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第4章 集まれ仲間達
執務室での家族会議 -4-
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そして当然のことながら、映像は例の……俺とアリューシャが危惧して、サーシャエール様から罰を下していいと許可されるに至った問題シーンへと突入した。
父様が信じられない物を見たような愕然とした顔をして凍りつく。
この人は、そういう意味では、至極真っ当な人間だから、娘や妹にこんなことをする発想自体が、そもそも浮かばないのだろう。
母様は、手にしたハンカチを千切らんばかりに握り締め、怒りで顔を強張らせながら、ワナワナと身震いしていた。
「エルドレッド」
「はい」
「これは何だ?」
「サーシャエールさまから、フランソワーヌにごしんたくがあって、このままじかんがみらいにすすんだときには、じっさいにこれがおこるから、いまのうちにそのかのうせいをつぶせって、おれとアリューシャがしじされた、げんいんになってる、みらいのできごとだよ。おれがこのせかいにてんせいしてきて、もっとも、そししたかったみらいでもある」
とにかく、この未来はもう来ないんだ、ということを最優先で理解してもらえるように、俺は言い回しを工夫して、父様の質問に答えた。
おれが、父様と話している間にも映像は進み、アルフレッドの白い結婚発言と辺境伯家がリリエンヌを人間兵器扱いしていて、嫁としての待遇を殆どせず、前線送りにした所まで話しが進んでいた。
そしてエンディング。
『ううん。それでもいいの。こんな私にも出来ることがある。例え私自身が幸せになれなくても、知らない誰かの幸せを守ることなら出来る筈だから』
リリエンヌのモノローグに被せる形でエンディングテーマの前奏が流れ始める。
『ここで。この国境の最前線で。国の皆が笑顔で、平和に暮らしていく、その日々の為に。家族が、愛する人が傍にいる、かけがえのない明日をあなたの代わりに私が守っていく為に……!』
そして、丁度いい感じでエンディングの歌詞が流れた所で、母様の涙腺が崩壊した。
「いい子! リリエンヌちゃん、何ていい子なの! こんな、不遇に次ぐ不遇の状況に居ながら、腐ることも捻くれることも誰を恨むこともなく……エーデルリット様っ。貴女の娘は貴女に良く似た、真っ直ぐで、健気で、強くて、優しくて、我慢強くて、素敵な女性に育っておりますよ……っ!」
「か、かあさま? かあさまってば! このせかいのリリエンヌは、まだおれとおなじ3さいだからね? たしかに、いえでイジメられてはいたけど、それいじょうのめには、あってないからね? こんやくしゃもまだいないからね?」
取り敢えずゲームのリリエンヌとこの世界で、今、生きているリリエンヌの重なっていない部分を混同させないようにと思って注釈を入れたのだけれど。
「は⁈ エルドレッド! 貴方、何やってるの⁈ ステータスのここに溺愛って書いてあるくらいなんだから、さっさと婚約者にして連れてらっしゃい!」
「まって、まって! いまはまだ、ファーフリスタはくしゃくけのしょぐうと、けいばつがくだってないんだよ? だからリリエンヌは、べにばらきゅうでんで、おうひさまのひごかにはいって、クリシュナじじょちょうと、ろくせいれいのまどうじゅつしとしてのおれが、うしろだてになってるってはなしでまとまってんの! さいばんで、はんけつでたら、クリシュナじじょちょうが、ディアネイトこうしゃくけへ、ようじょとしてむかえてもいいっていってくれてるし! あわてなくても、リリエンヌは、だいじょうぶだから!」
今にも社交界へと躍り出てリリエンヌの為に動き出しそうな母様の勢いを削ごうと俺まで焦って言い募ってしまった。
その間にエンディングもスタッフロールも流れ終わり、サブスト選択画面に映像が戻っていた。
「うん? エルドレッド。この、赤い髪と碧の瞳をした娘は、何処の子だ?」
「え? ああ。そのこは、ナナカリーズ・アセンカザフっていって、エルドレッドの、いもう……あ!」
言いながら、俺は自分がヤバイ感じのネタバレをしてしまったことに気がついた。
父様と母様の視線が俺に突き刺さる。
やっちまった、と頭を抱える俺を捨て置いて、父様と母様は、食い入るようにナナカリーズの姿を2人で眺めている。
「ほう? ほうほう? 中々に可愛いな。そうか、次は娘か。娘もいいな」
「娘! ナナカリーズ……じゃあ、ナナカちゃんね! うん! わたくし、一緒にドレスを選んだり、刺繍やレース編みをしたり、お茶会に2人で出かけたりしたいわ!」
「この制服は、学院の魔法科の制服だな。利発そうだし、私の娘、マルグリットの娘、エルドレッドの妹だ。才能にも期待出来そうだな!」
