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第4章 集まれ仲間達

辺境伯領の落日 -12-

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 俺達が陣所に着いて驚いたのは、その場で指示を出しているのが領軍の者でもエンディミオン殿下でもなく「ルナさま」だったことだろう。

「だからっ! レッサーワイバーンのむれは、おとりだっていってるでしょ⁈ ヤツらがしかけてきてるのは、あくまできしゅうのせいこうで、そのきしゅうのもくてきは、シグマセンティエこくないに、てんいのためのじんをつくりだすまどうぐをせっちすることなんだってば!」
「何故それを知っているのかと問うている。女神サーシャエール様の御神託だというが、そんなものは、我々には真偽の確認をしようがない。もっと確実な証拠を出してもらおう」
「もおぉぉぉぉぉぉッ‼︎」

 領軍の副司令が「女神様の御神託」だけでは納得して兵を出せないとでも言っているのだろう。

 「ルナさま」は頑固で分からずやな所がある彼の説得に難儀しているようで苛々したように叫んでいた。

「ルナ」
「アリィ! ねぇ、きいてよ! コイツがさぁっ‼︎」
「アホウはほっときなさい。それどころじゃないんだから」
「っ!」

 俺と同い年の女の子に阿呆と決めつけられた副司令は、一瞬、顔を強張らせた。

「へんきょうはくのきゅうしゅつにせいこうして、ここへのぶじきかんというmission-1のじょうけんはみたしたわ」
「もうmission-2はしってるのよ⁈ エンディさまとマックスさまは、レッサーワイバーンのげいげきに、リリちゃんは、きゅうごしょにふしょうへいのてあてをしにむかったわ」
「そう。ならベーターグランディアのしんにゅうこうさくいんは、わたしたちでたいおうしましょう。りょうぐんがうごかないならうごかないでべつにいいわ。このきんきゅうじにくだらないこだわりをすてられないれんちゅうを、むりやりやるきのない、しょくむたいまんなじょうたいでさんかさせても、げんばであしをひっぱられるだけよ。じゃまをしてくるのは、ベーターグランディアへいだけでじゅうぶんだわ。しししんちゅうのむしをかかえこむよゆうはないの。ほっときなさい」

 辛辣。

 「アリィ」の言うことは正論だが、最初から説得を諦めているようにも聞こえた。

「突然やって来て、その言い草は何だ⁈」
「リスクとおなじてんびんにプライドをのせるにんげんは、せんじょうにひつようないわ」

 ダメだ。

 彼が兵を出さないと言っている理由の根っこの部分を彼女は察してしまっている。

「おれが、ほんのすこしとりでをはなれていたあいだに、ずいぶんとここはふぬけたのだな」
「若っ!」
「このとりでのそんざいいぎは、ベーターグランディアへいをいっぺいたりとも、こくないへ、しんにゅうさせないことだ。たとえむだあしとなろうとも、みのがすよりはすうばいマシだろう。いけばわかるじょうほうのしんぎをとりざたして、じかんのろうひをするきはない」

 ああ……長く喋るの疲れる。

「アルフレッドの言う通りだ。ここの指揮は私が変わる。それでよろしいかな? お嬢さん方?」

 父上が「アリィ」「ルナさま」だけでなく、フランソワーヌも含める形で問いかけた。

 「ルナさま」とフランソワーヌの視線が「アリィ」に集まったのは、決定権を彼女が持っているからなのだろうか。

「……そうね。へんきょうはくが、とりでいりしたいじょう、そうするべきだわ。ルナ。ここは、わたしがかわるわ。アンタはフランとアルフレッドつれて、しんにゅうこうさくいんをたたいてきて」
「わかったわ!」

 「ルナさま」の返事を聞いた「アリィ」は、コツコツと足音を鳴らして副司令の前に行き、その顔を見上げた。

「アンタもいっしょにいけばぁ? サーシャエールさまのごしんたく、かくにんできないから、しんじらんないんでしょ? なら、じぶんでたしかめてらっしゃいよ」

 物凄く冷たい声と目で言った彼女の言葉は、自分で言ったことの責任くらい果たして来い、と言っているように聞こえて。

「……シュバック。どれだけ強かろうが、子供達だけをベーターグランディア兵がいるかもしれん所へ行かせる訳にはいかん。1小隊を率いて、お前も同行せよ」

 溜息混じりに最もらしいことを言った父上の命令を以って、決定とされたのだった。

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