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第4章 集まれ仲間達

辺境伯領の落日 -14-

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「アルっぴ、カンよくね? きづくとおもわなかったわ」
「そう、おたずねになるということは、すでに、めぼしはついておられるのですね?」

 俺の質問に2人の女の子は、それぞれ肯定したも同然の返答と質問をしてきた。

「おれが、まだとりでにいた3しゅうかんまえまでは、あそこまで、ひどいおとこじゃなかったんだ」

 彼は、勇敢な戦士だった。

 騎士としても、男としても尊敬できて、頼りになって、強く、賢く、仲間への想いやりもあり、皆の良き兄でもあった。

 父上は、そんなシュバックだったから、この重要な砦の副司令を任せた。

 何があった?

 どうしてこうなった?

 シュバックをあんな風に変えてしまう出来事って、何なんだ?

「いまはまだ、りかいできなくていいのよ。いろんなしがらみと、よくにまみれたおとなたちのじじょうなんて、わたくしたちこどもが、そんたくしてあげなくちゃいけないほど、たんじゅんで、きれいにわりきれるものじゃないわ」

 大事な局面で砦に居ることが出来なかった自分が悔しくて、強く拳を握って唇を噛んだ俺に「ルナさま」が言う。

「そうですわね。おねぇさまが、おっしゃったように “リスクとおなじてんびんにプライドをのせるかた” は、じゅっちゅうにはめるのも、たやすいものでございますから。ターゲットとして、いぜんから、めをつけられていた、とみるべきですわね」

 確かにシュバックには、そういう気らいがあった。

 でもそれは、今みたいにかけどころを間違えられたプライドではなく、ここぞという時に自分と仲間の心が折れぬよう、芯を奮い立たせる為のものだったことを俺は知っている。

「アルフレッドさま。このおはなしは、またあとで。いまは、しんにゅうへいのはいじょに、ちゅうりょくいたしましょう。けつまつはどうあれ、それが、かいけつへのはやみちですわ」
「………わかった」

 やはり、彼女達は全て知っている。

 そんな気がした。

 ゲートから領軍の皆が出てきて、何故か最後にシュバックが出てきてから「ルナさま」は魔導具を使ってゲートを閉じた。

 それを不穏な目付きでシュバックが眺めている。

 盗賊が獲物を見定めたような目の色に、殴りつけてアイツが目を醒ましてくれるなら、全力でブン殴ってやりたい衝動に駆られた。

「さて。それじゃ、さきにやることやっちゃいますか!」
「おねがいいたしますわ。ルナさま」
「まっかしといて☆」

 森の中を数歩、スタスタと歩いて行った「ルナ」は、そこから真上に向かって伸び、砦まで続いている土壁に手をついた。

 砦周辺では石造りの国境壁も少し離れれば、こうした土属性魔法で高さと強度だけが取り柄の代物に取って代わる。

 しょっちゅう国境破りを侵そうとしてくるベーターグランディアの所為で、壊されては造り、壊されては造りを繰り返している国境壁の維持。

 その莫大な金額となる防壁再構築の予算が、領でも国でも、そう度々は取れないからだ。

「なんじゃこりゃ? ざっつなしごとしてんなー? つちもって、かためただけじゃん」

 土壁に魔力を流していた「ルナさま」が、呆れたように呟いたことに俺もシュバックも領軍の皆も思わず顔ごと視線を逸らしたり俯いたりしてしまった。

 だからぁ! 予算が取れないんだよ!

 その程度のもの作ってもらうんでも高いんだぞ⁈

 そこまでの高さと硬さの土壁作る土属性魔法の使い手を国境まで招聘しょうへいする金額って⁈

 …………こういうのも、俺達子供が忖度しなくていい大人の事情っていうのに含まれるんだろうか?

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