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第4章 集まれ仲間達

辺境伯領の落日 -4-

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「し、しばらく! 暫くお待ちくださいませ、エンディミオン王子殿下! 夫が落命すると女神様が仰られて、何故、息子や殿下方が、砦に行かれるのですか⁈ 王国騎士団は、動かないというのですか⁈」

 母上が、俺達の後ろから制止と質問を同時に投げたけれど、殿下達は立ち止まらず、代わりに左右へ好き放題に回っていた五本の円弧、その動きが止まった。

 暗闇だけだった中心部に辺境伯領の砦前、その景色が見える。

 俺が母上に連れられて、馬車の中から見た景色と同じ、砦の門前。

「きしだんのせいえいぶたいは、すでに、ひみつりにおうとをたち、げんちにむかっている。わたしたちがゆかねばならぬりゆうは、これだ……ステータスオープン!」

 えっ? ステータス? それも距離が離れている母上の目の前に?

「ステータスオープン!」

 エンディミオン殿下の後に続くようにして、母上の前へと現れる全員分のステータスボード。

 丁度、本人の真後ろに当たる位置に出ているのもあって、それが誰の物なのかは聞かなくても分かった。

「勇者? 聖女⁈ 一体どういうことなの⁈」
「皆様、既にレベル30を越えているのですね。素晴らしい……」

 つまり、殿下達はいつの日にか降誕するという魔王と戦う運命にある「勇者パーティ」ということか⁈

「アルフレッド」
「は、はい」
「キミも、ぼくらのなかまだ」
「えっ」

 ゲートの前で立ち止まったエンディミオン殿下が、俺を振り返る。

 仲間達も皆、足を止め、振り向いて俺へと視線を注いだ。

「いこう。これがぼくたち、ゆうしゃパーティのういじんだ!」

 この、自分の中から湧き上がってくる衝動をどう、受け止めればいいのだろう。

 どう、認識すればいいのだろう。

 俺が、彼等の仲間?

 勇者パーティーの、一員?

 頭の片隅で、当然のように浮かぶ疑問や戸惑いを綺麗に凌駕して、俺の足は殿下の呼びかけに応じ、勝手に駆け出していた。

 それが当然であるかのように。

 他の選択肢など、初めから存在していなかったかのように。

「はいっ!」

 意識の完全に外側で返事をして、エンディミオン殿下の手を取った俺は、仲間達と共に目の前のゲートを潜った。

 母上や家の者達が叫ぶように俺へとかけていたらしい制止の声は、不思議とこの時、俺の耳には聞こえていなかった。

 けれど、ずっと朝からむずがっていた弟のライオネルが、ご機嫌で「きゃっきゃ」と笑う声が、俺を応援して送り出してくれたように感じて、いつまでもその声が耳の奥に残っていた。

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