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凡人高校生
5話
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「ッはぁ~。外周終わったーー!」
「疲れたね~」
学校の周りを走り終わったバスケ部の満と蓮見は、休憩時間に入っていた。
「俺には全然、蓮見が疲れてるように見えないんだけど」
「はははっ。…あ、そうだ。大の部活わかった?」
乾いた笑いの後、話題に大のことを出す蓮見。満がさっき大に部活を訊いたのは、蓮見の命令だったらしい。
「!あぁ、そうだった。なんか忘れてると思ってたんだよ。…てか、蓮見生徒会なんだし、部活くらいすぐわかるだろ」
「資料探すのめんどくさくて」
「…蓮見はイケメンで爽やかだけど、少しめんどくさがりなんだよなぁ」
蓮見の難点をズバッと指摘する。こういうところでは満は勘がいい。
「でもあれでしょ。ギャップ萌え」
「萌えねぇよ」
水筒を手に取りながら、満は突っ込む。
そして、乾いた喉にスポーツドリンクを流し込んだ。
額についた汗が頬を伝う。それをシャツで拭いて、呼吸を整える。汗を拭く際に、満の鍛え上げられた腹がチラついた。綺麗な腹筋が出来上がっている。
それを視界に捉えた蓮見が、一瞬ピクリと体を震わせたような気がしたが、何事も無かったかのように会話を続けた。
「それで、なんの部活なの?」
「…その前に訊きたいんだけど、それ知ってどうするんだ?」
「…ん~、……秘密♡」
お茶目ににっこりと微笑んでみせた。しかし蓮見からは、何かを隠し持っているというオーラが醸し出ていた。
「うわぁ、でた。自分の都合のいい時だけ出す表面爽やかイケメン顔。女なら誰でも落ちるな」
「…君も落とせたかな?」
じっと満の目を見やる。
「ばっか野郎。そんなんでこの俺を落とせたら、俺は女になってるわ」
「はは、そっちの方が大人しいかもね~」
「なんだと、蓮見」
ぎらりとした目で満が睨んだ。しかし、その瞳には怒りの感情が映っていなかった。冗談交じりの言葉だと予想したからだろう。
「はは、冗談だって。…でも、秘密なのはホント。これは俺個人の問題になっちゃってるんだけど、……ダメ?」
1歩近づいて、捨てられた子犬のような表情をやってみせた。いい顔特有の落とし技だ。
「ッ!…まぁ、そこまで言うんなら、俺も気を利かせて引いといてやる」
「ありがとうごさいますっ」
(…もの凄くちょろい…)
蓮見は心の中で、ホッと息をついた。
「今回だけだぞ。…で、大ちゃんの入ってる部活だが、創造部だ」
「…創造部……」
「どうしたんだ?」
「…!いや、なんでも。ここからは料金発生でーす」
「なんだとッ!…まぁ、男に二言は無い。これ以上は聞かないでおいてやる」
「ありがとうごさいます」
蓮見は嬉しそうに笑った。けど、何かを隠していることは、大体予想出来た。
「よし、そろそろ試合だ。行くぞ蓮見!」
「了解、今日も頑張るぞ~!……」
満はそのことに気づく様子はなく、元気よく体育館へと向かっていった。
「疲れたね~」
学校の周りを走り終わったバスケ部の満と蓮見は、休憩時間に入っていた。
「俺には全然、蓮見が疲れてるように見えないんだけど」
「はははっ。…あ、そうだ。大の部活わかった?」
乾いた笑いの後、話題に大のことを出す蓮見。満がさっき大に部活を訊いたのは、蓮見の命令だったらしい。
「!あぁ、そうだった。なんか忘れてると思ってたんだよ。…てか、蓮見生徒会なんだし、部活くらいすぐわかるだろ」
「資料探すのめんどくさくて」
「…蓮見はイケメンで爽やかだけど、少しめんどくさがりなんだよなぁ」
蓮見の難点をズバッと指摘する。こういうところでは満は勘がいい。
「でもあれでしょ。ギャップ萌え」
「萌えねぇよ」
水筒を手に取りながら、満は突っ込む。
そして、乾いた喉にスポーツドリンクを流し込んだ。
額についた汗が頬を伝う。それをシャツで拭いて、呼吸を整える。汗を拭く際に、満の鍛え上げられた腹がチラついた。綺麗な腹筋が出来上がっている。
それを視界に捉えた蓮見が、一瞬ピクリと体を震わせたような気がしたが、何事も無かったかのように会話を続けた。
「それで、なんの部活なの?」
「…その前に訊きたいんだけど、それ知ってどうするんだ?」
「…ん~、……秘密♡」
お茶目ににっこりと微笑んでみせた。しかし蓮見からは、何かを隠し持っているというオーラが醸し出ていた。
「うわぁ、でた。自分の都合のいい時だけ出す表面爽やかイケメン顔。女なら誰でも落ちるな」
「…君も落とせたかな?」
じっと満の目を見やる。
「ばっか野郎。そんなんでこの俺を落とせたら、俺は女になってるわ」
「はは、そっちの方が大人しいかもね~」
「なんだと、蓮見」
ぎらりとした目で満が睨んだ。しかし、その瞳には怒りの感情が映っていなかった。冗談交じりの言葉だと予想したからだろう。
「はは、冗談だって。…でも、秘密なのはホント。これは俺個人の問題になっちゃってるんだけど、……ダメ?」
1歩近づいて、捨てられた子犬のような表情をやってみせた。いい顔特有の落とし技だ。
「ッ!…まぁ、そこまで言うんなら、俺も気を利かせて引いといてやる」
「ありがとうごさいますっ」
(…もの凄くちょろい…)
蓮見は心の中で、ホッと息をついた。
「今回だけだぞ。…で、大ちゃんの入ってる部活だが、創造部だ」
「…創造部……」
「どうしたんだ?」
「…!いや、なんでも。ここからは料金発生でーす」
「なんだとッ!…まぁ、男に二言は無い。これ以上は聞かないでおいてやる」
「ありがとうごさいます」
蓮見は嬉しそうに笑った。けど、何かを隠していることは、大体予想出来た。
「よし、そろそろ試合だ。行くぞ蓮見!」
「了解、今日も頑張るぞ~!……」
満はそのことに気づく様子はなく、元気よく体育館へと向かっていった。
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