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第8章 そして始まる学院編
出会いイベント -エルドレッド 3-
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空中に文字が浮かんでいるのを魔術文字以外では初めて見ました。
たまにエルドレッド様が仰っておられる「無駄に高い技術力」とか「使い方を盛大に間違ってる魔法力」というのは、こういうのを指すのかもしれません。
ともあれ、彼女は着ている制服を見てもエリート科の生徒ではなく、エンディミオン殿下の側近でもなければ、この場の誰かの婚約者でもありません。
「あの、そこはエルドレッド様のお席なのですが? 学院長先生のお話しもまだ途中なのですし、いい加減、ご自分の席に戻られたらいかがですか? 貴女の行いは、伯爵家に名を連ねる御令嬢としても入学式に遅刻して来た方の所業としても最低だと思いますが?」
「はぁ~?」
わたくしが言ったことに周囲の皆様方は、揃って首を縦に振ってくださいましたが、当のご本人だけは心外だとでも言うように疑問の声を上げながら、こちらを振り返りました。
「リリエンヌ……」
「わたくし、貴女に名乗りましたかしら? 侯爵家の令嬢を許可なく呼び捨てだなんて、不遜が過ぎましてよ?」
「はぁッ⁈ 何言ってんの? アンタ、わたしとと同じ伯爵家でしょ? 大体ね! わたしはエリート科の生徒よ! 魔法科とか、どうせ何かの手違いね! まぁ、それだけわたしの魔力量がズバ抜けて高いからでしょうけど。それとね! わたしはエルドレッド様の婚約者になるの。だから席はここでいいのよ! 分かった? この胸だけ女!」
「エルドレッド様の婚約者はわたくしですわ!」
彼女は、あれこれと自分にだけ都合のいいことを並べ立てていましたが、最後に仰ったそれだけは許せませんでした。
エルドレッド様のことを何も知らない癖に!
あの方がわたくしを助ける為にどれだけ奔走してくださって、皆様の為にどれだけの物を背負って、ここまで来られたのか1つも知らない癖に!
何を以ってして、あの方の婚約者になるなどと無責任なことを口にされるのでしょうか⁈
「はぁ⁈ バカじゃないの? アンタはアルフレッド様の婚約者でしょ?」
「アルフレッド様の婚約者は、わたくしですが?」
物凄く不機嫌そうな声音でフラソワーヌ様が仰られます。
「は? フラソワーヌはエンディミオン殿下の婚約者でしょ?」
「エンディは、わたしのよ‼︎」
「‼︎ ……アリューシャ」
アリューシャ様のお姿をやっと視界に入れたのでしょうか。
その時になって初めて認識した、みたいな調子でアリューシャ様のお名前を呟きます。
「やっと見つけたわ。アリューシャ」
これまでとは違う、低い声にわたくしは、嫌な予感がして思わず彼女を止める為に後ろからしがみついてしまいました。
「何すんのよ、この胸だけ女!」
「アリューシャ様に何をなさるおつもりですか⁈」
「五月蝿いわね! そもそもアリューシャがもうここに居るなんておかしいでしょ? きっとコイツ、わたしと同じ転生者よ! だからシナリオクラッシュが起きて、カップル変わってんでしょ! サブスト熟さないと仲間になんない筈のルナまでいるし!」
隣国の王女様を呼び捨て。
どこまで不遜なのでしょうか、この方は!
「それは今、貴女がなさっておられる暴挙の言い訳には何1つなりませんわ! 魔法科の席にお戻りになってください!」
わたくしがそう叫ぶように訴えると、捕まえていた腕の中で無理矢理身体を捻った彼女は、わたくしの方を向いて、何故か両手でわたくしの胸を両方とも鷲掴みにして揉み始めました。
「アンタ、マジで何なの⁈ 邪魔しないでよ胸だけ女! 大体ねぇ、アンタのこれからの運命はクズな父親と兄貴に避妊薬ブチ込まれなから卒業まで強姦されまくって、最後にはヴェスタハスラム家の国境砦に人間兵器として死ぬまで飼われ続けるってどのルートでも決まってんのよ!」
えっ?
「この! ムカつくほどデカくてデカくてデカい胸と!」
わたくしが呆気に取られている間に、今度は胸を下から何度も掌と指先で上下にバウンドさせます。
何だか周囲の男性から視線を感じて、わたくしがいたたまれせんし、正直、痛いです。
それに、この方が何を仰っていて、何故こんなことをするのかも、わたくしにはさっぱりわかりません。
「母親そっくりのその顔が! マザコンの兄と結婚した頃の妻を思い出した父親のイカレ頭には、犯す対象にしか見えなかったんだからね!」
彼女がそう言った瞬間、アリューシャ様、ルナ様、フランソワーヌ様がお席から立ち上がり、王族用の特別席にいらした国王陛下と王妃陛下、来賓席にいらっしゃった皆様のご両親も顔色を変えて慌ただしく動き出されました。
それに合わせて近衛騎士の方々と学院に詰めていらっしゃる王国騎士団の方も動き出されたようです。
彼女を取り押さえるおつもりでしょうか?
