335 / 458
第5章 女神の間にて
友理恵の場合 -2-
しおりを挟む
中学生友理恵さんが所属していた部活は「文芸漫画クラブ」と「ヒーローアクション部」の2つだった。
「フランちゃんのがっこう、こうりつなのに、へんなぶかつあって、おもしろいわね」
「ちゅうがくのときは、ちかくにおおきなだんちがあるばしょにすんでおりましたので、いわゆるマンモスこうでしたの。しんたいしょうがいしゃクラスもあわせると1がくねん、7クラスありまして、そのせいでぶかつのかずもにんずうも、おおかったですので」
「おおいわねぇ。わたしのとこ4クラスしかなかったわ」
「わたくしもー」
「へー。俺のトコは10クラスあったな。1クラスも男女合わせて42人とか居たから、運動会とか学年割じゃなくて、クラス縦割りした色別対抗戦形式だったもん」
「アンタ、すきそうよね。そういうぎょうじ」
「すっごいかつやくしてそう」
「いや。1年の時から運動会とスポーツ大会は、何の種目にも出れなかった。ずっと応援団で拘束されてたから」
「ええっ⁈ ときょうそうとか、きょうせいでやらされなかったの?」
「諸事情あって、出させてもらえなかった」
「ナニソレ、すっごいきになる」
俺達が、わやわやと当時の自分達が通っていた学校やら部活やらで盛り上がっている間に映像内の中学生友理恵さんは、週1水曜最終時限で文芸漫画クラブに、週3放課後でヒーローアクション部にそれぞれ通っていて、原稿用紙に小説を書き綴っていたり、演劇のアクションにおける殺陣や壁走りなんかを披露していた。
「これが、あなたのぜんせなのか? フランソワーヌじょう」
「そうですわ」
「いまの、かわいらしくてしゅくじょなあなたからは、そうぞうもつかないな」
「あら。わたくし、ヴェスタハスラムへんきょうはくけのたたかいにゆくまえには、みなさまとごいっしょにダンジョンをはしごしておりますのよ? まほうもたんけんじゅつも、あるていどはこなせますわ」
「……これみるとなっとくのけっかよねー。フランちゃん、カーテシーだって、じくブレしないもん。たいかんのきたえかた、きそからしってて、いまもそれをいかせてるけっかなのねー」
「はい。さようでございますわ」
アルフレッドが、何処か呆然とした調子で話しかけて来たことに友理恵さんが答え、亜梨沙さんがそれを受けて合点がいったような言葉を漏らしていた。
やがて映像の友理恵さんは、高校へと進み「演劇部」と「アニメ研究部」どちらに入るか迷った末に後者を選択することで、本格的に小説・マンガ・アニメ・ゲームといったコンテンツにドップリと浸かり込んでいったようだった。
この頃までは受け手側というより、完全に発信側に居るように見えた友理恵さんが、部活を通して乙女ゲームというカテゴリーに出会い、2次創作の道へと入り込み “花キミ” に出会ったのは、舞子さんと同じ、大学生時代だった。
それまで、オタク臭ゼロだった彼女の部屋が、アルフレッドグッズで埋もれて行く様は、圧巻の一言だった。
ベッド上の天井ポスター貼りやるよなー。
分かる分かる。(←)
「フランちゃんのがっこう、こうりつなのに、へんなぶかつあって、おもしろいわね」
「ちゅうがくのときは、ちかくにおおきなだんちがあるばしょにすんでおりましたので、いわゆるマンモスこうでしたの。しんたいしょうがいしゃクラスもあわせると1がくねん、7クラスありまして、そのせいでぶかつのかずもにんずうも、おおかったですので」
「おおいわねぇ。わたしのとこ4クラスしかなかったわ」
「わたくしもー」
「へー。俺のトコは10クラスあったな。1クラスも男女合わせて42人とか居たから、運動会とか学年割じゃなくて、クラス縦割りした色別対抗戦形式だったもん」
「アンタ、すきそうよね。そういうぎょうじ」
「すっごいかつやくしてそう」
「いや。1年の時から運動会とスポーツ大会は、何の種目にも出れなかった。ずっと応援団で拘束されてたから」
「ええっ⁈ ときょうそうとか、きょうせいでやらされなかったの?」
「諸事情あって、出させてもらえなかった」
「ナニソレ、すっごいきになる」
俺達が、わやわやと当時の自分達が通っていた学校やら部活やらで盛り上がっている間に映像内の中学生友理恵さんは、週1水曜最終時限で文芸漫画クラブに、週3放課後でヒーローアクション部にそれぞれ通っていて、原稿用紙に小説を書き綴っていたり、演劇のアクションにおける殺陣や壁走りなんかを披露していた。
「これが、あなたのぜんせなのか? フランソワーヌじょう」
「そうですわ」
「いまの、かわいらしくてしゅくじょなあなたからは、そうぞうもつかないな」
「あら。わたくし、ヴェスタハスラムへんきょうはくけのたたかいにゆくまえには、みなさまとごいっしょにダンジョンをはしごしておりますのよ? まほうもたんけんじゅつも、あるていどはこなせますわ」
「……これみるとなっとくのけっかよねー。フランちゃん、カーテシーだって、じくブレしないもん。たいかんのきたえかた、きそからしってて、いまもそれをいかせてるけっかなのねー」
「はい。さようでございますわ」
アルフレッドが、何処か呆然とした調子で話しかけて来たことに友理恵さんが答え、亜梨沙さんがそれを受けて合点がいったような言葉を漏らしていた。
やがて映像の友理恵さんは、高校へと進み「演劇部」と「アニメ研究部」どちらに入るか迷った末に後者を選択することで、本格的に小説・マンガ・アニメ・ゲームといったコンテンツにドップリと浸かり込んでいったようだった。
この頃までは受け手側というより、完全に発信側に居るように見えた友理恵さんが、部活を通して乙女ゲームというカテゴリーに出会い、2次創作の道へと入り込み “花キミ” に出会ったのは、舞子さんと同じ、大学生時代だった。
それまで、オタク臭ゼロだった彼女の部屋が、アルフレッドグッズで埋もれて行く様は、圧巻の一言だった。
ベッド上の天井ポスター貼りやるよなー。
分かる分かる。(←)
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
忘れられた妻
毛蟹葵葉
恋愛
結婚初夜、チネロは夫になったセインに抱かれることはなかった。
セインは彼女に積もり積もった怒りをぶつけた。
「浅ましいお前の母のわがままで、私は愛する者を伴侶にできなかった。それを止めなかったお前は罪人だ。顔を見るだけで吐き気がする」
セインは婚約者だった時とは別人のような冷たい目で、チネロを睨みつけて吐き捨てた。
「3年間、白い結婚が認められたらお前を自由にしてやる。私の妻になったのだから飢えない程度には生活の面倒は見てやるが、それ以上は求めるな」
セインはそれだけ言い残してチネロの前からいなくなった。
そして、チネロは、誰もいない別邸へと連れて行かれた。
三人称の練習で書いています。違和感があるかもしれません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる