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第8章 そして始まる学院編
ランドリウス公爵家での一幕
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女神様から見えない2人の情報を聞いて部屋を出たわたしとフランは、お父様とお母様が待っている温室のサロンへ向かった。
制服お披露目とか前世で高校入った時以来かしら?
世界が変わっても子供に親がしたいことや見たいことってあんまり変わんないのね。
「旦那様、奥様。お嬢様方がいらっしゃいました」
領地の家令であるグレイディス同様、王都の邸を取り仕切っているのは執事のバスティアン。
彼の案内で温室奥のテーブルセットまで足を運んだわたしとフランは、お父様とお母様に制服でカーテシーを送る。
「お父様、お母様、ご機嫌よう」
「お姉様とご一緒に、お父様とお母様にご挨拶をしに参りましたわ」
わたしとフランが順にそう言うと2人は席から立ち上がってわたし達の方へとやってきた。
「2人とも学院のエリート科の制服がよく似合う。見違えたよ。もうすっかり大人だな」
「月日が経つのは早いものですわね。後、三月もしたら娘達が学院生になるだなんて」
「暗部の者から怪しい人物の話しは聞いたかね?」
お父様の問いかけに、わたしとフランは揃って「はい」と短く答えた。
「ティーレンス伯爵令嬢は魔法科に、マルマンケネン男爵家の子は紆余曲折あって、騎士科に入学したそうだ」
「紆余曲折、ですか?」
「居ない訳ではございませんが、地方出身の御令嬢が騎士科に入られるというのは、珍しゅうございますわね」
「うむ。学院側でもどう扱ってよいのか、よく分からなかったようでな。それぞれ個室で隔離可能な科に分断して割り振ったようなのだが、その理由が何なのかまでは、ガードが硬くてまだ私も掴み切れていないのだよ」
「?」
何処か、困惑気味にそう話してくれるお父様に、わたしとフランは顔を見合わせてしまった。
「お父様が掴みきれないだなんて……流石は女神様の目を逃れている方々ですわね。警戒しておきますわ」
「既に聖女の称号に覚醒してるわたしを差し置いて、自分の地元じゃ、将来は自分が聖女って喧伝してるんですってね。いい度胸じゃない。売られた喧嘩は買ってやるわよ」
フランがお父様の失策ではなく、あちらの隠蔽能力が無駄に高いのだろうと推察して警戒は怠らないと断じた。
わたしはわたしで例え突っかかって来られても返り討ちにする気満々なので何も問題なし、と言い切って見せる。
お父様とお母様は、わたし達の様子にホッと安堵の息を漏らし、改めて4人でお茶をする為にテーブルセットの方へと歩き出した時だった。
わたし達が左手首にしている腕輪から緊急時にだけ発生する警告音が鳴り響いた。
ルナが関係者の大人達にも作って渡したこともあってか、お父様とお母様の腕輪も鳴っている。
「全員通達の緊急通信か。初めて発動したな」
「発信者はエルドレッド君だわ。何があったのかしら?」
お父様とお母様がお互いの色をした腕輪を眺めながら確認したことは、わたしとフランの腕輪にも同じ内容が表示されていた。
「1番に集合がかかっておりますわね。わたくしがゲートを開きますわ! 参りましょう!」
前世で戦隊ヒーロー派だったフランは、こういう時、1番ノリがいいのよね。
早々に腕輪を使って開かれた1番ゲートは、王城にある、わたし達の拠点に繋がっている。
ちょっとした “ワンダバ” 感を味わいながら、お父様とお母様を伴って、わたしはフランの開いたゲートを潜った。
制服お披露目とか前世で高校入った時以来かしら?
世界が変わっても子供に親がしたいことや見たいことってあんまり変わんないのね。
「旦那様、奥様。お嬢様方がいらっしゃいました」
領地の家令であるグレイディス同様、王都の邸を取り仕切っているのは執事のバスティアン。
彼の案内で温室奥のテーブルセットまで足を運んだわたしとフランは、お父様とお母様に制服でカーテシーを送る。
「お父様、お母様、ご機嫌よう」
「お姉様とご一緒に、お父様とお母様にご挨拶をしに参りましたわ」
わたしとフランが順にそう言うと2人は席から立ち上がってわたし達の方へとやってきた。
「2人とも学院のエリート科の制服がよく似合う。見違えたよ。もうすっかり大人だな」
「月日が経つのは早いものですわね。後、三月もしたら娘達が学院生になるだなんて」
「暗部の者から怪しい人物の話しは聞いたかね?」
お父様の問いかけに、わたしとフランは揃って「はい」と短く答えた。
「ティーレンス伯爵令嬢は魔法科に、マルマンケネン男爵家の子は紆余曲折あって、騎士科に入学したそうだ」
「紆余曲折、ですか?」
「居ない訳ではございませんが、地方出身の御令嬢が騎士科に入られるというのは、珍しゅうございますわね」
「うむ。学院側でもどう扱ってよいのか、よく分からなかったようでな。それぞれ個室で隔離可能な科に分断して割り振ったようなのだが、その理由が何なのかまでは、ガードが硬くてまだ私も掴み切れていないのだよ」
「?」
何処か、困惑気味にそう話してくれるお父様に、わたしとフランは顔を見合わせてしまった。
「お父様が掴みきれないだなんて……流石は女神様の目を逃れている方々ですわね。警戒しておきますわ」
「既に聖女の称号に覚醒してるわたしを差し置いて、自分の地元じゃ、将来は自分が聖女って喧伝してるんですってね。いい度胸じゃない。売られた喧嘩は買ってやるわよ」
フランがお父様の失策ではなく、あちらの隠蔽能力が無駄に高いのだろうと推察して警戒は怠らないと断じた。
わたしはわたしで例え突っかかって来られても返り討ちにする気満々なので何も問題なし、と言い切って見せる。
お父様とお母様は、わたし達の様子にホッと安堵の息を漏らし、改めて4人でお茶をする為にテーブルセットの方へと歩き出した時だった。
わたし達が左手首にしている腕輪から緊急時にだけ発生する警告音が鳴り響いた。
ルナが関係者の大人達にも作って渡したこともあってか、お父様とお母様の腕輪も鳴っている。
「全員通達の緊急通信か。初めて発動したな」
「発信者はエルドレッド君だわ。何があったのかしら?」
お父様とお母様がお互いの色をした腕輪を眺めながら確認したことは、わたしとフランの腕輪にも同じ内容が表示されていた。
「1番に集合がかかっておりますわね。わたくしがゲートを開きますわ! 参りましょう!」
前世で戦隊ヒーロー派だったフランは、こういう時、1番ノリがいいのよね。
早々に腕輪を使って開かれた1番ゲートは、王城にある、わたし達の拠点に繋がっている。
ちょっとした “ワンダバ” 感を味わいながら、お父様とお母様を伴って、わたしはフランの開いたゲートを潜った。
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