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第5章 女神の間にて
卒院パーティーの裏側で -3-
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国境門に無事辿り着いた3人を公爵夫妻が出迎えてくれた。
『フラン!』
『フランソワーヌ!』
『御父様っ、御母様っ!』
抱き合いながら涙するフランソワーヌと夫人を公爵が2人纏めて守るように抱き締め、無事の再会を親子で喜び合っていた。
『エルドレッド君、ダリル。娘をここまで連れて来てくれて、有り難う』
『いえ。お助け出来て何よりでした』
『エルドレッドくん、ダリル、有り難う。こうして無事なフランと会えたのは、貴方達のお陰だわ』
『公爵夫人、喜ぶのはまだ早いよ。アリィを盲信してる女神教会の連中が動き出したって精霊達が言ってる。出来れば貴女もフランソワーヌ嬢と一緒にアルファードゥルークに渡った方がいい』
喜び合う親子から周囲の上空へと目を移しながらエルドレッドが近付きつつある危険を告げた。
『テセウス王太子殿下は、サーシャリスト枢機卿と繋がってる数少ない王族の1人です。彼の枢機卿は女神の加護で、俺達同様、魅了魔法を無効化出来るし、今はアルファードゥルークの教会に滞在中の筈です。俺も隣国の方が安全だと思います』
『ラナクシア。フランソワーヌと一緒に行きなさい』
『あなた!』
『危険です、御父様!』
『危険? いつものことだ』
フランソワーヌの言葉にフッ、と不敵な笑みを浮かべた公爵閣下が、王室暗部の部長として腕を奮って来た年月は伊達じゃない長さがある。
『そもそも殿下がなさっていることは、越権行為だ。フランソワーヌを助ける為に潜り込ませていた部下が自分の命令通りに動いたのを見て、王宮騎士団全てが自分の命令に従うと思っているなら大間違いだ。誰かがその間違いを糺さねばならぬというのならば、娘の分まで、私がその役目を担ってくれよう』
「……この話しのエンディミオン達は、完っ璧にアホなんだな。俺でもここまでローを敵に回して本気で怒らせる度胸なんざないぞ?」
暗部部長に相応しい真っ黒オーラ全開の公爵閣下を見て、国王が心底呆れたように言い放った。
そうな。
そんだけ好き放題やって生きてる割に敵が少ないのは、国王の長所だよな。
『大丈夫ですよ、公爵閣下には、俺達もついてますから。殿下達の好きにはさせません』
『王城も王室も、議会だって今回、学院で起きたことは、もう把握出来てる筈だしー? 危ないのは、公爵より寧ろ2人の方。早いとこアルファードゥルークの王宮に逃げ込んで、公爵や俺達を安心させて? ね?』
『……分かりました』
『御母様っ!』
『行きましょう、フランソワーヌ。わたくしも傍に居るから。これ以上、皆様の足枷になってはいけないわ』
ランドリウス公爵夫人は、流石に状況がよく分かっている。
現状、2人の身柄を殿下達側に押さえられるのが1番ヤバい。
特にフランソワーヌは、越権行為確定での処断とはいえ、国外追放を言い渡された身だ。
それを何処、と特定しなかったのは明らかに殿下のミスだが、それでもアルファードゥルーク側に入られるのが拙いのくらい、捕まえた後なら気づくだろう。
女神教会の連中にそのカードを獲得される訳には行かなかった。
『分かりました……御父様、エルドレッド様、ダリル先生。どうか、ご無事で』
フランソワーヌの言葉に3人は頷いて、母娘は隣国へと落ち延びて行った。
フランソワーヌ断罪ENDの中で唯一、逆ざまぁの目を残すことになるこのサブストは、ランドリウス公爵、エルドレッド、ダリル、という難易度高め設定な3人をどれだけ懐柔出来るかに女主人公の逆ハールートが成功するか失敗するかがかかっている。
