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第4章 集まれ仲間達
目指せレベルアップ! -4-
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結局、僕達がダンジョンに向かう為に城を出ることが出来たのは、昼を回ってからだった。
理由は幾つかあるけど、大まかに言うと「拠点にする場所とその部屋の室内改造を強制的に決定された」こと。
それから時間が時間だったのと、これからエルを除く全員のレベルが3つ上がるまでダンジョンからは出ないと僕達が言ったのを受けて「昼食摂取を強制された」こと。
最初に僕達が向かうのは、エルも利用してる冒険者ギルドだと知った父上と母上、そして騎士団長がそれぞれに何か書きつけ始めて「冒険者ギルドのギルド長に渡すように」と、封書を渡されたこと。
そして、冒険者ギルドの前まで転移魔法で一気に行くとエルが言った途端、馬車で行け! と何故か猛反対されたから、というのが理由の主なものだった。
「どうせ、ごえいでもつけるきだったんだろ? じゃまじゃま。そいつらのめんどうまでみなきゃならんとか、ごめんだね」
とっとと城から僕達込みで転移してしまったエルは、そう言いながらザワザワしている街の人達を完全に無視して、目の前の建物に向かって歩き出していた。
「すごいですね、さすがししょう。いっしゅんでしたよ。ひろまから、ここまで」
そもそもあまり、お喋りする方じゃないマックスが、周囲をキョロキョロと見回しながら感心した口調で言った。
その左手首には、皆お揃いでルナが作ってくれた腕輪、ルナの髪色であるピンクゴールドと青の2色が使われている物が光っている。
あの後、僕達はルナの提案通りに、お互いの色を表した腕輪を左手首に嵌めていた。
唯一、フランだけはアルフレッドの色らしい腕輪を嵌めて、自分の色の腕輪を預かるだけにしていた。
大事そうにそれを仕舞い込む姿に、今日から後12日でレベルを30まで上げなくてはいけない重圧が、再び僕を襲っていた。
ぐっ、と腰に刷いだ剣の柄を握ってエルの後を追おうと顔を上げたら。
「ぐあっ⁈」
物凄い音と叫び声がして、冒険者ギルドらしい建物の入口から屈強な体躯をしたおじさんが1人、外へと飛ばされてきて、地面に落下しても殺し切れなかったらしい勢いが回転方向に変わったのか、ゴロゴロゴロゴロゴロ、と転がって僕等の目の前で俯せの態勢になって止まった。
「ちょっとおれが、かおださなくなっただけで、またちょうしづいたアホがわきやがって。“あいてのつよさがわかるのも、つよさのうち” ってめいげんしらねぇのか、カス」
冒険者ギルドの入口から姿を現して、吐き捨てるような調子で言ったのはエルだった。
「あら。そのとき、セットでいわれてたでしょ? じつりょくさがありすぎると、かえってわかんないのよ。ドラゴンとか、めいかくにみためから、かくうえってわかるあいてじゃないかぎり、アホが “なめプ” かましてくるのは、よのつねよ」
でた。
また分かんない単語だよ? “なめぷ” 。
アルフレッドが仲間になったら、こういう分かんない言葉もサーシャエール様に頼んで分かるようにしてくれるって話しだったから、頑張って早くレベル30にならなくちゃね!
……処で、このおじさん。
一体、エルに何したんだろうね?
「……エンディミオンでんか。ふよういにちかづいて、つつかないでください」
えっ? や、だって。
この人、まだ生きてるのかなって、思っちゃってさ?
理由は幾つかあるけど、大まかに言うと「拠点にする場所とその部屋の室内改造を強制的に決定された」こと。
それから時間が時間だったのと、これからエルを除く全員のレベルが3つ上がるまでダンジョンからは出ないと僕達が言ったのを受けて「昼食摂取を強制された」こと。
最初に僕達が向かうのは、エルも利用してる冒険者ギルドだと知った父上と母上、そして騎士団長がそれぞれに何か書きつけ始めて「冒険者ギルドのギルド長に渡すように」と、封書を渡されたこと。
そして、冒険者ギルドの前まで転移魔法で一気に行くとエルが言った途端、馬車で行け! と何故か猛反対されたから、というのが理由の主なものだった。
「どうせ、ごえいでもつけるきだったんだろ? じゃまじゃま。そいつらのめんどうまでみなきゃならんとか、ごめんだね」
とっとと城から僕達込みで転移してしまったエルは、そう言いながらザワザワしている街の人達を完全に無視して、目の前の建物に向かって歩き出していた。
「すごいですね、さすがししょう。いっしゅんでしたよ。ひろまから、ここまで」
そもそもあまり、お喋りする方じゃないマックスが、周囲をキョロキョロと見回しながら感心した口調で言った。
その左手首には、皆お揃いでルナが作ってくれた腕輪、ルナの髪色であるピンクゴールドと青の2色が使われている物が光っている。
あの後、僕達はルナの提案通りに、お互いの色を表した腕輪を左手首に嵌めていた。
唯一、フランだけはアルフレッドの色らしい腕輪を嵌めて、自分の色の腕輪を預かるだけにしていた。
大事そうにそれを仕舞い込む姿に、今日から後12日でレベルを30まで上げなくてはいけない重圧が、再び僕を襲っていた。
ぐっ、と腰に刷いだ剣の柄を握ってエルの後を追おうと顔を上げたら。
「ぐあっ⁈」
物凄い音と叫び声がして、冒険者ギルドらしい建物の入口から屈強な体躯をしたおじさんが1人、外へと飛ばされてきて、地面に落下しても殺し切れなかったらしい勢いが回転方向に変わったのか、ゴロゴロゴロゴロゴロ、と転がって僕等の目の前で俯せの態勢になって止まった。
「ちょっとおれが、かおださなくなっただけで、またちょうしづいたアホがわきやがって。“あいてのつよさがわかるのも、つよさのうち” ってめいげんしらねぇのか、カス」
冒険者ギルドの入口から姿を現して、吐き捨てるような調子で言ったのはエルだった。
「あら。そのとき、セットでいわれてたでしょ? じつりょくさがありすぎると、かえってわかんないのよ。ドラゴンとか、めいかくにみためから、かくうえってわかるあいてじゃないかぎり、アホが “なめプ” かましてくるのは、よのつねよ」
でた。
また分かんない単語だよ? “なめぷ” 。
アルフレッドが仲間になったら、こういう分かんない言葉もサーシャエール様に頼んで分かるようにしてくれるって話しだったから、頑張って早くレベル30にならなくちゃね!
……処で、このおじさん。
一体、エルに何したんだろうね?
「……エンディミオンでんか。ふよういにちかづいて、つつかないでください」
えっ? や、だって。
この人、まだ生きてるのかなって、思っちゃってさ?
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