだろう?この我に話してみてはどうだ」
「あんたに話すことなんかねぇよ」
蓮見は、無意識に声がさらに低くなっていた。そして体勢を起こし、青年と向き合えるようにベットに座った。
「おや、我たちはなんでも話し合える仲ではなかったのか」
「何勘違いしてんだ。気持ちわりぃ」
「いやでも~、そなたが表と裏で性格が全然違うのは、我だけしか知らないぞ。親にも隠してるのにな~」
「ッ、それとこれとは別だ。あと俺がバレたのは、俺からバラしたことじゃない」
「あ~、そうだったね~。確か…」
青年の脳裏に、昔のことが蘇る。
✻✻
「…うん、うん。…あぁ、俺のことは気にしないで。うん、それじゃあ、またね」
誰かと電話し終わった後、爽やかさとは裏腹に、蓮見はスマホの画面を勢いよくタップして布団に投げつけた。
「…チッ。どいつもこいつも自分勝手だな、女は。俺だって好きで一緒にいるわけじゃねぇっての」
「…へぇ~、そなた意外と怖いね~。笑顔で喋ってたときはさらに」
「ッ!誰だッ!!」
声のする方へ目を向けると、知らない青年が窓を開けて部屋に入ってきていた。
「やぁ、こんばんは。昨日この部屋の上の階に引っ越してきた、燈籠だよ。よろしくね~」
「…あんたここ、俺の部屋だぞ」
「ん?それがどうかしたかい、…あぁ。どうやって来たかってことか~。簡単だよ。窓の奥をちゃんと見て」
「……!!」
暗がりの中にあるのは、1本の長いロープが、上の部屋と蓮見の部屋を繋いでいる光景だった。
「そ、ロープを使ったの。簡単だろ~」
「…あんた、何しに来たんだ」
一瞬ぽかんとした燈籠が、首を傾げて答えた。
「…挨拶?」
「ふざけたことを言うな!!」
✻✻
「あのときは、あのまま一気に戦闘モードだったな~。懐かしいね~」
「何がだよ。頻繁にここ来やがって」
「いいじゃないかいいじゃないか~。本当の姿で話せるのは、我だけなんだから。それよりも、何考えてるのか、この我に教えろ」
「……クソ」
諦めたようにため息をついた後、蓮見はゆっくりと話始めた。
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