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第4章 集まれ仲間達

砦 of Dead -6-

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 決してバレたからではないだろうが、泣くのをやめた子供が威嚇している猫みたいな声を上げて傭兵の足にしがみつき、足甲のない脹脛ふくらはぎ側に噛みついた。

「ぎゃあっ‼︎」
「シェイパー!」
「シェイパー! ブランドル!」

 傭兵仲間が、生腐屍者アンデットの子供を引き剥がすか殺し直すかするのだろう。

 2人くらい、走り寄って行くのが見えた。

(転移で逃げるのはダメだ。俺がここからいなくなれば、下にいる連中にブレスが直撃する。くっそ!)

 霧状になって放たれるブレスを防ぐ為に水分と空気を完全に遮断する防壁を水と風の2属性で構築する。

 これまでは俺の前だけでよかったけど、今は足下にも人がいるので、L字型にせざるを得なかった。

 3つ首が、こんな時ばっかりタイミングバッチリでブレスを同時に放って来る。

 俺の正面に出来上がった防壁がそれを防ぎ、下に行かないように作った防壁にあたって、流れ落ちて行く様は、滝をイメージしたイルミネーションが汚い灰紫色になったかのようだった。

「はやく、そいつをつれて、リリエンヌのいるところまでさがれっ!」
「はいっ!」

 生腐屍者アンデットの子は、ちゃんとした死者となり、噛まれた傭兵は既に抗薬の瓶を口に咥えて飲んでいる最中みたいで、他の2人に少し瓶と身体を支えられながら、無理矢理、門の方へと撤退する為に走り出した。

 リリエンヌからの支援で、速度強化と体力強化の薬が針になったものが3人の身体に刺さって吸い込まれていく。

 あれ、刺さってるのに痛くないのが不思議なんだけどリリエンヌ曰く、攻撃に使ってるもの以外は痛くないようにって思って投げてるから、その所為じゃないかと言っていた。

 ホントにそうなのかは、ルナに確認しないと分からないけれど。

 ブレスを吐き終わった首の1つが、俺に噛みつこうとこちらへ伸びてきて、同時にもう1つの首が走り去っていく3人へと伸びて行く。

「させるかッ‼︎」

 短距離転移で、今いる場所から3人と生腐屍者アンデット・ドラゴンの間に出て、物理障壁の魔法陣を敷き、それ以上、首が近付いて来るのを阻止した。

 すると急に俺がいなくなって頭の上に「?」を浮かべているのとは違う、もう1つの首が、障壁を通らない別の軌道で3人を追う。

「このっ‼︎」

 攻撃も防御しまくってる俺より、数も多けりゃ自分にゃ何もしてこない3人の方が襲い易いのは認めるが、こうもあからさまに波状攻撃で狙われると面倒くさい。

 3人の方を纏めて転移させた方が早いかもしれない。

 俺がそう判断して、撤退に意識を向けた時だった。

「エルドレッドさまぁっ‼︎」

 悲鳴に近いリリエンヌの声が聞こえて、ついさっき迄、ハテナ飛ばしてた頭が俺の方へと迫って来ているのが見えた。

 肉も筋も腐って骨が見えてる首が妙に滑らかに畝ってる。

 腐臭がする程、近くにある開いた顎に並ぶ牙列が、憎たらしいくらい綺麗に生え揃っててイラっとする。

 転移させた3人の居た位置を空振り噛み付きした残りの頭1つに。

「ざまぁみろ」

 と悪態をついて、俺の意識は途切れた。

「いやぁぁぁぁぁっ‼︎‼︎!」

 やけに遠くの方でリリエンヌの上げる悲鳴のような叫び声が、聞こえた気がした。

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