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第4章 集まれ仲間達
聖騎士未満 -2-
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「なんにせよ、フランソワーヌじょうと、みなのおかげでいのちびろいをしたらしい。かんしゃする」
「水臭いこと言わないでくださいよ、若。これでも俺達、若のことは、子供ながらにすげぇ男だって思ってんですから」
「そうですよ。勇者パーティの一員だって聞いて、寧ろ納得しましたもんね。若が入んねぇなら誰が入れるってんだ。ねぇ? お嬢さん?」
「おっしゃるとおりですわ。このような、さまつなできごとで、うしなうわけにはゆかぬおかたであることは、まちがいございません」
兵達の言葉にフランソワーヌまでもがそう言って俺を持ち上げてくれて、面映いを通り越して最早、小っ恥ずかしい。
せめて無傷で勝った時に聞きたかった。
「こたびのたたかかいにおけるふしょうは、ルナさまのつくってくださるぼうぐが、まにあわなかったがゆえのものでございますわ。エンディミオンでんかも、せいしのさかいをさまよわれ、おねぇさまが、こちらがわでじんりょくなされたようです」
「エンディミオンでんかも、おれとおなじように、かしとなって、おもどりになられたのか」
「はい。マックスさまだけが、けんじゃのしょうごうにかくせいされて、せいまほうのしえんなしに、じりきふっかつされたのだとか」
なるほど。
俺とエンディミオン殿下が、そうならなかった理由は称号の覚醒がなかったからか。
そう考えると何だか悔しい。
「おれは、どうなっていれば、かくせいできたのだろうな?」
「そこんトコはタイショー、気楽に行きましょうや?」
「そーそー。アンタまだ3歳なんですぜ? 人生これからなのに、40、50の枯れかけたジジイみたいに、我が人生の命題之在! みてぇな空気出すのよしやしょうや? 溜息出ちゃう」
「まぁ! うふふっ」
冗談全開で兵達が叩いた軽口に、フランソワーヌが朗らかに笑う。
「でしたら、わたくしも、きらくにいかせていただこうかしら? ういみことして、サーシャエールさまと、おはなしこそできるものの、それいがいのことは、しょうごうかくせいしておりませんので、たいしたことなどできませんのよ? わたくし」
「や。この冷凍腐れドラゴン見て、大したこと出来ないは通りやせんぜ? お嬢さん?」
「あら。みためは、はでですけれど、いがいとかんたんなのですよ?」
「ええー……」
不満げな声を漏らす兵達に、フランソワーヌは笑うけれど、カッチンコッチンの生腐屍者・ドラゴンを目にすれば、俺も彼等に同意する。
(……愛巫女の称号云々ではなく、それ以前の彼女が、既に有能なのではないかと言う気がするのだがな?)
漠然とそんなことを考えていた俺達の傍に現れる円形4分の3の暗闇。
独特の低音が響き渡り、5本の帯が円の外周を回る。
「いらしたようですわね」
「ああ。わかりやすい」
「ほかのみなさまは、すでにごうりゅうされていらっしゃるのかしら?」
「どうだろう」
「すくなくとも、ルナさまはいらっしゃるようですわね」
「そうだな。これがうごいているのだから」
「はい」
ガチン、ガチン、と重い音を鳴らして噛み合って行く文字を眺めながら俺とフランソワーヌは、呑気にそんなことを話し合っていた。
「水臭いこと言わないでくださいよ、若。これでも俺達、若のことは、子供ながらにすげぇ男だって思ってんですから」
「そうですよ。勇者パーティの一員だって聞いて、寧ろ納得しましたもんね。若が入んねぇなら誰が入れるってんだ。ねぇ? お嬢さん?」
「おっしゃるとおりですわ。このような、さまつなできごとで、うしなうわけにはゆかぬおかたであることは、まちがいございません」
兵達の言葉にフランソワーヌまでもがそう言って俺を持ち上げてくれて、面映いを通り越して最早、小っ恥ずかしい。
せめて無傷で勝った時に聞きたかった。
「こたびのたたかかいにおけるふしょうは、ルナさまのつくってくださるぼうぐが、まにあわなかったがゆえのものでございますわ。エンディミオンでんかも、せいしのさかいをさまよわれ、おねぇさまが、こちらがわでじんりょくなされたようです」
「エンディミオンでんかも、おれとおなじように、かしとなって、おもどりになられたのか」
「はい。マックスさまだけが、けんじゃのしょうごうにかくせいされて、せいまほうのしえんなしに、じりきふっかつされたのだとか」
なるほど。
俺とエンディミオン殿下が、そうならなかった理由は称号の覚醒がなかったからか。
そう考えると何だか悔しい。
「おれは、どうなっていれば、かくせいできたのだろうな?」
「そこんトコはタイショー、気楽に行きましょうや?」
「そーそー。アンタまだ3歳なんですぜ? 人生これからなのに、40、50の枯れかけたジジイみたいに、我が人生の命題之在! みてぇな空気出すのよしやしょうや? 溜息出ちゃう」
「まぁ! うふふっ」
冗談全開で兵達が叩いた軽口に、フランソワーヌが朗らかに笑う。
「でしたら、わたくしも、きらくにいかせていただこうかしら? ういみことして、サーシャエールさまと、おはなしこそできるものの、それいがいのことは、しょうごうかくせいしておりませんので、たいしたことなどできませんのよ? わたくし」
「や。この冷凍腐れドラゴン見て、大したこと出来ないは通りやせんぜ? お嬢さん?」
「あら。みためは、はでですけれど、いがいとかんたんなのですよ?」
「ええー……」
不満げな声を漏らす兵達に、フランソワーヌは笑うけれど、カッチンコッチンの生腐屍者・ドラゴンを目にすれば、俺も彼等に同意する。
(……愛巫女の称号云々ではなく、それ以前の彼女が、既に有能なのではないかと言う気がするのだがな?)
漠然とそんなことを考えていた俺達の傍に現れる円形4分の3の暗闇。
独特の低音が響き渡り、5本の帯が円の外周を回る。
「いらしたようですわね」
「ああ。わかりやすい」
「ほかのみなさまは、すでにごうりゅうされていらっしゃるのかしら?」
「どうだろう」
「すくなくとも、ルナさまはいらっしゃるようですわね」
「そうだな。これがうごいているのだから」
「はい」
ガチン、ガチン、と重い音を鳴らして噛み合って行く文字を眺めながら俺とフランソワーヌは、呑気にそんなことを話し合っていた。
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