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第5章 女神の間にて
花キミ内の魔王戦 -2-
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2人が4人に増えて多少マシになったとは言え、大半が覚醒出来てないパーティなので、やはり辛勝。
どうにかこうにか勝てた! となった所で再び始まる封印解除。
全回復+パワーアップで御目見する “魔王Ⅲ” 。
『もう……無理よ……』
『魔王とは、ここまで強いものなのか……』
『勝てる気がしない……』
『せめて、私が勇者に覚醒出来ていれば……!』
「ほんとだよ‼︎ なんでかくせいできてないのにいどむきになったの⁈ せめてかくせいできてからいきなよ‼︎ いきあたりばったりで、まおうたおせるとおもうとか、バカじゃないの⁈」
17歳エンディミオンが悔しげに吐いた台詞に3歳エンディミオン殿下が全力で突っ込んだ。
「そもそも覚醒出来てない息子達を送り込んでいる時点で、国側もこの戦いの重要性を理解出来ていない気がいたしますけれど、その辺り、どうなのでしょうね?」
ヴェスタハスラム辺境伯夫人が、この場に来ることが出来なかった夫になり代わり、とばかりに疑義を呈した。
うーん……そう言う意味では、あんまり望ましくない展開なんだよな、この魔王戦。
『諦めるのは、まだ早いぜ、皆っ! 』
『エル!』
『お待たせ! もう一踏ん張りしようか!』
合流した17歳エルドレッドが勇者パーティの戦列に加わると何故かは一切、描写されることなくパーティ全回復+アイテム補充が完了する。
「アイテム補充に関しては、1人で魔王の手下達を相手どっていた時に使わなかったから、で説明がつくかもしれないけれど、この全回復するのは何でなのかしらね?」
王妃様。
それはきっと乙女ゲー謎々ラブぷぁわぁというヤツですよ。
……現実的に考えたら補充アイテムとは別のアイテムを使用して回復したと考えるのが妥当なんでしょうけど、そうなると「ならそのアイテムだけをしこまたま用意して魔王戦挑めよ」って話しになって、そうなると今度は「アイテム所持数限界」の話しになって「なら調合アイテム持ち込めや」って話しになって「現場調合するならリリエンヌ参戦必須」になって、そもそも「何処で調合すんだ」って、ドンドン収拾がつかなくなっていくので、逆ハー女主人公には、実現不可能な流れになるんですよー。
なんて俺が黄昏ている間に合流したエルドレッドと契約精霊の力も使いながら “魔王Ⅲ” にも勝利した勇者パーティ。
「まだアルフレッド君が合流してないから、魔王の4番目が出てくるのよね?」
宰相夫人が先読みして口にしたことは、別の意味で実現する。
『うっ……くっ、ここまでかぁっ!』
苦悶の表情で悶絶しながら、魔王Ⅲが前のめりに倒れる。
『お、弟よー‼︎』
最後にそう絶叫して、ゴバーン‼︎ と大爆発を起こした魔王Ⅲ。
その爆発の中から、立ち上がり来る巨大な魔王の姿。
『だいっ・ま・おうー‼︎』
魔王城の玉座の間を突き破って、ガラガラと壁と屋根を盛大に崩しながら現れた巨体が、何かポージングみたいなのをしながら、そう叫ぶ。
前世では、このネタを知らない若い世代と大半の女性プレイヤーは「ナニコレ⁈」「マジ意味不なんだけどー⁈」「何で弟の方がデカい上にこんな巨大なのよ⁈」と阿鼻叫喚の中、大魔王戦に突入し、往年の戦隊モノを知る歴戦のオタ同志諸君は「懐かしー!」「乙女ゲーの、それも魔王戦でこのネタやるのかよ?」と草を生やしながら大魔王戦に突入したものだった。
しかもこの魔王は、ただ巨大になっただけじゃなく、魔法攻撃の大半が無効になる魔術を戦闘開始直前で使用する。
「……これ、無理じゃね?」
「じょうけんが、さらにわるくなったじょうたいで4れんせんめ。これ、かてるのか?」
それを見て「こっち」のダリルとアルフレッドが吐露した本音は、いつの日にか自分達がコレと戦わねばならないからこそ溢れ出たものだろう。
心配すんな。
“花キミ” は戦闘系RPGでもなければ、パクリ戦隊モノでもない。
