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第9章 やって来たオリエンテーション編

オリエンテーション開始 -10-

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 宰相閣下に腕輪で連絡を入れた俺は、アホ王子を捕縛結界に入れたままガンマランダル国王夫妻と共に転移で3人の身柄を城へと運び、王宮騎士団へアホ王子を引き渡した。

「まぁ、余程のことがなけりゃ大丈夫だとは思うが、念の為に捕縛結界は解かずに戻る。コイツはあの痴女令嬢を通じて今代の魔王と繋がってるのが判明してる。気を抜くなよ?」
「はっ!」
「ミスラフェン王子への裁判は、3日後に開かれる予定だ。魔導王殿には、その時に一度こちらへお戻り願いたいのだが?」
「はいよ。その頃には俺らもランドリウス公爵領に入ってるだろうから、そいつから直に言質取ったフラン連れて顔出すわ」

 宰相閣下からの要請に頷いた俺は、再び転移を使って街へと戻る。

 俺達の方は決着ついたが、痴女令嬢に対応してる筈の連中から全く連絡来ないのが妙に引っかかる。

「……向こう、何かあったのか? この騒動 “花キミ” に出て来ねぇキャラが起こしてる “花キミ” にないイベントだからなぁ……」

 パーティ内に於ける役割の関係上、今、向こうの班に割り振られてる転生者は亜梨沙さんルナだけだ。

 割と応用力があって底力のある女の子なので、マックスがどうこうならなきゃ多分、大丈夫だとは思うんだけど。

「一応、こっちの報告込みで全員の状況把握と情報共有させとくか」

 俺が報告上げりゃ、皆、自分のやることを理解してくれるだろうと踏んで、この騒動が始まった時同様、腕輪の通信機能をパーティ通達限定にして開く。

「こちらMD8。YS1へ。ブラック並びにKING1とQUEEN2の3名をBRAVOへトランス完了。これよりジェミニへ帰投する。オーバー」
『ううぅ~っ。YS1了解~』

 パーティ内限定通信な所為だろう。

 メッチャクチャ先刻のことを引きずりまくっているのがありありと分かる唸り声と口調でエンディからの答えが返る。

『YS1より各員へ~。状況を報告されたし~。オーバーぁ』

 ちゃんと予め決められていたことをやってはいるんだけれども口調の所為でどうにも締まらない。

『こちらSJ2。ジェミニの本部は問題ないわ。ブラックの奇襲を受けたけど、YS1とUM6が駆けつけてくれて被害はゼロよ。オーバー』
『こちらRB4。うーんとね……物理的被害は、町の人達と、わたくし達と一緒に移動して来た先生達と、わたくしがトドメ刺したらしいKJ3以外特になし。どっちかって言うと精神的な被害の方が大きいわねー』

 具体的なフリして曖昧でしかないルナの報告を耳にして俺は首を傾げてしまった。

 あっちの街は痴女令嬢が出没した方なので、色んな意味で精神的被害の方がウエイト上がるのは、まぁ、理解出来なくもない。

『こちらYS1。KJ3の物理的被害について詳しく報告せよ』

 うん。

 やっぱエンディも俺と同じことが気になったらしい。

 あっちの班にはリリエンヌが居る。

 本来ならば彼女が優薬師として腕を奮った薬剤で殆どの怪我や病気はどうにかなるので、被害はあっても後に残るレベルの「物理的被害」はない筈なんだが?

『聞かないでください! ……あ。こちらKJ3。報告の必要範囲から外れる為……』
『こちらSK5。カモメが手に入れていたサキュバス族の種族特性攻撃を浴びた俺とKJ3の内、KJ3にのみ発生したRB4のお色気イベントが原因だ。なので問題ない』
『アルフレッドーっ‼︎』
『……えー? あれってお色気イベントに入るのー? わざと触らせたんだからラッキースケベ以下だと思うんだけどなー?』
『ルナ様ーっ‼︎』

 おっとお? リリエンヌがだ。

 こりゃあ、アレだな。

 ルナお得意の淑女にあるまじき行為をやらかしたに違いない。

「KJ3、乙」

 すっかりコードで呼ぶのを忘れ去っているらしい2人を尻目に俺は、婉曲な形でそれを示してみせたんだけど。

『師匠ーっ‼︎』

 マックスまでもがそれに気づかず、いつも通りの呼びかけをして来たのでグダグダ感がより一層酷くなってしまった。

 もうコード呼びとか意味なくなってんじゃねぇか? これ?


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