うっ。
ごめん、ナナカ。
生まれて来る前からお前の人生ハードルを爆上げしちまった、迂闊な兄を許してくれ……。
父様が信じられない物を見たような愕然とした顔をして凍りつく。
この人は、そういう意味では、至極真っ当な人間だから、娘や妹にこんなことをする発想自体が、そもそも浮かばないのだろう。
母様は、手にしたハンカチを千切らんばかりに握り締め、怒りで顔を強張らせながら、ワナワナと身震いしていた。
「エルドレッド」
「はい」
「これは何だ?」
「サーシャエールさまから、フランソワーヌにごしんたくがあって、このままじかんがみらいにすすんだときには、じっさいにこれがおこるから、いまのうちにそのかのうせいをつぶせって、おれとアリューシャがしじされた、げんいんになってる、みらいのできごとだよ。おれがこのせかいにてんせいしてきて、もっとも、そししたかったみらいでもある」
とにかく、この未来はもう来ないんだ、ということを最優先で理解してもらえるように、俺は言い回しを工夫して、父様の質問に答えた。
おれが、父様と話している間にも映像は進み、アルフレッドの白い結婚発言と辺境伯家がリリエンヌを人間兵器扱いしていて、嫁としての待遇を殆どせず、前線送りにした所まで話しが進んでいた。
そしてエンディング。
『ううん。それでもいいの。こんな私にも出来ることがある。例え私自身が幸せになれなくても、知らない誰かの幸せを守ることなら出来る筈だから』
リリエンヌのモノローグに被せる形でエンディングテーマの前奏が流れ始める。
『ここで。この国境の最前線で。国の皆が笑顔で、平和に暮らしていく、その日々の為に。家族が、愛する人が傍にいる、かけがえのない明日をあなたの代わりに私が守っていく為に……!』
そして、丁度いい感じでエンディングの歌詞が流れた所で、母様の涙腺が崩壊した。
「いい子! リリエンヌちゃん、何ていい子なの! こんな、不遇に次ぐ不遇の状況に居ながら、腐ることも捻くれることも誰を恨むこともなく……エーデルリット様っ。貴女の娘は貴女に良く似た、真っ直ぐで、健気で、強くて、優しくて、我慢強くて、素敵な女性に育っておりますよ……っ!」
「か、かあさま? かあさまってば! このせかいのリリエンヌは、まだおれとおなじ3さいだからね? たしかに、いえでイジメられてはいたけど、それいじょうのめには、あってないからね? こんやくしゃもまだいないからね?」
取り敢えずゲームのリリエンヌとこの世界で、今、生きているリリエンヌの重なっていない部分を混同させないようにと思って注釈を入れたのだけれど。
「は⁈ エルドレッド! 貴方、何やってるの⁈ ステータスのここに溺愛って書いてあるくらいなんだから、さっさと婚約者にして連れてらっしゃい!」
「まって、まって! いまはまだ、ファーフリスタはくしゃくけのしょぐうと、けいばつがくだってないんだよ? だからリリエンヌは、べにばらきゅうでんで、おうひさまのひごかにはいって、クリシュナじじょちょうと、ろくせいれいのまどうじゅつしとしてのおれが、うしろだてになってるってはなしでまとまってんの! さいばんで、はんけつでたら、クリシュナじじょちょうが、ディアネイトこうしゃくけへ、ようじょとしてむかえてもいいっていってくれてるし! あわてなくても、リリエンヌは、だいじょうぶだから!」
今にも社交界へと躍り出てリリエンヌの為に動き出しそうな母様の勢いを削ごうと俺まで焦って言い募ってしまった。
その間にエンディングもスタッフロールも流れ終わり、サブスト選択画面に映像が戻っていた。
「うん? エルドレッド。この、赤い髪と碧の瞳をした娘は、何処の子だ?」
「え? ああ。そのこは、ナナカリーズ・アセンカザフっていって、エルドレッドの、いもう……あ!」
言いながら、俺は自分がヤバイ感じのネタバレをしてしまったことに気がついた。
父様と母様の視線が俺に突き刺さる。
やっちまった、と頭を抱える俺を捨て置いて、父様と母様は、食い入るようにナナカリーズの姿を2人で眺めている。
「ほう? ほうほう? 中々に可愛いな。そうか、次は娘か。娘もいいな」
「娘! ナナカリーズ……じゃあ、ナナカちゃんね! うん! わたくし、一緒にドレスを選んだり、刺繍やレース編みをしたり、お茶会に2人で出かけたりしたいわ!」
「この制服は、学院の魔法科の制服だな。利発そうだし、私の娘、マルグリットの娘、エルドレッドの妹だ。才能にも期待出来そうだな!」
うっ。
ごめん、ナナカ。
生まれて来る前からお前の人生ハードルを爆上げしちまった、迂闊な兄を許してくれ……。
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