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第4章 集まれ仲間達
砦 of Dead -7-
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フランからの合図があってすぐ、僕達の居る防壁の近くに現れた生腐屍者・ドラゴンは……。
「くさって、しんでるくせに、とぶなーっ‼︎」
と、アリィが叫んだ突っ込みの通り、空を飛んでいた。
ドラゴンって、鳥みたいに翼で飛んでるんじゃなくて、ドラゴン特有の “竜語魔法” って言うのを使って飛んでるんだって魔物学の専属教師が言ってたけど、ホントなんだなぁ。
だって翼、腐ってるし、穴空いてるし、骨みたいのまで見えるのに、それでも飛んでるもん。
ドラゴンは、そもそも規格外の生き物で、生物種の頂点と思って問題ないって、言われる筈だよね、これならさ?
「エンディミオン殿下? 大丈夫ですか?」
「えっ? なにが?」
「いえ、黙って見上げおられたので、怖くなってしまわれたかと……」
「ああ……それは、だいじょうぶ。もっとすごいの、エルとせいれいたちに、みせられたことあるし……つばさ、くさってあなあいてるのに、ホントにとんでるなぁ、とおもってみてただけ。なんであのじょうたいでもとべるのかは、まものがくで、ならってはいるから、しってる」
まだ、飛んでるだけで攻撃してくる様子のない生腐屍者・ドラゴンを見上げながら兵に問われたことに答える。
僕の脳裏には、エルが見せてくれた女王個体だという形容し難い黒い異形が蘇ってきていて、アレに比べたらコレは全然、気持ち悪くないし、怖くもないな、と思った。
ドラゴン自体あの大きさだから、女王個体が産んだ卵から孵った幼体みたいに、いきなり顔に張り付いてくるとかもなさそうだしね。
「エンディ、よっぽどトラウマになったのね。エ○リ○ン」
「だってぼく、あのひ、ゆめにみてさ。どこまでもつづくダンジョンのなかで、おいかけられたんだよ? あのくろくてデカいのに!」
「それは、こわいわねー。二アリ、リ○リーたいけんだわぁ」
「それにくらべたら、あれは、くさってるだけで、ただのドラゴンだもん。こわくないよ」
何処か困ったような笑いを浮かべながら応えを返してくれたアリィに僕は、空に浮かぶ生腐屍者・ドラゴンを指差しながら訴えた。
「……エンディのこわいっておもうきじゅんを、おかしくすることにだけは、せいこうしたみたいね、アイツ」
アイツって言うのは、多分、エルのことだと思うんだけど。
「なんかね? 『いざというときのために、おまえの “さんち” のきそパラをあげときたいんだ』とかっていわれて、あれいらい、ぼくだけちょくちょくエルに、おっかないものみせられるんだけど、ひつようなのかなぁ?」
「SANちって……おとめゲーにあるか、そんなもん! わたしのエンディに、なにしてくれとんじゃ! っておもわなくもないけど、アレをこわいとかんじないですんでるのが、エルのねらいどおりってわかると、もんくいいづらいわねぇ」
腕を組んで渋面を作ったアリィが、また僕に分からない単語を織り交ぜながらそう言って生腐屍者・ドラゴンを見上げる。
つられて僕も同じものを見上げて。
うん。
エルが見せてくる「ほらーえいがのほんとうのしゅやくたち」って言うのに比べたら、魔物なんて、どれもこれも怖くないと思うけどな?
「くさって、しんでるくせに、とぶなーっ‼︎」
と、アリィが叫んだ突っ込みの通り、空を飛んでいた。
ドラゴンって、鳥みたいに翼で飛んでるんじゃなくて、ドラゴン特有の “竜語魔法” って言うのを使って飛んでるんだって魔物学の専属教師が言ってたけど、ホントなんだなぁ。
だって翼、腐ってるし、穴空いてるし、骨みたいのまで見えるのに、それでも飛んでるもん。
ドラゴンは、そもそも規格外の生き物で、生物種の頂点と思って問題ないって、言われる筈だよね、これならさ?
「エンディミオン殿下? 大丈夫ですか?」
「えっ? なにが?」
「いえ、黙って見上げおられたので、怖くなってしまわれたかと……」
「ああ……それは、だいじょうぶ。もっとすごいの、エルとせいれいたちに、みせられたことあるし……つばさ、くさってあなあいてるのに、ホントにとんでるなぁ、とおもってみてただけ。なんであのじょうたいでもとべるのかは、まものがくで、ならってはいるから、しってる」
まだ、飛んでるだけで攻撃してくる様子のない生腐屍者・ドラゴンを見上げながら兵に問われたことに答える。
僕の脳裏には、エルが見せてくれた女王個体だという形容し難い黒い異形が蘇ってきていて、アレに比べたらコレは全然、気持ち悪くないし、怖くもないな、と思った。
ドラゴン自体あの大きさだから、女王個体が産んだ卵から孵った幼体みたいに、いきなり顔に張り付いてくるとかもなさそうだしね。
「エンディ、よっぽどトラウマになったのね。エ○リ○ン」
「だってぼく、あのひ、ゆめにみてさ。どこまでもつづくダンジョンのなかで、おいかけられたんだよ? あのくろくてデカいのに!」
「それは、こわいわねー。二アリ、リ○リーたいけんだわぁ」
「それにくらべたら、あれは、くさってるだけで、ただのドラゴンだもん。こわくないよ」
何処か困ったような笑いを浮かべながら応えを返してくれたアリィに僕は、空に浮かぶ生腐屍者・ドラゴンを指差しながら訴えた。
「……エンディのこわいっておもうきじゅんを、おかしくすることにだけは、せいこうしたみたいね、アイツ」
アイツって言うのは、多分、エルのことだと思うんだけど。
「なんかね? 『いざというときのために、おまえの “さんち” のきそパラをあげときたいんだ』とかっていわれて、あれいらい、ぼくだけちょくちょくエルに、おっかないものみせられるんだけど、ひつようなのかなぁ?」
「SANちって……おとめゲーにあるか、そんなもん! わたしのエンディに、なにしてくれとんじゃ! っておもわなくもないけど、アレをこわいとかんじないですんでるのが、エルのねらいどおりってわかると、もんくいいづらいわねぇ」
腕を組んで渋面を作ったアリィが、また僕に分からない単語を織り交ぜながらそう言って生腐屍者・ドラゴンを見上げる。
つられて僕も同じものを見上げて。
うん。
エルが見せてくる「ほらーえいがのほんとうのしゅやくたち」って言うのに比べたら、魔物なんて、どれもこれも怖くないと思うけどな?
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