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第6章 プレ・デビュタント開催
プレ・デビュタント -4-
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強制開示で彼女達のステータスに現れたのは、所属を表す文言。
ネストール事件でヤツの該当ステータスを見た時、最初に表示された「デルタズマフェン諜報部員 兼 暗殺者」が、この所属に当たるんだが、俺が見たお子様達の所属には「エンディミオン殿下をそっと見守り隊」「聖女アリューシャ様を王子妃に推しまくり隊」「アルフレッド様で和み隊」「フランソワーヌ様を見習い隊」みたいな、いつ出来た⁈ そんな集まり⁈ 的な物が並んでいたからだ。
「エルドレッド様? どうなさいましたの?」
「あー、いやー……世の中には知らない方がいいこともあるってホントだなーって、昔の人が作り出した格言を噛みしめてたトコ」
「気になりますね。師匠がそこまで言う何かが、彼らにあったと言うことですか?」
向上心と向学心が旺盛なのは、結構だが、そう思うなら掘り下げなきゃいいのによ。
そう思いながら、俺は視線でだけとある方向を示した。
「あそこに男連中が何人か居るだろ? あの、噴水手前のベンチに座ってるヤツら」
「あ、はい」
「あの3人の所属なぁ? 左から『マックス様と語り合い隊』『ピュアルナ様を全力で愛で隊』『リリエンヌ様マジ天使』って書いてある」
「え」
「ナニソレ?」
「いつ出来たのか、サッパリ分からんが、お前らそれぞれに派閥ってーのか、ファンってーのか、そういうモンが出来てるみてぇだぞ?」
マックスとルナルリアの上げる疑問符にそう答えてやってから、女の子達も含めた他の連中の所属も一通り教えておいた。
「エルには、そういうのないの?」
「少なくともここに居る子達には居ないな」
「皆様、見る目がございませんのねっ」
自分のことは、キョトン顔で首を傾げていたリリエンヌが、俺の言葉に眉根を寄せて不満げに言い放った。
「あははっ。俺のは、どうやら大人連中の方でしか流行ってないみたいなんだよね」
「あら。大人達にもこういうの結成してる人が居るの?」
「おう。因みに俺関連の最大派閥は『悪友同盟を覗き見し隊』っつー、俺と国王と枢機卿の3人が対象になってるヤツだった」
「あー……」
後ろに「わかるー」がついてそうな声音で、長音付きの1音を漏らした皆の声に俺は笑う。
「別に覗き見とか面倒なことしねぇで、参加すりゃいいのにな?」
「無茶言わないでよ。マックスでギリいけるかどうかの集まりじゃないの、それ」
「嫌ですよ、僕! その集まり、あれでしょう⁈ 空気読めないヤツが参加した瞬間、3人から質問攻めに遭って轟沈するのがデフォって言われてるヤツでしょ⁈」
「や。狙ってやってんじゃねぇんだけどさ? 俺らが協議してる時に混ざって来るからには、当然、有意義な意見の1つもあって入って来てんだろ? とか思って皆で水向けてるだけで?」
「だから、集まりの主旨が “覗き見したい” になっちゃってるんじゃないのー? わたくしだって混ざりたくないわよ、悪友同盟の井戸端会議なんてー」
「あれについていけるのは、フランくらいだよ」
そうな。
通りすがりの巻き込まれだったけど、俺達3人の合議に入れたフランの評価は、当時、城で鰻登りだった記憶がある。
「これから我が国も貴族の女性当主や、官僚の女性採用が増えて行くことに対してどう思うか、って質問に “男性と同じく正当に能力を評価していただければそれで良いのでは、と。後は陛下のハーレムにスカウトされても逃げられる権利をくだされば問題ないかと?” ってにこやかに答えたあの時のフランは、確実に女性官僚達にとって、勇者だったと枢機卿も笑ってたよ」
勿論、ごもっとも過ぎて俺も笑ったけどね。
他国の王と違って女性に無理強いするタイプの男じゃないけど、1回や2回軽くあしらわれた程度じゃ、コナかけるのやめないからな、あの国王。
「そう言うことがある度にさ? 辺境伯領でのツェルデンテ伯爵みたいに僕の爪の垢寄越せっていう人がいるんだよねー。バスメイドが “殿下のお体に垢なんか残す訳ないでしょ⁈” って、すっごく怒るからやめて欲しいんだけどなー」
