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第4章 集まれ仲間達

冒険者ギルドの受難 -2-

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「こんにちわ、うけつけのおねえさん」
「こんにちわー」

 子供の皮を被った鬼子の後に、声を揃えてご挨拶なお仲間達。

 その中に私でも顔と名前が一致する有名っ子、約2名。

 あっれぇ?

 この国の第1王子殿下と敏腕宰相んトコの神童くんが見えるぞー。

 ゴシゴシ……居るねぇ。

 ゴシゴシ……居るねぇ。

 よし、ここはスルーして上に丸投げだ、私!

「はい、こんにちわー。今日はお友達一杯だねぇ。ギルド長なら居るからガガッとそこの階段を上がってって、右に曲がって突き当たり。一応、扉をトントンってした後に返事も待たずに強行突入しちゃいましょう☆ 逃げる隙を与えないのがコツだぞぅ☆」

 真っ直ぐ私の所へとやってきたお子様軍団をとっととギルド長の所へ誘導した。

「かってにあがってしまってもよろしいのですかしら?」
「だーいじょぶ、だいじょぶ! 貴女をエスコートしてる彼氏くんはねー、ギルドのSクラス冒険者なんですよ、お嬢さん!」

 淡い金髪に柔らかな紫の瞳をした女の子に問われた私が、そう答えると第1王子殿下にエスコートされている女の子が溜息をついた。

「……もうSクラスとか、アンタってホント、そういうトコようしゃないわよね。おうときんこうのダンジョン、つぶしてないでしょうね?」

 歯に絹着せぬ発言をかました女の子は、隣の王子に負けないくらいキラキラした金の髪に意思の強そうな碧の瞳をしていた。

 この鬼子にその口の聞き方出来るってだけで、おねぇさんは、貴女を尊敬しますよ、お嬢さん。

「しつれいだな。もはや、せいかつきばんのいちじょをになうといってもかごんじゃない、ダンジョンをつぶすとか、そんなもったいないことしねぇっつの。とうはしただけだよ、ほら」

 そう言って彼は、私にも見せてくれた壊さないでくれてありがとうの証サンキュークリスタルを空いている方の手でポケットから取り出して、後ろにいる子達に見せていた。

「あら、これってこわさないでくれてありがとうのあかしサンキュークリスタル? 1, 2, 3, 4, 5, 6, ぜんぶで7こかー。んー。あと5こは、ほしいとこね。エルっち? ちょっとそこいらのダンジョンてきとうに5かしょまわって、あつめてきてくれない?」

 ピンクゴールドの髪に青の瞳という、この珍しい色彩の組み合わせは、アルファードゥルーク王家の血にしか発生しない色合いなのだと聞いた記憶がある。

 神童のエスコートする女の子は、発言こそアレだが、第1王子並みの要人だよ? きっと。

 ねぇ、ちょっと? 護衛とか侍女とか誰も大人は付き添いしてない訳? 幾ら精霊塗れの鬼子が一緒とは言え、危なくないの、それって?

「まぁ、そのうちな。いまはさきに、ほんだいのようじをかたづけよう。いくぞ」

 ピシャリと逸れかけた仲間達の意識を元に戻させて、先導していく姿に身分の上下関係はなく、彼等のリーダーが誰であるのかを私達に知らしめた。

 鬼子に淡い金髪っ子、第1王子と辛辣ツッコミっ子、神童くんと隣国王家カラーっ子が次々と階段を上がって行き、最後に残っていた黒紫の髪に琥珀の瞳をした女の子が、この歳にしては隙のない美しいカーテシーを私達に送る。

「みなさま、おさわがせいたしました。ごきげんよう」

 一端の淑女たる優雅な振る舞いを見せて、彼女も階段を登り始めた。

「なぁ、イルダちゃん。あれ、全部王侯貴族の子供達だよな?」

 子供達の姿が完全に消え去ってから私に声をかけて来たのは、よせばいいのに鬼子に喧嘩売った阿呆を止めようとしてくれた、気のいいおっちゃん冒険者だった。

「多分ね。だから纏めてギルド長に押し付けたんだし?」
「だよなぁ? もしかして、子供達だけでパーティ組んでダンジョン潜るとか言い出さねぇだろうな?」

 お節介の域に片足突っ込んでる世話好き心配性な、おっちゃんは子供達の消えた階段を見上げて困ったような声を出していた。

「引率が引率だから、有り得るんじゃない? 男の子のメンツが第1王子に宰相令息の神童。女の子の内1人は隣国の王族っぽいし、最後に残ってた子のカーテシーは、あの歳で、一瞬たりともバランスが崩れなかった。かなり躾の行き届いてる高位貴族の臭いがするわ。どの子も、わぁい、ダンジョンってどんなとこなんだろうっ、早く見てみたいなっ、て感じの年相応な空気を……少なくとも私は感じなかったわ。十中八九、ダンジョンアタックの許可を捥ぎ取りに来たんだと思う」
「…………まぁ、許可取りにくるだけ成長したと言うべきなのかね、あの坊主の場合」

 その成長とやらのお陰で、いざという時には、全責任を引っ被ることになる私達、冒険者ギルドの人間とその最終責任者であるギルド長は、たまったもんじゃないけどね。

 あの鬼子を止められる人間なんか、世界中探したっていやしないって分かってるだけに、余計そう思ってしまった私だった。

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