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第4章 集まれ仲間達
ダンジョン行こうぜ! -4-
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「つぎは、リリちゃんね!」
「えっ⁈ あ、はい! ありがとうございますっ!」
まだ皮袋から出されてもいない装備品に、もう謝礼を送られたリリエンヌ様に、エルドレッド様が小さく笑われました。
「リリエンヌ、はやいはやい。まだ、でてきてないって」
「っ、いまのはっ、わたくしにもつくってくださったことへのおれいなのですっ!」
「なるほどね? じゃあ、おれからも。リリエンヌのこともかんがえてくれてありがとう、ルナ。たすかるよ」
エルドレッド様がそう仰る本当の意味が分かったのは、恐らく転生者組だけでしょう。
“花キミ” に於いて、ルナ様とリリエンヌ様は、メインストーリーに登場こそするものの、追加サブクエストを有料購入しなければ、仲間になるルートが開放されないキャラなのです。
そのリリエンヌ様の分まで、予め装備品を作ってくださったのは、一重にルナ様の創作意欲といざという時にいつでも対応出来るよう、備えておかれる、お人柄によるものでしょうから。
「なんで、リリエンヌじょうのそうびをつくってくれたことにエルが、おれいをいうの?」
「うん? なに? エンディは、じぶんのそうびをつくってくれたことには、かんしゃするけど、アリィのそうびをつくってくれたことには、ルナにかんしゃしないの? おまえのかわりに、アリィをまもったり、つよくしたりしてくれるものなのに?」
「!」
指摘されたエンディ兄様は、今、気がついた、みたいな顔をして、慌ててルナ様に頭を下げられました。
「ご、ごめんね、ルナ! そんなつもりじゃなかったんだ! ちゃんとかんしゃしてるよ! アリィのために、ありがとう!」
「ふふっ、いえいえ。わたくしがやりたくてしているだけですので。それに、エンディさまのたいおうは、ふつうですわ。このおとこが、きがつきすぎるんです」
目の上を平らにして、エルドレッド様を指差したルナ様がそう仰ると負けじと目の上を平たくしたエルドレッド様が、やり返されます。
「ひとに、ゆびをささない。おうじょでしょ?」
その一言にルナ様付の侍女さんが、その通りだとばかりに壁際で何度も頷かれておられました。
それが視界の隅にでも入っているのか、毎度の事過ぎて予想出来ているのか、苦虫を噛み潰したような顔をして、振り返らぬまま、ちょっとだけ視線を侍女さんのいる方に向けたルナ様は、1度咳払いをして、場を濁すと皮袋からリリエンヌ様に渡す装備品を取り出されました。
「はい。リリちゃんのは、これね!」
「……てぶくろ、ですか?」
「そ! りょうてにつけて、てくびの部分にあるボタンをそれぞれおしてね!」
「……はい」
てっきり武器を渡されるのだろうと思っておられたようで、リリエンヌ様は渡された手袋に不思議顔のままそれを両手に嵌められ、手首にあるリボンの先についた金具を留めると、それが勝手にキュッと締りました。
金具の中央には薄紫の魔石がハート型になって嵌め込まれていて、すぐそばに例のボタンがありました。
リリエンヌ様が、それを両手首分、順に押されます。
すると全体に薄く魔力が広がって、ただの白手袋に見えていたものが、急に白レースのように透過しました。
両の手の甲部分には、淡く透過した白い百合の意匠があって、中央の花芯も同じように黄色の透過色が。
葉と茎も緑の透過色で彩られていて、リリエンヌ様が驚いた顔をしてレースの手袋越しにそこへ触れられます。
「ませき! すごい! この、おはなのぶぶん、ませきでできているのですね⁈」
「そうよ? まりょくこめながら、ビョーってのばすの」
擬音。
