311 / 458
第5章 女神の間にて
よりあざとい選択肢 -2-
しおりを挟む
そして案の定、やってきた勇者パーティの面々に言い渡されたのは、17歳エンディミオン殿下の越権行為に対する詰問だった。
『何故ですか⁈ 父上っ⁈』
「なせですかじゃないよ! いくらちちうえだって、そこはみのがしたりしないよ! おうけだけのもんだいじゃなくなるんだから‼︎」
「シグマセンティエは絶対君主制じゃない。制限君主制だ。国王陛下や王妃陛下ですら専横することの出来ない権能を何故、自分は行使出来ると考えられるんだ? 信じられん」
エンディミオン殿下だけじゃなくマックスもそう言って、普段はいい加減でチャランポランな国王が、何だかんだでちゃんと線引いて動いてるんだってことを暗に認めていた。
『本来ならば、お前達は全員、沙汰が下されるまで地下牢にて拘束するか謹慎を申し渡す所だが、世界情勢がそれを許さん。故に全員バラバラの地にて魔王戦に備えた修行を魔族国イプシロンニェーターに向かう1ヶ月前までしてもらう。互いの修行場への行き来は認めん』
『父上⁈』
『エルドレッドとダリルは、既に修行場として指定された現地へ向かっておる。お前達も早急に準備を整え、今日中に王都を出るように。これは命令だ』
『横暴です! 私達にも議会へ否認請求する権利が……』
『卒院パーティの場にて独断の越権行為によって国外追放という断罪をフランソワーヌ嬢に対して即時敢行したそなた達がそれを主張するのか?』
『!』
『ランドリウス公爵家やフランソワーヌ嬢に、その権利の行使を認めたのかね?』
『っ』
『彼女は、権利を行使せず、罪を認めて従ったに過ぎません』
『では、そなた達は自分達の犯した明らかな越権行為を認めんということか? ならば、従ったエルドレッドやダリルのように自由を許す訳にはいかん。今すぐ投獄するしかあるまい』
◆どうしますか?
大人しく従う姿勢を見せる
従うように皆を説得する
わたし達は何も悪くないわ!
[あら。3択は初めてね]
「1ばんチープなかいとうをせんたくしないと、みほんにならないので、3つめで!」
「うわぁ。メチャクチャ馬鹿っぷぉい。ゲームならまだしも現実にこの回答を選ぶヤツって常識も損得勘定もゼロ過ぎて有り得ないよなぁ」
「 “だって、わたしはヒロインだから!” 」
「………その台詞、現実に目の前で聞かされるとか、すげぇヤなんだけど?」
俺の口にした認識に、この手の話しでお花畑恋愛脳+物語ヒロインなりきり系女子によくある台詞を宣った亜梨沙さんに頭痛がしてきて思わず額を押さえてしまった。
「ざんねんながら、イタインさんがいいそうなよかんしかいたしませんわ」
「アリューシャが言うならまだしもそうじゃねぇヤツが言った日には、根拠も説得力も皆無だけどな」
「え? じゃあ、わたしが “ヒロインはアンタじゃなくて、わたしよ!” ってつっこめばいいの?」
「カオス…………っ!」
舞子さんの言葉に想像した場が、あまりにも収拾つかなさげな代物過ぎて、俺は唸るような声でそう呟いてしまった。
「ですわよね」
苦虫を噛み潰したような顔で同意してくれた友理恵さんの言葉に会話の終わりを悟ったのだろう。
◆どうしますか?
大人しく従う姿勢を見せる
従うように皆を説得する
ピコッ▶︎ わたし達は何も悪くないわ!
