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第5章 女神の間にて
どうしてこうなった? -4-
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決して疑っとった訳ではないんだが、この小僧ホントに女神様と話しが出来るようになったんだな、と先を歩くチビこい背中に俺は思う。
別に俺は偉大な王にも賢い王にもなる気はなかったし、恐らく歴代王族の中で最も不敬罪の適用とは程遠い王となるのは俺だという自負もある。
そうじゃないと身分を気にして寄ってくる女が減ってしまうからな!
美しい女、可愛い女、野心家な女も嫌いじゃない。
他人から見れば外見が不細工だと言われるような女でも、穏やかで優しい女、側にいるとホッと息が抜ける女、様々な女が世の中には居て、皆違って皆イイ女なのに、たった1人に全部背負わせようっていう世の中の価値観の方がどうかしとると俺は常々思っていた。
どうしても1人に決めろというのなら、愛してると思ってそれを言う女だけを1人に決めた。
俺は何があろうと絶対に彼女を見捨てず、結婚するのも正妻の座に座らせる女も彼女1人。
無論、俺の子供を産ませるのも彼女1人だ。
それらを可能にする財力と権力が生まれながらに俺にはあり、兄弟達は、何かよく分からん理屈を並べて口を揃えたように「貴方のような男にはなりたくてもなれません」と言って自ら臣籍に降って行った。
その前もその後も俺の側には数多の女が居たけれど、その所為だろうか? 男の友人は極端に少なかった。
即位前も即位後も俺に女を取られるのが嫌だと言うのがそいつらの言い分だった。
そんなに嫌なら自分が俺に代わって王になるなり、ロー達のように自分以外には目もくれない女を探せばよいものを不思議なことを言う、としか俺には思えなかった。
金、名誉、権力、愛。
様々な物を目当てに女は俺に寄ってくるが、俺は最後の物だけは妃となった彼女にしか与えなかったから、最後が目当ての女とは長続きしないか、そもそも寄って来ないかの2択だったんだから、狙い目なのにな。
ロー達とは、俺が子供の頃からの付き合いだ。
1番付き合いの浅いスターですら学院以来の仲だ。
王と臣下としてだけではなく、普通に友人関係が続いている数少ない者達だ。
最近、その囲みの中に、小僧が2人加わった。
1人は、宰相をしてくれているセツの息子で、賢者になったという小僧。
そして、もう1人がスターの息子で魔導術士になっただけじゃ飽き足らず、何でか知らんが急に女神様と話せるようなったこの小僧だった。
セツの息子は育ちの所為もあってか、俺に対して一種の諦めがあるらしく、セツに嫁いだ妹同様、王城でもう仕事をしてもらっとるのもあって、献策や上奏にも無理とソツがない。
だが、この小僧は違った。
『だからどうした。知るか。国王お前だろ? やれ』
恐らく宰相のセツを含め、臣下の者達が言いたくても言えなかっただろうそのテのセリフをこの小僧は、平気で俺に吐いて来る。
見た目の色が、6色から11色に増えたらそれがもっと遠慮ゼロになった。
1度、俺が全く問題になぞしとらん不敬罪を何でか振り翳した阿保が1人居て、それを小僧にぶつけるという出来事が、あるにはあった。
あ、コイツ死んだな、という目で俺がソイツを見た時の妃の意外そうな目は、今でも忘れん。
おいおい、俺はこの小僧の言う通り、国王なんだよ。
精霊王の寵愛なんてもんを欲しいままにしとるヤツを小僧とは言え、自分より下に見れる訳なかろうが。
逆に小僧が、俺と対等な位置まで降りて来とるから、俺は国王のままでいられてるんだと言っても過言じゃない。
そう。
俺と小僧の関係は、相手が息子と同じ年なことを除けば友人……いや、悪友に近いかもしれんな。
ロー達ですら臣下の枠からはみ出すことは出来んが、小僧は別だ。
望めば世界の頂点にだって簡単に立てるだろうに、そんなものに興味はないとばかり、1人の娘に入れ上げて俺の国に留まっとるのだから。
自分の女と決めた愛する女は生涯ただ1人だけ。
そこだけは俺と同じかもしれんな。
国なんぞより、もっとデカいもの背負っちまったらしい小僧の背中を眺めながら……今代勇者となった俺の息子にとっても、俺にとっても、この小僧の存在は、よい助けになるのだろう、とそう思えた。
……あー、そうそう。
自分がされた経験があるから言う訳じゃないがな?
気に入らんとイヤガラセでチビ精霊けしかけるのと、殺さん代わりに肥溜へ転移魔法でブチ込む癖があるのだけは、そろそろどうにかせんとイカン気がしなくもないが。
例の不敬罪を問うた阿保は、勿論、肥溜行きになった後、1週間くらいチビ精霊どもに遊ばれ続けて音をあげたっけな。
……うん。
同じ轍は踏みたくない。
小僧と交渉するよりは、リリエンヌ嬢と交渉した方が早いかもしれん。
なぁ、女神様よ。
貴女、この小僧に二物も三物も与え過ぎちゃいやしませんかの?