いえ、何となくどういう状態なのかは、それで十分、分かるのですけれど、凄さが半減して聞こえてしまうのは、わたくしだけなのでしょうか。
「んでね? こう、てのひらをじぶんのほうにむけて、おやゆびだけうちがわにまげてね? あたまのなかにー、んー……たとえば、すいみんやくとかのレシピをおもいうかべてみて?」
「え? すいみんやく、ですか?」
「そ。てつやしすぎて、かえってふみんしょうみたくなっちゃったひとが、いっしゅんで、どろのようにねむりこけることが、できるくらいのそっこうせいで、メッチャきょうりょくなヤツね?」
「……はい……」
そこまで行くと下手に実作したら危険物でしかないと思ったのでしょう。
やや、逡巡されながらも言われた通りに手指を構えられ、実際に作る訳ではないので、いいかな? と思われたのでしょう。
恐らくは、リリエンヌ様がそのレシピを思い浮かべたのだろう瞬間、親指と掌の間へ左右1本ずつ白く光る針状の物が現れました。
「おし、せいこうせいこう! それをね、てきに向かってブンなげるとささるから。したらそのてき、ねるよ?」
「えっ⁈」
「おまえ……リリエンヌをあんきつかいにするきか?」
物凄く胡乱な目付きでエルドレッド様がツッコミを入れるとルナ様が、可愛らしく右の頬に右人差し指をくっつけて、首を傾げられました。
「んー……むちと、どっちにしようか、まよったんだけどさー?」
「せんようスキルすらもってねぇ、そんなくろうとむけのぶきをしょしんしゃにつくろうとすんな」
「でしょ? それにこれなら、えんきょりこうげきできるから、てきにちかよんなくていいじゃん? したらあぶなくないしー? リリちゃんは、ゆうやくしだから、かくせいして、しばらくしたら、きそちょうごうひんなんか、まりょくだけでつくれるようになるじゃない? だから、それつかってなげて、とおくからブスっ☆てやればいっかなーって?」
「ささるぎおんにだけ、へんなふしつけたところで、じじつはかわいくならねぇから」
「あの……」
不毛とも言えるエルドレッド様とルナ様のやり取りに、おずおずと手を上げて、お声をかけられたのは、当のリリエンヌ様でした。
「ルナルリアおうじょでんか。おききしてもよろしいでしょうか?」
「ルナでいいよー? なに?」
「わたくし、ゆうやくしには、たしかにかくせいしているのですけれど」
「それつくれるってことは、そうみたいねー?」
「これ、まりょくだけで、できているのですか? すいみんやくのこうのうをもたせるのに、ちょうごうはひつようないのですか? ざいりょうとかは⁈」
「そんざいはっせいエーテル!」
リリエンヌ様の怪訝とも言える疑問3連続に、屈託ない返事に何故か、耳のない青のボディーカラーをしたロボットを思い浮かべでしまったのは、わたくしだけでしょうか……?
「えっ⁈ あ、はい! ありがとうございますっ!」
まだ皮袋から出されてもいない装備品に、もう謝礼を送られたリリエンヌ様に、エルドレッド様が小さく笑われました。
「リリエンヌ、はやいはやい。まだ、でてきてないって」
「っ、いまのはっ、わたくしにもつくってくださったことへのおれいなのですっ!」
「なるほどね? じゃあ、おれからも。リリエンヌのこともかんがえてくれてありがとう、ルナ。たすかるよ」
エルドレッド様がそう仰る本当の意味が分かったのは、恐らく転生者組だけでしょう。
“花キミ” に於いて、ルナ様とリリエンヌ様は、メインストーリーに登場こそするものの、追加サブクエストを有料購入しなければ、仲間になるルートが開放されないキャラなのです。
そのリリエンヌ様の分まで、予め装備品を作ってくださったのは、一重にルナ様の創作意欲といざという時にいつでも対応出来るよう、備えておかれる、お人柄によるものでしょうから。
「なんで、リリエンヌじょうのそうびをつくってくれたことにエルが、おれいをいうの?」
