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凡人高校生
2話
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__昼休み
「………」
「何そんなに熱心に読んでるの?」
大が、満の読んでいるものに興味を抱いて、訊いてみた。
「ん~?友達に貰った雑誌」
いつも昼休みになると、誰も来ない屋上に近い階段に座り、2人はそこで昼食を済ましていた。
「………」
「………」
(…いつも舌が回ってる満が、今はマジで喋んない。そんなに面白いのか?)
そう思い大は、チラッと目を逸らし、満が読んでいる雑誌を覗いた。すると、大までもが声を出さず黙った。
「…………」
「…?なんだよ」
「………………エロ雑誌」
「……ダメ…ですかね。やっぱり」
「……アダルトコンテンツです」
大は、胸の前で腕を交差し、バツ印をつくった。
「ダメかァー笑。友達に貰ったやつだし、読まないのもなって。ゴメンな」
苦笑いで満は謝罪した。大はまだムスッとした表情だったが、許してはいるようだ。
大と満の間では、こういう話はほとんどしない為、2人でエロいことを話すのに、少し抵抗があった。
「…こういう奴が好きなの?」
大が満が見ていたページの女性に視線を向ける。その女性はとてもスタイルが良く、胸が平均よりも大きかった。
「ウーン。胸大きい子が好きってわけじゃないな、俺」
「じゃあ、まな板な子でもいいんだ」
「まぁそういう事に、なるのか?
てか、大ちゃんの前で、あんまこういう話しないから、ちと恥ずい」
満は、少し耳が赤くなっていた。そんな満を、大はまじまじと見つめた。
大があまりにも見てくるので、また恥ずかしくなった満は、慌てて大にも話を振った。
「大ちゃんは、どんな子が好きなんだ?」
突然の質問に、しばし考え込んだ大だが、すぐに頭に浮かんだようだ。満に向かって、あっさりと自分の好みを言った。
「元気で明るい子…かな」
「へぇ~、確かにな…って!俺より全然健全な答え言ってくんなよ!!こっちが恥ずかしいわ!」
「うるさい。好みと言ったら好み」
ガミガミ文句を言う満の口を手で抑えた。
そして大は、今の満の質問より更にハードな質問をした。
「満ってさ。女で抜いたこと…ある?」
「……へ?」
唐突な質問すぎて、思考が完全停止した。
だが、次の大の言葉で、満は思考を取り戻す。
「こんなに馬鹿な満が、家ではいやらしいことしてるのか、気になっちゃったな」
「ッはあぁぁあ!?」
驚きすぎて変な声が出てしまった満の返事を、大は犬のように待っていた。
「…そ、そんなこと、普通訊かねぇだろ。もうそんなの忘れたし…」
「忘れた。…やったことはあるんだね」
「あっ、しまッ!」
「ハハハッ」
からかうように笑う大に腹を立てた満が、子供のように怒鳴った。
「どうせ大ちゃんも女子見て抜いてるんだろ!!」
「うん。抜いてるよ。男が女見て抜くのは普通のことだし、生理現象じゃ仕方ないしね」
「!!…ッ…」
なんの恥じらいもなく即答した大に驚き、逆に黙ってしまった。
「……そんなすぐ言われると、こっちが恥ずかしいわ…」
「なにそれかわい笑。まぁ、正確には少し違うけど」
「かわッッ…!…?少し違うってなにが…」
プルルルルル……__
満が問いかけようとした時、大のポケットに入っていたスマホがなった。
「あ、バイトの先輩だ。ゴメン満。ご飯食べてて」
「あ、あぁ。了解」
「ボーッとしてて食べるの忘れんなよ」
「わ、わかってるわ!!」
ニヤッと笑ったあと、大はいつもの無愛想な表情に戻り、階段をそそくさと降りていった。
「…はぁ。なんだよ、大ちゃんは…………」
1人になった満は、さっきの大との会話を思い出していた。
(やっぱり、大ちゃんもあーいうのするんだな。まぁ、そりゃそうか。男子だもんな。
さっき言ってた少し違うって、どういう意味だ?女子の見た目ってことか?)
今の満の顔は、至っていつもと変わらないが、なにか真剣なオーラを放っているように思えた。
(あの雑誌は胸の大きい子だったけど、意外と大ちゃん、尻派…?)
そんなくだらないことを考えていると、電話を終えた大が満の傍に駆け寄り、座った。
「ゴメン、遅くなった。……?どうした?」
「大ちゃんって、尻派?」
「…はい??」
帰ってきて早々にこの質問は、いくら何でもおかしい。
「いやだって、少し違うって言ってたから、見た目の違いかなと。胸が違うんなら尻かと思ってな」
「……はぁ。お前には本当に呆れる。何考えてんのさ。それも違うから」
「じゃあ、なんなんだよ」
ん?と首を傾げた満に、大がまたため息をついた。
「もうこの話はやめ。疲れた。てか、やっぱりご飯食べてないじゃん。次の授業始まるよ」
「あ、そうだった!てか大ちゃんもだろ」
「俺は電話中に食べたから」
「…電話中。怒られるぞ」
「あの人がそんなこと気にするわけないって。今は自分のことを優先しなよ」
「あ、そっか」
満は、購買で買ったパンをむしゃむしゃと乱暴に食い、牛乳で押し流した。
「ップハァ。お腹いっぱい。…てか、お前見た目結構純粋そうなのに。意外」
「印象変わった?笑」
「…かも」
「まぁ、それはこっちのセリフなんだけどね」
(あんまり知りたくなかっし、知られたくなかったわッッ!!)
