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第8章 そして始まる学院編
これは酷い -4-
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「……結論から言うと消えるみたいだな。一時的な移動、と言った方がイメージ的には近いと思う」
「一時的な移動?」
どうやらアリューシャお嬢から聖女のスキル部分だけを奪ってもそれを永続的に痛インが持つことは出来ないらしい。
でもさ?
「エルドレッドくん、それっておかしくない? こう言っちゃ何だけどさ? 正直、女神様やキミがずっと警戒してたのに、一時的とか言う程度の力しかないのかって考えると、ちょっと拍子抜けなんだけど?」
「それは痛インが持ってる才能奪取がどこにどう効果のある物なのか分からなかったってのが、1番の理由さ。早々に排除出来た方の痛イン令息が持ってたテイカースキル、サーシャエールが調べたら称号奪取だったらしいんだけどさ。アイツ他人様から奪いまくった職能称号だけで12個も持ってたんだぜ?」
「職能称号?」
「俺達が持ってるような生まれながらの称号じゃなくて、長い修練や積み重ねて来た経験から得られる、まぁ、簡単に言うとその道の達人として認められた証みたいな感じで生える称号なんだ」
へえ……達人級になるとスキル増えることがあるって話しを聞いたことがあったけど、そう言うことだったんだ?
「あれ? ってことは、達人級の人が素人レベルまで腕が落っこっちゃったりとかしてないの?」
「そこまでの落差じゃないが、称号を得る前くらいまでには落ちてるだろうし、称号得てから長けりゃ長いだけ違和感半端ないだろうな」
「そうよねぇ……そういう意味でも “悪夢” だったのかしらね?」
ルナルリア王女とエルドレッドくんのやり取りで、職業人として自分が努力と研鑽によって培って来た物をスキル1つでポイと奪われてしまうやるせ無さを俺は感じてしまった。
「かもな。何にせよアレはとっとと回収してもらって正解だったよ。スキル奪われた上に称号まで剥がされたら面倒とかいうレベルじゃない話しにまで発展してたろうからな」
「そうですわね。恐ろしいことですわ」
フランソワーヌお嬢がしみじみと言ったことにその場の者は俺も含めて頷いてしまう。
「そんな訳で、次にこの女を生で見かけた時は、魔力探知かけて波形掴んどけよ、皆」
「……じっと見るの嫌だなぁ……」
「探知出来るようになっとかないとまた剥かれるぞ?」
「そうよ、エンディ! あの女、今度は胸元を舐めるって宣言してたんだから! 気をつけてね!」
「ええええええええええ」
「因みにエルドレッドくんもすっげぇ卑猥な意味で狙われてるみたいだから気をつけなね?」
アリューシャお嬢が言う、痛イン…── もう痴女でいい気がするけど ──…がその宣言した時に俺もその場に居たので、もう1人名前の上がった彼に一応の警告を投げておいた。
「俺は大丈夫。もう魔力の波形掴んでるし、その気になりゃ、今すぐにでも肥溜め行きだっつの」
「もう、肥溜めに封印でいいんじゃないのか?」
ボソッとそれまで静かだったアルフレッドくんが呟いたことに俺達は、思わず彼に視線を注いでしまう。
「アルフ? 念の為に言っとくけど、あの女、一応まだ人間だからな?」
「どうせ罪状加算的に、そろそろ斬首リーチなんじゃなかろうかと思うんだが? それが肥溜め窒息、即封印に変わるだけだろう? 別に構わなくないか?」
「………」
確かにその通りだけども、誰1人彼の言い分に賛成も反対も出来なくて口を噤んでしまう。
これは中々に酷い扱いだな。
「アルフ。ちゃんと裁判を経てから刑は執行されねばなりませんわ。そこで肥溜めに封印と判決が出れば、そうなることになるのでしょうけれど」
「そうか。残念だな」
いやいや、そもそも肥溜め封印の刑とかないからね? ウチの国‼︎
「一時的な移動?」
どうやらアリューシャお嬢から聖女のスキル部分だけを奪ってもそれを永続的に痛インが持つことは出来ないらしい。
でもさ?
「エルドレッドくん、それっておかしくない? こう言っちゃ何だけどさ? 正直、女神様やキミがずっと警戒してたのに、一時的とか言う程度の力しかないのかって考えると、ちょっと拍子抜けなんだけど?」
「それは痛インが持ってる才能奪取がどこにどう効果のある物なのか分からなかったってのが、1番の理由さ。早々に排除出来た方の痛イン令息が持ってたテイカースキル、サーシャエールが調べたら称号奪取だったらしいんだけどさ。アイツ他人様から奪いまくった職能称号だけで12個も持ってたんだぜ?」
「職能称号?」
「俺達が持ってるような生まれながらの称号じゃなくて、長い修練や積み重ねて来た経験から得られる、まぁ、簡単に言うとその道の達人として認められた証みたいな感じで生える称号なんだ」
へえ……達人級になるとスキル増えることがあるって話しを聞いたことがあったけど、そう言うことだったんだ?
「あれ? ってことは、達人級の人が素人レベルまで腕が落っこっちゃったりとかしてないの?」
「そこまでの落差じゃないが、称号を得る前くらいまでには落ちてるだろうし、称号得てから長けりゃ長いだけ違和感半端ないだろうな」
「そうよねぇ……そういう意味でも “悪夢” だったのかしらね?」
ルナルリア王女とエルドレッドくんのやり取りで、職業人として自分が努力と研鑽によって培って来た物をスキル1つでポイと奪われてしまうやるせ無さを俺は感じてしまった。
「かもな。何にせよアレはとっとと回収してもらって正解だったよ。スキル奪われた上に称号まで剥がされたら面倒とかいうレベルじゃない話しにまで発展してたろうからな」
「そうですわね。恐ろしいことですわ」
フランソワーヌお嬢がしみじみと言ったことにその場の者は俺も含めて頷いてしまう。
「そんな訳で、次にこの女を生で見かけた時は、魔力探知かけて波形掴んどけよ、皆」
「……じっと見るの嫌だなぁ……」
「探知出来るようになっとかないとまた剥かれるぞ?」
「そうよ、エンディ! あの女、今度は胸元を舐めるって宣言してたんだから! 気をつけてね!」
「ええええええええええ」
「因みにエルドレッドくんもすっげぇ卑猥な意味で狙われてるみたいだから気をつけなね?」
アリューシャお嬢が言う、痛イン…── もう痴女でいい気がするけど ──…がその宣言した時に俺もその場に居たので、もう1人名前の上がった彼に一応の警告を投げておいた。
「俺は大丈夫。もう魔力の波形掴んでるし、その気になりゃ、今すぐにでも肥溜め行きだっつの」
「もう、肥溜めに封印でいいんじゃないのか?」
ボソッとそれまで静かだったアルフレッドくんが呟いたことに俺達は、思わず彼に視線を注いでしまう。
「アルフ? 念の為に言っとくけど、あの女、一応まだ人間だからな?」
「どうせ罪状加算的に、そろそろ斬首リーチなんじゃなかろうかと思うんだが? それが肥溜め窒息、即封印に変わるだけだろう? 別に構わなくないか?」
「………」
確かにその通りだけども、誰1人彼の言い分に賛成も反対も出来なくて口を噤んでしまう。
これは中々に酷い扱いだな。
「アルフ。ちゃんと裁判を経てから刑は執行されねばなりませんわ。そこで肥溜めに封印と判決が出れば、そうなることになるのでしょうけれど」
「そうか。残念だな」
いやいや、そもそも肥溜め封印の刑とかないからね? ウチの国‼︎
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