「アンタが愛しのエルドレッド様の婚約者ですって⁈ ふざけんじゃないわよ、汚らわしい! 胸だけが取り柄の女は、父親と兄貴の下でアンアン言ってるのがお似合いよ!」
わたくしのことを殺しそうな形相で叫んだ彼女が、口にしたことと皆様の様子、そしてサーシャエール様に見せていただいた “ゲーム” の様子。
様々なものが、わたくしの胸に去来して……ああ……エルドレッド様とアリューシャ様が、あれだけ激しくお父様とお兄様を糾弾して、排除することに躍起になられたのは、彼女の仰ったことが起こる「予定」だったからなのではないか。
そう、漠然と思ったのでした。
たまにエルドレッド様が仰っておられる「無駄に高い技術力」とか「使い方を盛大に間違ってる魔法力」というのは、こういうのを指すのかもしれません。
ともあれ、彼女は着ている制服を見てもエリート科の生徒ではなく、エンディミオン殿下の側近でもなければ、この場の誰かの婚約者でもありません。
「あの、そこはエルドレッド様のお席なのですが? 学院長先生のお話しもまだ途中なのですし、いい加減、ご自分の席に戻られたらいかがですか? 貴女の行いは、伯爵家に名を連ねる御令嬢としても入学式に遅刻して来た方の所業としても最低だと思いますが?」
「はぁ~?」
わたくしが言ったことに周囲の皆様方は、揃って首を縦に振ってくださいましたが、当のご本人だけは心外だとでも言うように疑問の声を上げながら、こちらを振り返りました。
「リリエンヌ……」
「わたくし、貴女に名乗りましたかしら? 侯爵家の令嬢を許可なく呼び捨てだなんて、不遜が過ぎましてよ?」
「はぁッ⁈ 何言ってんの? アンタ、わたしとと同じ伯爵家でしょ? 大体ね! わたしはエリート科の生徒よ! 魔法科とか、どうせ何かの手違いね! まぁ、それだけわたしの魔力量がズバ抜けて高いからでしょうけど。それとね! わたしはエルドレッド様の婚約者になるの。だから席はここでいいのよ! 分かった? この胸だけ女!」
「エルドレッド様の婚約者はわたくしですわ!」
彼女は、あれこれと自分にだけ都合のいいことを並べ立てていましたが、最後に仰ったそれだけは許せませんでした。
エルドレッド様のことを何も知らない癖に!
あの方がわたくしを助ける為にどれだけ奔走してくださって、皆様の為にどれだけの物を背負って、ここまで来られたのか1つも知らない癖に!
何を以ってして、あの方の婚約者になるなどと無責任なことを口にされるのでしょうか⁈
「はぁ⁈ バカじゃないの? アンタはアルフレッド様の婚約者でしょ?」
「アルフレッド様の婚約者は、わたくしですが?」
物凄く不機嫌そうな声音でフラソワーヌ様が仰られます。
「は? フラソワーヌはエンディミオン殿下の婚約者でしょ?」
「エンディは、わたしのよ‼︎」
「‼︎ ……アリューシャ」
アリューシャ様のお姿をやっと視界に入れたのでしょうか。
その時になって初めて認識した、みたいな調子でアリューシャ様のお名前を呟きます。
「やっと見つけたわ。アリューシャ」
これまでとは違う、低い声にわたくしは、嫌な予感がして思わず彼女を止める為に後ろからしがみついてしまいました。
「何すんのよ、この胸だけ女!」
「アリューシャ様に何をなさるおつもりですか⁈」
「五月蝿いわね! そもそもアリューシャがもうここに居るなんておかしいでしょ? きっとコイツ、わたしと同じ転生者よ! だからシナリオクラッシュが起きて、カップル変わってんでしょ! サブスト熟さないと仲間になんない筈のルナまでいるし!」
隣国の王女様を呼び捨て。
どこまで不遜なのでしょうか、この方は!
「それは今、貴女がなさっておられる暴挙の言い訳には何1つなりませんわ! 魔法科の席にお戻りになってください!」
わたくしがそう叫ぶように訴えると、捕まえていた腕の中で無理矢理身体を捻った彼女は、わたくしの方を向いて、何故か両手でわたくしの胸を両方とも鷲掴みにして揉み始めました。
「アンタ、マジで何なの⁈ 邪魔しないでよ胸だけ女! 大体ねぇ、アンタのこれからの運命はクズな父親と兄貴に避妊薬ブチ込まれなから卒業まで強姦されまくって、最後にはヴェスタハスラム家の国境砦に人間兵器として死ぬまで飼われ続けるってどのルートでも決まってんのよ!」
えっ?
「この! ムカつくほどデカくてデカくてデカい胸と!」
わたくしが呆気に取られている間に、今度は胸を下から何度も掌と指先で上下にバウンドさせます。
何だか周囲の男性から視線を感じて、わたくしがいたたまれせんし、正直、痛いです。
それに、この方が何を仰っていて、何故こんなことをするのかも、わたくしにはさっぱりわかりません。
「母親そっくりのその顔が! マザコンの兄と結婚した頃の妻を思い出した父親のイカレ頭には、犯す対象にしか見えなかったんだからね!」
彼女がそう言った瞬間、アリューシャ様、ルナ様、フランソワーヌ様がお席から立ち上がり、王族用の特別席にいらした国王陛下と王妃陛下、来賓席にいらっしゃった皆様のご両親も顔色を変えて慌ただしく動き出されました。
それに合わせて近衛騎士の方々と学院に詰めていらっしゃる王国騎士団の方も動き出されたようです。
彼女を取り押さえるおつもりでしょうか?
「アンタが愛しのエルドレッド様の婚約者ですって⁈ ふざけんじゃないわよ、汚らわしい! 胸だけが取り柄の女は、父親と兄貴の下でアンアン言ってるのがお似合いよ!」
わたくしのことを殺しそうな形相で叫んだ彼女が、口にしたことと皆様の様子、そしてサーシャエール様に見せていただいた “ゲーム” の様子。
様々なものが、わたくしの胸に去来して……ああ……エルドレッド様とアリューシャ様が、あれだけ激しくお父様とお兄様を糾弾して、排除することに躍起になられたのは、彼女の仰ったことが起こる「予定」だったからなのではないか。
そう、漠然と思ったのでした。
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