そんなことを思いながら、階段をたんたんと降りて、教室に戻っていった。大は相変わらず薄っぺらい表情で笑っていた。
「………」
「何そんなに熱心に読んでるの?」
大が、満の読んでいるものに興味を抱いて、訊いてみた。
「ん~?友達に貰った雑誌」
いつも昼休みになると、誰も来ない屋上に近い階段に座り、2人はそこで昼食を済ましていた。
「………」
「………」
(…いつも舌が回ってる満が、今はマジで喋んない。そんなに面白いのか?)
そう思い大は、チラッと目を逸らし、満が読んでいる雑誌を覗いた。すると、大までもが声を出さず黙った。
「…………」
「…?なんだよ」
「………………エロ雑誌」
「……ダメ…ですかね。やっぱり」
「……アダルトコンテンツです」
大は、胸の前で腕を交差し、バツ印をつくった。
「ダメかァー笑。友達に貰ったやつだし、読まないのもなって。ゴメンな」
苦笑いで満は謝罪した。大はまだムスッとした表情だったが、許してはいるようだ。
大と満の間では、こういう話はほとんどしない為、2人でエロいことを話すのに、少し抵抗があった。
「…こういう奴が好きなの?」
大が満が見ていたページの女性に視線を向ける。その女性はとてもスタイルが良く、胸が平均よりも大きかった。
「ウーン。胸大きい子が好きってわけじゃないな、俺」
「じゃあ、まな板な子でもいいんだ」
「まぁそういう事に、なるのか?
てか、大ちゃんの前で、あんまこういう話しないから、ちと恥ずい」
満は、少し耳が赤くなっていた。そんな満を、大はまじまじと見つめた。
大があまりにも見てくるので、また恥ずかしくなった満は、慌てて大にも話を振った。
「大ちゃんは、どんな子が好きなんだ?」
突然の質問に、しばし考え込んだ大だが、すぐに頭に浮かんだようだ。満に向かって、あっさりと自分の好みを言った。
「元気で明るい子…かな」
「へぇ~、確かにな…って!俺より全然健全な答え言ってくんなよ!!こっちが恥ずかしいわ!」
「うるさい。好みと言ったら好み」
ガミガミ文句を言う満の口を手で抑えた。
そして大は、今の満の質問より更にハードな質問をした。
「満ってさ。女で抜いたこと…ある?」
「……へ?」
唐突な質問すぎて、思考が完全停止した。
だが、次の大の言葉で、満は思考を取り戻す。
「こんなに馬鹿な満が、家ではいやらしいことしてるのか、気になっちゃったな」
「ッはあぁぁあ!?」
驚きすぎて変な声が出てしまった満の返事を、大は犬のように待っていた。
「…そ、そんなこと、普通訊かねぇだろ。もうそんなの忘れたし…」
「忘れた。…やったことはあるんだね」
「あっ、しまッ!」
「ハハハッ」
からかうように笑う大に腹を立てた満が、子供のように怒鳴った。
「どうせ大ちゃんも女子見て抜いてるんだろ!!」
「うん。抜いてるよ。男が女見て抜くのは普通のことだし、生理現象じゃ仕方ないしね」
「!!…ッ…」
なんの恥じらいもなく即答した大に驚き、逆に黙ってしまった。
「……そんなすぐ言われると、こっちが恥ずかしいわ…」
「なにそれかわい笑。まぁ、正確には少し違うけど」
「かわッッ…!…?少し違うってなにが…」
プルルルルル……__
満が問いかけようとした時、大のポケットに入っていたスマホがなった。
「あ、バイトの先輩だ。ゴメン満。ご飯食べてて」
「あ、あぁ。了解」
「ボーッとしてて食べるの忘れんなよ」
「わ、わかってるわ!!」
ニヤッと笑ったあと、大はいつもの無愛想な表情に戻り、階段をそそくさと降りていった。
「…はぁ。なんだよ、大ちゃんは…………」
1人になった満は、さっきの大との会話を思い出していた。
(やっぱり、大ちゃんもあーいうのするんだな。まぁ、そりゃそうか。男子だもんな。
さっき言ってた少し違うって、どういう意味だ?女子の見た目ってことか?)
今の満の顔は、至っていつもと変わらないが、なにか真剣なオーラを放っているように思えた。
(あの雑誌は胸の大きい子だったけど、意外と大ちゃん、尻派…?)
そんなくだらないことを考えていると、電話を終えた大が満の傍に駆け寄り、座った。
「ゴメン、遅くなった。……?どうした?」
「大ちゃんって、尻派?」
「…はい??」
帰ってきて早々にこの質問は、いくら何でもおかしい。
「いやだって、少し違うって言ってたから、見た目の違いかなと。胸が違うんなら尻かと思ってな」
「……はぁ。お前には本当に呆れる。何考えてんのさ。それも違うから」
「じゃあ、なんなんだよ」
ん?と首を傾げた満に、大がまたため息をついた。
「もうこの話はやめ。疲れた。てか、やっぱりご飯食べてないじゃん。次の授業始まるよ」
「あ、そうだった!てか大ちゃんもだろ」
「俺は電話中に食べたから」
「…電話中。怒られるぞ」
「あの人がそんなこと気にするわけないって。今は自分のことを優先しなよ」
「あ、そっか」
満は、購買で買ったパンをむしゃむしゃと乱暴に食い、牛乳で押し流した。
「ップハァ。お腹いっぱい。…てか、お前見た目結構純粋そうなのに。意外」
「印象変わった?笑」
「…かも」
「まぁ、それはこっちのセリフなんだけどね」
(あんまり知りたくなかっし、知られたくなかったわッッ!!)
そんなことを思いながら、階段をたんたんと降りて、教室に戻っていった。大は相変わらず薄っぺらい表情で笑っていた。
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___________________________________________
作者うるさいです!すみません!
○| ̄|_=3ズザァァァァァァァァァァ
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