いらんとこで、いらん苦労を国王の所為でさせられているらしいエンディミオン殿下が黄昏ながらそう呟いて、俺達は揃って苦笑いを漏らしていた。
ネストール事件でヤツの該当ステータスを見た時、最初に表示された「デルタズマフェン諜報部員 兼 暗殺者」が、この所属に当たるんだが、俺が見たお子様達の所属には「エンディミオン殿下をそっと見守り隊」「聖女アリューシャ様を王子妃に推しまくり隊」「アルフレッド様で和み隊」「フランソワーヌ様を見習い隊」みたいな、いつ出来た⁈ そんな集まり⁈ 的な物が並んでいたからだ。
「エルドレッド様? どうなさいましたの?」
「あー、いやー……世の中には知らない方がいいこともあるってホントだなーって、昔の人が作り出した格言を噛みしめてたトコ」
「気になりますね。師匠がそこまで言う何かが、彼らにあったと言うことですか?」
向上心と向学心が旺盛なのは、結構だが、そう思うなら掘り下げなきゃいいのによ。
そう思いながら、俺は視線でだけとある方向を示した。
「あそこに男連中が何人か居るだろ? あの、噴水手前のベンチに座ってるヤツら」
「あ、はい」
「あの3人の所属なぁ? 左から『マックス様と語り合い隊』『ピュアルナ様を全力で愛で隊』『リリエンヌ様マジ天使』って書いてある」
「え」
「ナニソレ?」
「いつ出来たのか、サッパリ分からんが、お前らそれぞれに派閥ってーのか、ファンってーのか、そういうモンが出来てるみてぇだぞ?」
マックスとルナルリアの上げる疑問符にそう答えてやってから、女の子達も含めた他の連中の所属も一通り教えておいた。
「エルには、そういうのないの?」
「少なくともここに居る子達には居ないな」
「皆様、見る目がございませんのねっ」
自分のことは、キョトン顔で首を傾げていたリリエンヌが、俺の言葉に眉根を寄せて不満げに言い放った。
「あははっ。俺のは、どうやら大人連中の方でしか流行ってないみたいなんだよね」
「あら。大人達にもこういうの結成してる人が居るの?」
「おう。因みに俺関連の最大派閥は『悪友同盟を覗き見し隊』っつー、俺と国王と枢機卿の3人が対象になってるヤツだった」
「あー……」
後ろに「わかるー」がついてそうな声音で、長音付きの1音を漏らした皆の声に俺は笑う。
「別に覗き見とか面倒なことしねぇで、参加すりゃいいのにな?」
「無茶言わないでよ。マックスでギリいけるかどうかの集まりじゃないの、それ」
「嫌ですよ、僕! その集まり、あれでしょう⁈ 空気読めないヤツが参加した瞬間、3人から質問攻めに遭って轟沈するのがデフォって言われてるヤツでしょ⁈」
「や。狙ってやってんじゃねぇんだけどさ? 俺らが協議してる時に混ざって来るからには、当然、有意義な意見の1つもあって入って来てんだろ? とか思って皆で水向けてるだけで?」
「だから、集まりの主旨が “覗き見したい” になっちゃってるんじゃないのー? わたくしだって混ざりたくないわよ、悪友同盟の井戸端会議なんてー」
「あれについていけるのは、フランくらいだよ」
そうな。
通りすがりの巻き込まれだったけど、俺達3人の合議に入れたフランの評価は、当時、城で鰻登りだった記憶がある。
「これから我が国も貴族の女性当主や、官僚の女性採用が増えて行くことに対してどう思うか、って質問に “男性と同じく正当に能力を評価していただければそれで良いのでは、と。後は陛下のハーレムにスカウトされても逃げられる権利をくだされば問題ないかと?” ってにこやかに答えたあの時のフランは、確実に女性官僚達にとって、勇者だったと枢機卿も笑ってたよ」
勿論、ごもっとも過ぎて俺も笑ったけどね。
他国の王と違って女性に無理強いするタイプの男じゃないけど、1回や2回軽くあしらわれた程度じゃ、コナかけるのやめないからな、あの国王。
「そう言うことがある度にさ? 辺境伯領でのツェルデンテ伯爵みたいに僕の爪の垢寄越せっていう人がいるんだよねー。バスメイドが “殿下のお体に垢なんか残す訳ないでしょ⁈” って、すっごく怒るからやめて欲しいんだけどなー」
いらんとこで、いらん苦労を国王の所為でさせられているらしいエンディミオン殿下が黄昏ながらそう呟いて、俺達は揃って苦笑いを漏らしていた。
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