乙女ゲーだ。
キミ達も時期にそれを目の当たりにすることで、脱力するか、大草原を背負うことになるだろう。
きっと。
どうにかこうにか勝てた! となった所で再び始まる封印解除。
全回復+パワーアップで御目見する “魔王Ⅲ” 。
『もう……無理よ……』
『魔王とは、ここまで強いものなのか……』
『勝てる気がしない……』
『せめて、私が勇者に覚醒出来ていれば……!』
「ほんとだよ‼︎ なんでかくせいできてないのにいどむきになったの⁈ せめてかくせいできてからいきなよ‼︎ いきあたりばったりで、まおうたおせるとおもうとか、バカじゃないの⁈」
17歳エンディミオンが悔しげに吐いた台詞に3歳エンディミオン殿下が全力で突っ込んだ。
「そもそも覚醒出来てない息子達を送り込んでいる時点で、国側もこの戦いの重要性を理解出来ていない気がいたしますけれど、その辺り、どうなのでしょうね?」
ヴェスタハスラム辺境伯夫人が、この場に来ることが出来なかった夫になり代わり、とばかりに疑義を呈した。
うーん……そう言う意味では、あんまり望ましくない展開なんだよな、この魔王戦。
『諦めるのは、まだ早いぜ、皆っ! 』
『エル!』
『お待たせ! もう一踏ん張りしようか!』
合流した17歳エルドレッドが勇者パーティの戦列に加わると何故かは一切、描写されることなくパーティ全回復+アイテム補充が完了する。
「アイテム補充に関しては、1人で魔王の手下達を相手どっていた時に使わなかったから、で説明がつくかもしれないけれど、この全回復するのは何でなのかしらね?」
王妃様。
それはきっと乙女ゲー謎々ラブぷぁわぁというヤツですよ。
……現実的に考えたら補充アイテムとは別のアイテムを使用して回復したと考えるのが妥当なんでしょうけど、そうなると「ならそのアイテムだけをしこまたま用意して魔王戦挑めよ」って話しになって、そうなると今度は「アイテム所持数限界」の話しになって「なら調合アイテム持ち込めや」って話しになって「現場調合するならリリエンヌ参戦必須」になって、そもそも「何処で調合すんだ」って、ドンドン収拾がつかなくなっていくので、逆ハー女主人公には、実現不可能な流れになるんですよー。
なんて俺が黄昏ている間に合流したエルドレッドと契約精霊の力も使いながら “魔王Ⅲ” にも勝利した勇者パーティ。
「まだアルフレッド君が合流してないから、魔王の4番目が出てくるのよね?」
宰相夫人が先読みして口にしたことは、別の意味で実現する。
『うっ……くっ、ここまでかぁっ!』
苦悶の表情で悶絶しながら、魔王Ⅲが前のめりに倒れる。
『お、弟よー‼︎』
最後にそう絶叫して、ゴバーン‼︎ と大爆発を起こした魔王Ⅲ。
その爆発の中から、立ち上がり来る巨大な魔王の姿。
『だいっ・ま・おうー‼︎』
魔王城の玉座の間を突き破って、ガラガラと壁と屋根を盛大に崩しながら現れた巨体が、何かポージングみたいなのをしながら、そう叫ぶ。
前世では、このネタを知らない若い世代と大半の女性プレイヤーは「ナニコレ⁈」「マジ意味不なんだけどー⁈」「何で弟の方がデカい上にこんな巨大なのよ⁈」と阿鼻叫喚の中、大魔王戦に突入し、往年の戦隊モノを知る歴戦のオタ同志諸君は「懐かしー!」「乙女ゲーの、それも魔王戦でこのネタやるのかよ?」と草を生やしながら大魔王戦に突入したものだった。
しかもこの魔王は、ただ巨大になっただけじゃなく、魔法攻撃の大半が無効になる魔術を戦闘開始直前で使用する。
「……これ、無理じゃね?」
「じょうけんが、さらにわるくなったじょうたいで4れんせんめ。これ、かてるのか?」
それを見て「こっち」のダリルとアルフレッドが吐露した本音は、いつの日にか自分達がコレと戦わねばならないからこそ溢れ出たものだろう。
心配すんな。
“花キミ” は戦闘系RPGでもなければ、パクリ戦隊モノでもない。
乙女ゲーだ。
キミ達も時期にそれを目の当たりにすることで、脱力するか、大草原を背負うことになるだろう。
きっと。
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