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第5章 女神の間にて

女神との邂逅

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 国王陛下の諸○あ○る顔負けな発言はさて置き、ここから先は笑い事では済まない。

 俺達転生組にとっては、1種の通過儀礼になるだろうことが予想されて、俺は一旦サーシャエール『様!』の手を一礼後に離してから空気中の炭素を魔法で掻き集めた。

 圧縮再構築で作り上げたダイアモンドの神座に収納庫ストレージから出したクッションを2つ、座面と背面にそれぞれ配置して再びサーシャエール『様!』へと手を差し出し作った神座へとエスコートする。

[皆、中へ。好きな席へと腰を落ち着け、楽になさい]

 涼やかな春の風を思わせる声音に誘われて、皆が教会の中へと足を踏み入れる。

 最後に息子のアルフレッドにエスコートされて辺境伯夫人が中に入った所で、俺は右手の指先を手前へ招くように動かして、扉を閉めた。

 指を鳴らして展開したのは、魔法、魔導具、物理を問わず、防音、盗聴、覗見、録画に対する遮断結界だ。

[ルナルリア、こちらへ]
「っ、はい……」

 名指しされたことに、やや緊張した面持ちで返事をしたルナルリアが前へと進み出てサーシャエール『様!』の傍には、都合、俺達転生組が全員揃った格好になった。

[皆、さぞかし、色々な疑問を抱いていることでしょう。お話しを始める前に、まずはそれを解消いたしましょうね]

 優しい声音でそう告げたサーシャエール『様!』の言葉に皆の目が、一瞬でトロンと弛緩した物に代わり、俺達4人を除く全員が昏倒した。

[知ることは、必ずしも良いことではありません。ですが、知らなければ、いらぬ恐れと疑問が解き解されることはありません。知りなさい。これまでの全てを。知りなさい。これから起こる可能性のある悪しき未来と、貴方がたの努力で避けることの出来た未来が、どのような物であったのかを。そして、学び、考え、心にとめておきなさい。選び、努力し、勝ち取り、進んでゆきなさい。誰もが幸せと喜び、愛に溢れた生涯を送る権利があることを知りなさい。その未来を掴み取る為の責務を果たすのに必要なことを見ていらっしゃい]

 サーシャエール『様!』が語る言葉は、直接、脳内へと送り込まれているものだから、早々に意識を手放した者達も最後の最後まで、抵抗レジストしていたランドリウス公爵、アルフレッド、ダリルの3人も起きた時、ちゃんと覚えているだろう。

 うっすらと皆の姿が朧気なものとなり、それぞれが別の隔離空間へと隔てられてゆくのを眺めながら俺は思う。

(問題は、寧ろ、全員の目が覚めてからだろうな)

「いやー! もー! ドキドキするぅ! ぜんぶしったマックスさまに、きらわれたらどうしよう⁈」
「やめて! いわないで! かんがえないようにしてたのに!」
「サーシャエールさま……もしものときには、おじひを……」
[あらあら、大丈夫よー。貴女達の好きになった男の子達を信じなさい? 天下の乙女ゲー攻略対象者様なのですよー?]
「……身も蓋もないのに、何故かオタク女子への説得力が半端ねぇ」

 半ば悲鳴を上げながら訴えた女の子達に、的確過ぎるコメントを返したサーシャエール『様!』に、俺は感心半分、呆れ半分で突っ込みを入れていた。

 女神の力で皆が見せられているのは、俺達の前世と “花キミ” アプリで俺達が知る情報、そして、この世界に訪れかけている、そのアプリゲームとの共通未来に関することだ。

 今回、“18禁コンテンツ” 部分は、18禁なんだから全編対象で親世代にしか見せないとサーシャエール『様!』は断じていた。

 だとするなら、恐らく、1番ショックを受けるのは、エンディミオン殿下とアルフレッドじゃなかろうかと個人的には思うのだけど……果てさて、結果はどうなるのかねぇ?

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