サーシャエール「様!」が、1番下の選択肢にカーソルを合わせて、ストーリー展開を決定していた。
『何故ですか⁈ 父上っ⁈』
「なせですかじゃないよ! いくらちちうえだって、そこはみのがしたりしないよ! おうけだけのもんだいじゃなくなるんだから‼︎」
「シグマセンティエは絶対君主制じゃない。制限君主制だ。国王陛下や王妃陛下ですら専横することの出来ない権能を何故、自分は行使出来ると考えられるんだ? 信じられん」
エンディミオン殿下だけじゃなくマックスもそう言って、普段はいい加減でチャランポランな国王が、何だかんだでちゃんと線引いて動いてるんだってことを暗に認めていた。
『本来ならば、お前達は全員、沙汰が下されるまで地下牢にて拘束するか謹慎を申し渡す所だが、世界情勢がそれを許さん。故に全員バラバラの地にて魔王戦に備えた修行を魔族国イプシロンニェーターに向かう1ヶ月前までしてもらう。互いの修行場への行き来は認めん』
『父上⁈』
『エルドレッドとダリルは、既に修行場として指定された現地へ向かっておる。お前達も早急に準備を整え、今日中に王都を出るように。これは命令だ』
『横暴です! 私達にも議会へ否認請求する権利が……』
『卒院パーティの場にて独断の越権行為によって国外追放という断罪をフランソワーヌ嬢に対して即時敢行したそなた達がそれを主張するのか?』
『!』
『ランドリウス公爵家やフランソワーヌ嬢に、その権利の行使を認めたのかね?』
『っ』
『彼女は、権利を行使せず、罪を認めて従ったに過ぎません』
『では、そなた達は自分達の犯した明らかな越権行為を認めんということか? ならば、従ったエルドレッドやダリルのように自由を許す訳にはいかん。今すぐ投獄するしかあるまい』
◆どうしますか?
大人しく従う姿勢を見せる
従うように皆を説得する
わたし達は何も悪くないわ!
[あら。3択は初めてね]
「1ばんチープなかいとうをせんたくしないと、みほんにならないので、3つめで!」
「うわぁ。メチャクチャ馬鹿っぷぉい。ゲームならまだしも現実にこの回答を選ぶヤツって常識も損得勘定もゼロ過ぎて有り得ないよなぁ」
「 “だって、わたしはヒロインだから!” 」
「………その台詞、現実に目の前で聞かされるとか、すげぇヤなんだけど?」
俺の口にした認識に、この手の話しでお花畑恋愛脳+物語ヒロインなりきり系女子によくある台詞を宣った亜梨沙さんに頭痛がしてきて思わず額を押さえてしまった。
「ざんねんながら、イタインさんがいいそうなよかんしかいたしませんわ」
「アリューシャが言うならまだしもそうじゃねぇヤツが言った日には、根拠も説得力も皆無だけどな」
「え? じゃあ、わたしが “ヒロインはアンタじゃなくて、わたしよ!” ってつっこめばいいの?」
「カオス…………っ!」
舞子さんの言葉に想像した場が、あまりにも収拾つかなさげな代物過ぎて、俺は唸るような声でそう呟いてしまった。
「ですわよね」
苦虫を噛み潰したような顔で同意してくれた友理恵さんの言葉に会話の終わりを悟ったのだろう。
◆どうしますか?
大人しく従う姿勢を見せる
従うように皆を説得する
ピコッ▶︎ わたし達は何も悪くないわ!
サーシャエール「様!」が、1番下の選択肢にカーソルを合わせて、ストーリー展開を決定していた。
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
えぇ、死ねばいいのにと思ってやりました。それが何か?
真理亜
恋愛
「アリン! 貴様! サーシャを階段から突き落としたと言うのは本当か!?」王太子である婚約者のカインからそう詰問された公爵令嬢のアリンは「えぇ、死ねばいいのにと思ってやりました。それが何か?」とサラッと答えた。その答えにカインは呆然とするが、やがてカインの取り巻き連中の婚約者達も揃ってサーシャを糾弾し始めたことにより、サーシャの本性が暴かれるのだった。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
お父様、お母様、わたくしが妖精姫だとお忘れですか?
サイコちゃん
恋愛
リジューレ伯爵家のリリウムは養女を理由に家を追い出されることになった。姉リリウムの婚約者は妹ロサへ譲り、家督もロサが継ぐらしい。
「お父様も、お母様も、わたくしが妖精姫だとすっかりお忘れなのですね? 今まで莫大な幸運を与えてきたことに気づいていなかったのですね? それなら、もういいです。わたくしはわたくしで自由に生きますから」
リリウムは家を出て、新たな人生を歩む。一方、リジューレ伯爵家は幸運を失い、急速に傾いていった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる