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第5章 女神の間にて

友理恵の場合 -4-

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『神崎。俺と付き合ってくれないか?』
『ごめんなさい』
『っ! ……そうか。理由を、聞いてもいいかい?』
『あなたは、わたしがいなくても生きていける人だと思うから』

 しっかりしてそうな男、頼り甲斐のありそうな男はそんな感じで皆、大学生友理恵さんの前から消えて行った。

『ふざけんじゃないわよ! これ以上、友理恵を利用して、寄生しまくって生きてこうなんざ、何様なのよアンタ⁈』
『利用なんて……僕は、ゆりちゃんにお金なんてたかってないし、え…えっちだってしたことないのにっ‼︎』
『当たり前だボケがぁっ‼︎ 三股もかけといて、あっちの女、こっちの女に加えて友理恵とまでヤッてたらコンクリ詰めにして横浜港へ沈めてやるとこよ‼︎』

 事前に友理恵さんフランソワーヌが教えてくれていた通り、彼女が付き合うことを了承した男は、こんな感じで悉くダメンズだった。

 但し、彼女のことを都合よくヤれる女扱いしているというよりは。

『友理恵は、お前のママンじゃないんだけど⁈ 分かる⁈ お前の言ってることや、やってることは、僕の恋人になってくれ、とか僕の嫁になってくれじゃなくて、どう贔屓目に見たって、ママンの代わりに傍にいてくれ、じゃないのよぉ⁈』

 という男ばっかりだったのが、ギリギリの所で女友達から切られない理由となっていた。

 付き合った男がまるで武勇伝のように女とヤったことを周囲に吹聴するタイプの男で、大学生友理恵さんのことは「ガードが堅くて中々落ちないけどそこがいい、絶対、落としてみせる」みたいな悔し紛れの言い方しか出来ないのだから、ヤリ目的の女とは違いが明白だったのもあったろう。

 友理恵さんが好き好んでそういう男ダメンズとばかり付き合っているのは、彼女達も理解していたが、友理恵さん本人にその自覚がなく、且つ、合コンなどに連れて行っても優秀で格好イイ……所謂、イケメンよりも真っ先に1番のダメンズを選ぶので、彼女達の心の奥底にある自尊心だの優越感だのをある程度、充足させてくれる上にライバルには決してならない所も女の子達にとっては切る理由を薄めていた。

 しかも適当なとこで「アレはダメな男だから別れな!」とアレコレ真実を告げて動くと、どんなにその男に入れ込んでいても自分達の言う通り、その男とは別れるので「自分達の方が友理恵に信用されている」「自分達は、彼女を守ってあげている」という周囲へのアピールにもなるという、ある意味、Win-Winの関係が……。

「フラン! 貴女、こんなマザコンの自己中ボクちゃん男ばっかり! こんな男共の何処がいいの⁈ あんな風に自分を良く見せたいだけの女達にまでいいように使われて‼︎ どういうことなの⁈」

 大半の人間が思っただろう疑問をランドリウス公爵夫人が叫ぶように問いかけた。

 男に関することすらマックスがした質問の解答では、どうにも納得することが出来なかったらしい。

「だいじょうぶですわ、おかあさま。わたくしのアレは、アルフレッドさまのそんざいをしるまでのこと。それにいま、わたくしがおしたいしているアルフレッドさまのほうが、ずっとステキですもの」

 そのステキな今のアルフレッド様とやらは、お前さんの傍で絶賛ダンゴムシになってる訳だが?

 いつもの説得力、何処行った友理恵さんフランソワーヌ

 ランドリウス公爵夫人が、そんなんで誤魔化せる筈ねぇだろうが⁈

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