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第5章 女神の間にて
花咲く丘にキミと2人で -10-
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入学式の行われる講堂にある最前列の中央には、14歳エンディミオン殿下とその婚約者である14歳フランソワーヌの席がある。
その左隣が宰相候補である14歳マックスとその婚約者ルピスの席。
14歳エンディミオン殿下の右隣が、近衛騎士団長候補である14歳アルフレッドとその婚約者である14歳リリエンヌの席。
王国騎士団は代々、前団長の指名制で決まるのでここに候補はいない。
14歳エルドレッドは、魔法士団長候補なので、14歳マックスの隣、そしてアリューシャはその隣へとエスコートされた。
周囲がザワついた何よりの理由がこれだ。
これまで婚約者を決めていなかったエルドレッドが、ついに婚約するのか、と。
『ねぇ、エル。わたし、ここに座っても大丈夫だったの? 後ろの皆、何か色々言ってない?』
『気にしない、気にしない。面と向かって言えない癖に他人の背景になった途端、ピーチクパーチク言う奴等はね、噂雀の生まれ変わりなのさ。折角、人間に生まれ変わったっていうのに、雀の頃の習性が直らないなんて、可哀想な生き物だよね。いっそ、人間になんて生まれ変わらない方が好き放題、噂が出来て幸せだったんじゃないのぉ?』
毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒ぷはあぁっ。
向こうがこっちに聞こえるように好き勝手言ってるんだから、こっちが向こうに好き勝手言うのだって有だよねっていう発想の元に発言しているので、ヒソヒソとかコソコソのレベルじゃない音量で、物凄く楽しげに吐き出された毒台詞は、後ろの席に座っている貴族の子女達を綺麗に全員黙らせる。
その後ろに並んで座っている平民達は、全然状況も事情もわかっていないので、戸惑い顔をしていたけれど、こんな貴族がワンサカ居る場所で、それを話題に出来る度胸がある者などいなかったようで、講堂は静まり返ってしまった。
『はい、静かになったー。全員揃ってるみたいだし、学院長先生、ご挨拶どうぞー?』
いつの間にやら前面の高くなっている講堂舞台にある教壇前に居た学院長に話しを振った14歳エルドレッドの言葉に、その場の全員がハッと気づいたような顔をして、そちらへ目を向けた。
咳払いをして学院長が祝辞を語り出す。
「このソツがない感じは確かにウチの子だけど、何かが微妙に違うのよねぇ」
母様の目にはアレがソツなく映ってる上に俺が同じカテゴリーに居ると感じてるらしい。
あるぇ?
「うーん……常識を常識として理解してる所とか、それに自分を嵌め込むんじゃなく、利用してる所は同じなのよ。多分、違うのは……ウチの子は、理解して尚、鼻で笑って無視してる感じで、この子は、けらけら笑いながら遠慮なしに破壊しまくってる感じかしら?」
「だって? エル?」
隔離空間内で母様が口にした俺2人への評価に、亜梨沙さんがニヤつきながら反応を促して来る。
「無視してる訳じゃない。その常識を適用しなくていい相手だと決めたヤツには適用してないだけだ。常識とは、その規範内に収まることが出来る者にのみ、適用して然るべきだからな。それでもTPOくらいは弁えてるぞ、俺は」
「たしかにアンタ、やつあたりと、むさべつばくげきはしないおとこよね」
俺の答えに舞子さんが同意してくれて、俺は内心、ホッと息をついた。
少なくとも俺は、面白ければ後はどうでいいっていう本物のエルドレッドと自分は、向いてる方向が違うと思ってるので、彼女の評価は有り難かった。
その左隣が宰相候補である14歳マックスとその婚約者ルピスの席。
14歳エンディミオン殿下の右隣が、近衛騎士団長候補である14歳アルフレッドとその婚約者である14歳リリエンヌの席。
王国騎士団は代々、前団長の指名制で決まるのでここに候補はいない。
14歳エルドレッドは、魔法士団長候補なので、14歳マックスの隣、そしてアリューシャはその隣へとエスコートされた。
周囲がザワついた何よりの理由がこれだ。
これまで婚約者を決めていなかったエルドレッドが、ついに婚約するのか、と。
『ねぇ、エル。わたし、ここに座っても大丈夫だったの? 後ろの皆、何か色々言ってない?』
『気にしない、気にしない。面と向かって言えない癖に他人の背景になった途端、ピーチクパーチク言う奴等はね、噂雀の生まれ変わりなのさ。折角、人間に生まれ変わったっていうのに、雀の頃の習性が直らないなんて、可哀想な生き物だよね。いっそ、人間になんて生まれ変わらない方が好き放題、噂が出来て幸せだったんじゃないのぉ?』
毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒毒ぷはあぁっ。
向こうがこっちに聞こえるように好き勝手言ってるんだから、こっちが向こうに好き勝手言うのだって有だよねっていう発想の元に発言しているので、ヒソヒソとかコソコソのレベルじゃない音量で、物凄く楽しげに吐き出された毒台詞は、後ろの席に座っている貴族の子女達を綺麗に全員黙らせる。
その後ろに並んで座っている平民達は、全然状況も事情もわかっていないので、戸惑い顔をしていたけれど、こんな貴族がワンサカ居る場所で、それを話題に出来る度胸がある者などいなかったようで、講堂は静まり返ってしまった。
『はい、静かになったー。全員揃ってるみたいだし、学院長先生、ご挨拶どうぞー?』
いつの間にやら前面の高くなっている講堂舞台にある教壇前に居た学院長に話しを振った14歳エルドレッドの言葉に、その場の全員がハッと気づいたような顔をして、そちらへ目を向けた。
咳払いをして学院長が祝辞を語り出す。
「このソツがない感じは確かにウチの子だけど、何かが微妙に違うのよねぇ」
母様の目にはアレがソツなく映ってる上に俺が同じカテゴリーに居ると感じてるらしい。
あるぇ?
「うーん……常識を常識として理解してる所とか、それに自分を嵌め込むんじゃなく、利用してる所は同じなのよ。多分、違うのは……ウチの子は、理解して尚、鼻で笑って無視してる感じで、この子は、けらけら笑いながら遠慮なしに破壊しまくってる感じかしら?」
「だって? エル?」
隔離空間内で母様が口にした俺2人への評価に、亜梨沙さんがニヤつきながら反応を促して来る。
「無視してる訳じゃない。その常識を適用しなくていい相手だと決めたヤツには適用してないだけだ。常識とは、その規範内に収まることが出来る者にのみ、適用して然るべきだからな。それでもTPOくらいは弁えてるぞ、俺は」
「たしかにアンタ、やつあたりと、むさべつばくげきはしないおとこよね」
俺の答えに舞子さんが同意してくれて、俺は内心、ホッと息をついた。
少なくとも俺は、面白ければ後はどうでいいっていう本物のエルドレッドと自分は、向いてる方向が違うと思ってるので、彼女の評価は有り難かった。
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