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第5章 女神の間にて
あれやこれやの後始末 -2-
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[エンディミオン。舞子さんをアリューシャに転生させたのも同じ理由。ほんのちょっとしたことで、無数に送る人生の結果が変わってしまう貴方には、何よりも貴方の心に常に寄り添い、貴方を正しき道へと導き、共に歩み続けてくれる存在が必要だったの]
「わかります。ぼくは、アリィにあえて……アリィのことをすきになって、マイナスにすうちがはいっちゃうこともあるけど、それでも! アリィがはんりょであることをきめてくれた、サーシャエールさまに、かんしゃしかありませんから!」
「エンディ!」
「アリィ。これらかもぼくのそばにいてね?」
「もちろんよ!」
次いで舞子さんがアリューシャに転生した理由を語ったサーシャエールと仲睦まじい2人の様子を見て皆の面には微笑みが浮かんでいた。
[マックス]
「はい」
[知ることの痛みと苦しみにだけ目を向けず、得た物を迷わず、正しく使い熟すには、純粋で真っ直ぐな心根と、どんな貴方でも受け入れながら、それでも悪しき方へ、昏き方へ貴方が向かわぬような存在が貴方の傍に在ること。それが何よりも必要でした。それが、亜梨沙さんにルナルリアへと転生してもらった理由です]
「はい。どれだけ知識が正しく普遍の物であろうともそれを使う僕の心根が歪んでしまえば、その意味が周囲の者達に正しく伝わることは、永遠にないでしょう。ルナ様の明るく、朗らかな御気性と常に前向きで行動力に溢れた生き方は、僕に間違いを認めて糺す勇気を与えてくれます。ルナ様との出会いを感謝申し上げます」
「マックスさま……」
「ルナ様。貴女の過去と現在の貴女の存在にも感謝を。本来であれば、こうして婚約者として関わることすら無かった僕を救う為に現れた、貴女は確かに僕にとっての救いの女神です」
「マックスさま! わたくし、おそばにいてもいいんですよね⁈」
「勿論です。僕こそが、それをお願いしたいです」
「マックスさまぁっ!」
ゲームストーリーのままならば、魔王戦まで決して交わることなく、魔王戦開始後も仲間としてしか関わることがなかった筈の2人。
その姿を優しげな微笑みを浮かべて見守っていたサーシャエールが、視線をアルフレッドへと向ける。
[アルフレッド]
「はい。おれはもうすでにフランソワーヌじょうにすくわれているのをじかくしております。おのれがおちていたかもしれぬ、おとしあなのそんざいと、えらんではならないせんたくしは、おみせいただいたもので、そのけいこうをりかいいたしました。それでも、みちをあやまるやもしれぬときには、くだらぬプライドなどすて、かならずフランソワーヌじょうをはじめとしたなかまたちのそんざいにすがることで、あしきみらいには、ぜったいにむかわぬと、ここにちかわせていただきます。ゆりえさんをフランソワーヌにてんせいさせていただき、おれがそばにあることをおゆるしいただいたことに、さいじょうきゅうのかんしゃをささげます」
[よいでしょう]
告げられる前から正しく自分のことと、友理恵さんがフランソワーヌに転生させた理由を理解して誓いと感謝を紡いだアルフレッドにサーシャエールが、保留にしていた聖騎士への覚醒を許可した。
「あ……」
このままいけば、自力で経験を積んで数値を上げるしか策のなかったそれが、女神公認で果たされたことにアルフレッドが驚きの声を溢す。
[その力を以って、世界を。仲間達を。フランソワーヌを守ってゆきなさい]
「しんめいをとしまして!」
しっかりと騎士の最敬礼でサーシャエールへと応えたアルフレッドは、フランソワーヌと手を取り合って、互いに無言のままだったけれど、柔らかに微笑み合っていた。
「わかります。ぼくは、アリィにあえて……アリィのことをすきになって、マイナスにすうちがはいっちゃうこともあるけど、それでも! アリィがはんりょであることをきめてくれた、サーシャエールさまに、かんしゃしかありませんから!」
「エンディ!」
「アリィ。これらかもぼくのそばにいてね?」
「もちろんよ!」
次いで舞子さんがアリューシャに転生した理由を語ったサーシャエールと仲睦まじい2人の様子を見て皆の面には微笑みが浮かんでいた。
[マックス]
「はい」
[知ることの痛みと苦しみにだけ目を向けず、得た物を迷わず、正しく使い熟すには、純粋で真っ直ぐな心根と、どんな貴方でも受け入れながら、それでも悪しき方へ、昏き方へ貴方が向かわぬような存在が貴方の傍に在ること。それが何よりも必要でした。それが、亜梨沙さんにルナルリアへと転生してもらった理由です]
「はい。どれだけ知識が正しく普遍の物であろうともそれを使う僕の心根が歪んでしまえば、その意味が周囲の者達に正しく伝わることは、永遠にないでしょう。ルナ様の明るく、朗らかな御気性と常に前向きで行動力に溢れた生き方は、僕に間違いを認めて糺す勇気を与えてくれます。ルナ様との出会いを感謝申し上げます」
「マックスさま……」
「ルナ様。貴女の過去と現在の貴女の存在にも感謝を。本来であれば、こうして婚約者として関わることすら無かった僕を救う為に現れた、貴女は確かに僕にとっての救いの女神です」
「マックスさま! わたくし、おそばにいてもいいんですよね⁈」
「勿論です。僕こそが、それをお願いしたいです」
「マックスさまぁっ!」
ゲームストーリーのままならば、魔王戦まで決して交わることなく、魔王戦開始後も仲間としてしか関わることがなかった筈の2人。
その姿を優しげな微笑みを浮かべて見守っていたサーシャエールが、視線をアルフレッドへと向ける。
[アルフレッド]
「はい。おれはもうすでにフランソワーヌじょうにすくわれているのをじかくしております。おのれがおちていたかもしれぬ、おとしあなのそんざいと、えらんではならないせんたくしは、おみせいただいたもので、そのけいこうをりかいいたしました。それでも、みちをあやまるやもしれぬときには、くだらぬプライドなどすて、かならずフランソワーヌじょうをはじめとしたなかまたちのそんざいにすがることで、あしきみらいには、ぜったいにむかわぬと、ここにちかわせていただきます。ゆりえさんをフランソワーヌにてんせいさせていただき、おれがそばにあることをおゆるしいただいたことに、さいじょうきゅうのかんしゃをささげます」
[よいでしょう]
告げられる前から正しく自分のことと、友理恵さんがフランソワーヌに転生させた理由を理解して誓いと感謝を紡いだアルフレッドにサーシャエールが、保留にしていた聖騎士への覚醒を許可した。
「あ……」
このままいけば、自力で経験を積んで数値を上げるしか策のなかったそれが、女神公認で果たされたことにアルフレッドが驚きの声を溢す。
[その力を以って、世界を。仲間達を。フランソワーヌを守ってゆきなさい]
「しんめいをとしまして!」
しっかりと騎士の最敬礼でサーシャエールへと応えたアルフレッドは、フランソワーヌと手を取り合って、互いに無言のままだったけれど、柔らかに微笑み合っていた。
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