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第5章 女神の間にて

衝撃の行方 -3-

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 次に流されたのは、マックス関連END。

 ダイジェストとしては、婚約者のルピスのことを除けばほぼ称号に覚醒したか、しなかったか、が大きな違いという感じで、エンディミオン殿下とアルフレッドの真ん中らへんのストーリーが多い。

 女主人公ヒロインとくっつかないことで、人間不信が矯正されないエンディミオン殿下と国王・宰相を代表とする大人組との政治的な話し、そして他の貴族や他国との駆け引きに子供の頃から晒されているが故の冷めた思考と他の子供達に許されている自由が自分には許されないことを知ってしまった故の苦悩。

 それに加わる形で賢者の称号に覚醒したことで世界のことわりすら知ることになる。

 この世にただ1人、それらを理解してしまう為に生じる孤独とそれを起因とした鬱フラグが発生すると闇堕ちならぬ、病み堕ちすることがあるマックスは、女主人公ヒロインが下手を打つと監禁ENDに到達することがある唯一のキャラだった。

 俺がそれを回避させる存在になったことを知った時、亜梨沙さんルナルリアが嬉しそうにしていたのは、このENDの発生が完全に無くなったことを理解しからだろう。

 当然、それもバッチリ公開され、マックスENDの魔王戦もお披露目となった。

 次に公開されたのは、ダリル関連END。

 残念ながら攻略対象者が、暗部所属とはいえ、身も心も歴とした大人の男。

 しかも自分が暗部に所属していることを全く苦にしていない彼特有のノリが、女主人公ヒロインによって虚勢と判断される通称「ダリル救済ルート」と、なら私も暗部に入る! とばかりに聖女が暗部入りを希望するという、王国としては前代未聞の話しへ向かう通称「暗部入ルート」の2つにメインルートが分岐する。

 逆ハー以外では、それ以外にダリルのルートが存在せず、基本、会えないまま終わる隠し攻略対象。

 それがダリルなんだ。

 きっと、多分、本人的には思う所がしこたまあるだろうけれど、受ける衝撃度から考えると1番傷が浅くて済むのはダリルな気がするんだけど……?

[さて、一旦ここで切りましょうか。エルドレッド。隔離空間を全て開いて]
「了解」

 サーシャエールの指示に従って全員の隔離空間を全てオープンすると、そこには惨憺たる光景が広がっていた。

 エンディミオン殿下は、珍しいくらいのガン泣き。

 アルフレッドは、無言のままorzみたいな格好で固まり、マックスは床に体育座りみたいな座り方をして両手で顔を覆い、真っ黒オーラを背負いながら口元だけで何かブツブツ呟いていた。

 ダリルは、色を失った顔で虚空を見詰めて燃え尽きていて、リリエンヌは口元を両手で覆いながら静かに涙を流していた。

「リ、リリエンヌ? 大丈夫?」

 思わず彼女へと声をかけ、傍へ膝をついた俺に触発されたのだろう。

 女の子達がそれぞれの婚約者へと駆け寄る。

「エンディ!」
「アルフレッドさま!」
「マックスさまー!」

 ダリルの所へは、気を利かせてくれたのだろう。

 サーシャエールが向かってくれて、まるで犬猫にでもしているような調子で、頭頂付近をなでこなでこ、と優しく幾度も撫でていた。

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