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第5章 女神の間にて

舞子の場合 -3-

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 やがて、映像は話しの核心部分なのだろう所へと入り出した。

『違う。こうじゃないのね。これじゃエンディミオン殿下に瑕疵がついちゃうじゃない。公爵家を敵に回して殿下が国王になった時、治世を邪魔されるようになったら意味ないのよ!』

 イライラしながら独り言を呟く大学生舞子さんの頭の上には「128周目」の文字。

 窓の外、その時間と季節が流れ、彼女の頭の上の数字が「1522周目」まで進む。

『アリューシャが、エンディミオン殿下ルートに真っ直ぐ突き進むより、ルートに片足突っ込みながらマックスルート寄りに親密度コントロールして、最終的に大円団ルートを目指すのが、最適解なのは分かったわ。でもまだ足りない! こうじゃないのよ! エンディミオン殿下の理想の幸せは!』

 流石は女神をも認めるエンディミオンオタク。

 最適解を見つけてもそれでもまだ満足出来ない部分があるらしい。

『フランソワーヌをエンディミオン殿下とくっつけて、ルピスの素晴らしさをアピールしつつマックスのサポートをすればいいのは分かったわ。問題は、どうやってリリエンヌを辺境伯家から逃すかよ! これが出来なきゃ、エンディミオン殿下の罪悪感項目が全部消えないじゃないの!』

 ああ……そら無理だ。

 俺もお前さんの先生も追求し続けて、そのルートはないってのが最終結論だったからこそ、叫んでたんだから。

 だが、大学生舞子さんの頭上の数字がついに「5386周目」に突入した時、それは起こった。

 何と、魔王戦前にサブストでリリエンヌを仲間に引き入れ、男連中そっちのけでリリエンヌの好感度を上げまくり、GLサブストを起こした上でアルフレッドからリリエンヌを略奪する暴挙に出た上で、信じられないような親密度調整をして大円団ルートに漕ぎ着けたんだ。

「………この発想はなかったわ」
「でしょ? GLサブストをまおうせんまえにはっせいさせないといけないから、じょうけんけっこうタイトなのよね。とくにアルフレッドのこうかんどが、50ジャストをキープってのが、じみにつらいのよー」
「それだけで普通に無理ゲーだろ」
「 “はなキミ” のアルフレッドさまは、じょうちょふあんていで、こうかんどのじょうげがはげしいかたですからね」
「ウインドシア・ダウンバーストのあだなは、だてじゃないわよね」
「それ、どういういみなの?」

 亜梨沙さんルナルリアが口にした前世掲示板でつけられたアルフレッドの仇名を口にすると早速、エンディミオン殿下が質問を投げて来た。

「簡単に言うと風向きや風速が2点間で劇的に異なる現象中に災害を及ぼすレベルで急速な下降気流が発生してるようなもんってこと」

 ウインドシアとダウンバーストってのは、そもそも別の現象なので2つ同時に起こることはないんだけど、そのくらい変動が激しい上に数値が下がりやすいという暗喩な訳だ。

「……さいがいをおよぼすレベル……」

 自分のことをそう表現されたアルフレッドだけが、地味にダメージを食らって落ち込んでいた。

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