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第5章 女神の間にて

よりあざとい選択肢 -2-

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 そして案の定、やってきた勇者パーティの面々に言い渡されたのは、17歳エンディミオン殿下の越権行為に対する詰問だった。

『何故ですか⁈ 父上っ⁈』
「なせですかじゃないよ! いくらちちうえだって、そこはみのがしたりしないよ! おうけだけのもんだいじゃなくなるんだから‼︎」
「シグマセンティエは絶対君主制じゃない。制限君主制だ。国王陛下や王妃陛下ですら専横することの出来ない権能を何故、自分は行使出来ると考えられるんだ? 信じられん」

 エンディミオン殿下だけじゃなくマックスもそう言って、普段はいい加減でチャランポランな国王が、何だかんだでちゃんと線引いて動いてるんだってことを暗に認めていた。

『本来ならば、お前達は全員、沙汰が下されるまで地下牢にて拘束するか謹慎を申し渡す所だが、世界情勢がそれを許さん。故に全員バラバラの地にて魔王戦に備えた修行を魔族国イプシロンニェーターに向かう1ヶ月前までしてもらう。互いの修行場への行き来は認めん』
『父上⁈』
『エルドレッドとダリルは、既に修行場として指定された現地へ向かっておる。お前達も早急に準備を整え、今日中に王都を出るように。これは命令だ』
『横暴です! 私達にも議会へ否認請求する権利が……』
『卒院パーティの場にて独断の越権行為によって国外追放という断罪をフランソワーヌ嬢に対して即時敢行したそなた達がそれを主張するのか?』
『!』
『ランドリウス公爵家やフランソワーヌ嬢に、その権利の行使を認めたのかね?』
『っ』
『彼女は、権利を行使せず、罪を認めて従ったに過ぎません』
『では、そなた達は自分達の犯した明らかな越権行為を認めんということか? ならば、従ったエルドレッドやダリルのように自由を許す訳にはいかん。今すぐ投獄するしかあるまい』


◆どうしますか?
     大人しく従う姿勢を見せる
     従うように皆を説得する
     わたし達は何も悪くないわ!


[あら。3択は初めてね]
「1ばんチープなかいとうをせんたくしないと、みほんにならないので、3つめで!」
「うわぁ。メチャクチャ馬鹿っぷぉい。ゲームならまだしも現実にこの回答を選ぶヤツって常識も損得勘定もゼロ過ぎて有り得ないよなぁ」
「 “だって、わたしはヒロインだから!” 」
「………その台詞、現実に目の前で聞かされるとか、すげぇヤなんだけど?」

 俺の口にした認識に、この手の話しでお花畑恋愛脳+物語ヒロインなりきり系女子によくある台詞を宣った亜梨沙さんルナルリアに頭痛がしてきて思わず額を押さえてしまった。

「ざんねんながら、イタインさんがいいそうなよかんしかいたしませんわ」
「アリューシャが言うならまだしもそうじゃねぇヤツが言った日には、根拠も説得力も皆無だけどな」
「え? じゃあ、わたしが “ヒロインはアンタじゃなくて、わたしよ!” ってつっこめばいいの?」
「カオス…………っ!」

 舞子さんアリューシャの言葉に想像した場が、あまりにも収拾つかなさげな代物過ぎて、俺は唸るような声でそう呟いてしまった。

「ですわよね」

 苦虫を噛み潰したような顔で同意してくれた友理恵さんフランソワーヌの言葉に会話の終わりを悟ったのだろう。


◆どうしますか?
     大人しく従う姿勢を見せる
     従うように皆を説得する
 ピコッ▶︎ わたし達は何も悪くないわ!


 サーシャエール「様!」が、1番下の選択肢にカーソルを合わせて、ストーリー展開を決定していた。

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