それはストーリーの焦点が魔王戦へと移って行く中で、1番最初の分岐点とも言えるイベントだと当時でも囁かれていた。
『フラン!』
『フランソワーヌ!』
『御父様っ、御母様っ!』
抱き合いながら涙するフランソワーヌと夫人を公爵が2人纏めて守るように抱き締め、無事の再会を親子で喜び合っていた。
『エルドレッド君、ダリル。娘をここまで連れて来てくれて、有り難う』
『いえ。お助け出来て何よりでした』
『エルドレッドくん、ダリル、有り難う。こうして無事なフランと会えたのは、貴方達のお陰だわ』
『公爵夫人、喜ぶのはまだ早いよ。アリィを盲信してる女神教会の連中が動き出したって精霊達が言ってる。出来れば貴女もフランソワーヌ嬢と一緒にアルファードゥルークに渡った方がいい』
喜び合う親子から周囲の上空へと目を移しながらエルドレッドが近付きつつある危険を告げた。
『テセウス王太子殿下は、サーシャリスト枢機卿と繋がってる数少ない王族の1人です。彼の枢機卿は女神の加護で、俺達同様、魅了魔法を無効化出来るし、今はアルファードゥルークの教会に滞在中の筈です。俺も隣国の方が安全だと思います』
『ラナクシア。フランソワーヌと一緒に行きなさい』
『あなた!』
『危険です、御父様!』
『危険? いつものことだ』
フランソワーヌの言葉にフッ、と不敵な笑みを浮かべた公爵閣下が、王室暗部の部長として腕を奮って来た年月は伊達じゃない長さがある。
『そもそも殿下がなさっていることは、越権行為だ。フランソワーヌを助ける為に潜り込ませていた部下が自分の命令通りに動いたのを見て、王宮騎士団全てが自分の命令に従うと思っているなら大間違いだ。誰かがその間違いを糺さねばならぬというのならば、娘の分まで、私がその役目を担ってくれよう』
「……この話しのエンディミオン達は、完っ璧にアホなんだな。俺でもここまでローを敵に回して本気で怒らせる度胸なんざないぞ?」
暗部部長に相応しい真っ黒オーラ全開の公爵閣下を見て、国王が心底呆れたように言い放った。
そうな。
そんだけ好き放題やって生きてる割に敵が少ないのは、国王の長所だよな。
『大丈夫ですよ、公爵閣下には、俺達もついてますから。殿下達の好きにはさせません』
『王城も王室も、議会だって今回、学院で起きたことは、もう把握出来てる筈だしー? 危ないのは、公爵より寧ろ2人の方。早いとこアルファードゥルークの王宮に逃げ込んで、公爵や俺達を安心させて? ね?』
『……分かりました』
『御母様っ!』
『行きましょう、フランソワーヌ。わたくしも傍に居るから。これ以上、皆様の足枷になってはいけないわ』
ランドリウス公爵夫人は、流石に状況がよく分かっている。
現状、2人の身柄を殿下達側に押さえられるのが1番ヤバい。
特にフランソワーヌは、越権行為確定での処断とはいえ、国外追放を言い渡された身だ。
それを何処、と特定しなかったのは明らかに殿下のミスだが、それでもアルファードゥルーク側に入られるのが拙いのくらい、捕まえた後なら気づくだろう。
女神教会の連中にそのカードを獲得される訳には行かなかった。
『分かりました……御父様、エルドレッド様、ダリル先生。どうか、ご無事で』
フランソワーヌの言葉に3人は頷いて、母娘は隣国へと落ち延びて行った。
フランソワーヌ断罪ENDの中で唯一、逆ざまぁの目を残すことになるこのサブストは、ランドリウス公爵、エルドレッド、ダリル、という難易度高め設定な3人をどれだけ懐柔出来るかに女主人公の逆ハールートが成功するか失敗するかがかかっている。
それはストーリーの焦点が魔王戦へと移って行く中で、1番最初の分岐点とも言えるイベントだと当時でも囁かれていた。
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