その辺りも今回、聞いたら教えてくれれば、対処の方法を考えられるんだが、どうだろうか。
別に俺は偉大な王にも賢い王にもなる気はなかったし、恐らく歴代王族の中で最も不敬罪の適用とは程遠い王となるのは俺だという自負もある。
そうじゃないと身分を気にして寄ってくる女が減ってしまうからな!
美しい女、可愛い女、野心家な女も嫌いじゃない。
他人から見れば外見が不細工だと言われるような女でも、穏やかで優しい女、側にいるとホッと息が抜ける女、様々な女が世の中には居て、皆違って皆イイ女なのに、たった1人に全部背負わせようっていう世の中の価値観の方がどうかしとると俺は常々思っていた。
どうしても1人に決めろというのなら、愛してると思ってそれを言う女だけを1人に決めた。
俺は何があろうと絶対に彼女を見捨てず、結婚するのも正妻の座に座らせる女も彼女1人。
無論、俺の子供を産ませるのも彼女1人だ。
それらを可能にする財力と権力が生まれながらに俺にはあり、兄弟達は、何かよく分からん理屈を並べて口を揃えたように「貴方のような男にはなりたくてもなれません」と言って自ら臣籍に降って行った。
その前もその後も俺の側には数多の女が居たけれど、その所為だろうか? 男の友人は極端に少なかった。
即位前も即位後も俺に女を取られるのが嫌だと言うのがそいつらの言い分だった。
そんなに嫌なら自分が俺に代わって王になるなり、ロー達のように自分以外には目もくれない女を探せばよいものを不思議なことを言う、としか俺には思えなかった。
金、名誉、権力、愛。
様々な物を目当てに女は俺に寄ってくるが、俺は最後の物だけは妃となった彼女にしか与えなかったから、最後が目当ての女とは長続きしないか、そもそも寄って来ないかの2択だったんだから、狙い目なのにな。
ロー達とは、俺が子供の頃からの付き合いだ。
1番付き合いの浅いスターですら学院以来の仲だ。
王と臣下としてだけではなく、普通に友人関係が続いている数少ない者達だ。
最近、その囲みの中に、小僧が2人加わった。
1人は、宰相をしてくれているセツの息子で、賢者になったという小僧。
そして、もう1人がスターの息子で魔導術士になっただけじゃ飽き足らず、何でか知らんが急に女神様と話せるようなったこの小僧だった。
セツの息子は育ちの所為もあってか、俺に対して一種の諦めがあるらしく、セツに嫁いだ妹同様、王城でもう仕事をしてもらっとるのもあって、献策や上奏にも無理とソツがない。
だが、この小僧は違った。
『だからどうした。知るか。国王お前だろ? やれ』
恐らく宰相のセツを含め、臣下の者達が言いたくても言えなかっただろうそのテのセリフをこの小僧は、平気で俺に吐いて来る。
見た目の色が、6色から11色に増えたらそれがもっと遠慮ゼロになった。
1度、俺が全く問題になぞしとらん不敬罪を何でか振り翳した阿保が1人居て、それを小僧にぶつけるという出来事が、あるにはあった。
あ、コイツ死んだな、という目で俺がソイツを見た時の妃の意外そうな目は、今でも忘れん。
おいおい、俺はこの小僧の言う通り、国王なんだよ。
精霊王の寵愛なんてもんを欲しいままにしとるヤツを小僧とは言え、自分より下に見れる訳なかろうが。
逆に小僧が、俺と対等な位置まで降りて来とるから、俺は国王のままでいられてるんだと言っても過言じゃない。
そう。
俺と小僧の関係は、相手が息子と同じ年なことを除けば友人……いや、悪友に近いかもしれんな。
ロー達ですら臣下の枠からはみ出すことは出来んが、小僧は別だ。
望めば世界の頂点にだって簡単に立てるだろうに、そんなものに興味はないとばかり、1人の娘に入れ上げて俺の国に留まっとるのだから。
自分の女と決めた愛する女は生涯ただ1人だけ。
そこだけは俺と同じかもしれんな。
国なんぞより、もっとデカいもの背負っちまったらしい小僧の背中を眺めながら……今代勇者となった俺の息子にとっても、俺にとっても、この小僧の存在は、よい助けになるのだろう、とそう思えた。
……あー、そうそう。
自分がされた経験があるから言う訳じゃないがな?
気に入らんとイヤガラセでチビ精霊けしかけるのと、殺さん代わりに肥溜へ転移魔法でブチ込む癖があるのだけは、そろそろどうにかせんとイカン気がしなくもないが。
例の不敬罪を問うた阿保は、勿論、肥溜行きになった後、1週間くらいチビ精霊どもに遊ばれ続けて音をあげたっけな。
……うん。
同じ轍は踏みたくない。
小僧と交渉するよりは、リリエンヌ嬢と交渉した方が早いかもしれん。
なぁ、女神様よ。
貴女、この小僧に二物も三物も与え過ぎちゃいやしませんかの?
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