「うん? なに? エンディは、じぶんのそうびをつくってくれたことには、かんしゃするけど、アリィのそうびをつくってくれたことには、ルナにかんしゃしないの? おまえのかわりに、アリィをまもったり、つよくしたりしてくれるものなのに?」
「!」
指摘されたエンディ兄様は、今、気がついた、みたいな顔をして、慌ててルナ様に頭を下げられました。
「ご、ごめんね、ルナ! そんなつもりじゃなかったんだ! ちゃんとかんしゃしてるよ! アリィのために、ありがとう!」
「ふふっ、いえいえ。わたくしがやりたくてしているだけですので。それに、エンディさまのたいおうは、ふつうですわ。このおとこが、きがつきすぎるんです」
目の上を平らにして、エルドレッド様を指差したルナ様がそう仰ると負けじと目の上を平たくしたエルドレッド様が、やり返されます。
「ひとに、ゆびをささない。おうじょでしょ?」
その一言にルナ様付の侍女さんが、その通りだとばかりに壁際で何度も頷かれておられました。
それが視界の隅にでも入っているのか、毎度の事過ぎて予想出来ているのか、苦虫を噛み潰したような顔をして、振り返らぬまま、ちょっとだけ視線を侍女さんのいる方に向けたルナ様は、1度咳払いをして、場を濁すと皮袋からリリエンヌ様に渡す装備品を取り出されました。
「はい。リリちゃんのは、これね!」
「……てぶくろ、ですか?」
「そ! りょうてにつけて、てくびの部分にあるボタンをそれぞれおしてね!」
「……はい」
てっきり武器を渡されるのだろうと思っておられたようで、リリエンヌ様は渡された手袋に不思議顔のままそれを両手に嵌められ、手首にあるリボンの先についた金具を留めると、それが勝手にキュッと締りました。
金具の中央には薄紫の魔石がハート型になって嵌め込まれていて、すぐそばに例のボタンがありました。
リリエンヌ様が、それを両手首分、順に押されます。
すると全体に薄く魔力が広がって、ただの白手袋に見えていたものが、急に白レースのように透過しました。
両の手の甲部分には、淡く透過した白い百合の意匠があって、中央の花芯も同じように黄色の透過色が。
葉と茎も緑の透過色で彩られていて、リリエンヌ様が驚いた顔をしてレースの手袋越しにそこへ触れられます。
「ませき! すごい! この、おはなのぶぶん、ませきでできているのですね⁈」
「そうよ? まりょくこめながら、ビョーってのばすの」
擬音。
いえ、何となくどういう状態なのかは、それで十分、分かるのですけれど、凄さが半減して聞こえてしまうのは、わたくしだけなのでしょうか。
「んでね? こう、てのひらをじぶんのほうにむけて、おやゆびだけうちがわにまげてね? あたまのなかにー、んー……たとえば、すいみんやくとかのレシピをおもいうかべてみて?」
「え? すいみんやく、ですか?」
「そ。てつやしすぎて、かえってふみんしょうみたくなっちゃったひとが、いっしゅんで、どろのようにねむりこけることが、できるくらいのそっこうせいで、メッチャきょうりょくなヤツね?」
「……はい……」
そこまで行くと下手に実作したら危険物でしかないと思ったのでしょう。
やや、逡巡されながらも言われた通りに手指を構えられ、実際に作る訳ではないので、いいかな? と思われたのでしょう。
恐らくは、リリエンヌ様がそのレシピを思い浮かべたのだろう瞬間、親指と掌の間へ左右1本ずつ白く光る針状の物が現れました。
「おし、せいこうせいこう! それをね、てきに向かってブンなげるとささるから。したらそのてき、ねるよ?」
「えっ⁈」
「おまえ……リリエンヌをあんきつかいにするきか?」
物凄く胡乱な目付きでエルドレッド様がツッコミを入れるとルナ様が、可愛らしく右の頬に右人差し指をくっつけて、首を傾げられました。
「んー……むちと、どっちにしようか、まよったんだけどさー?」
「せんようスキルすらもってねぇ、そんなくろうとむけのぶきをしょしんしゃにつくろうとすんな」
「でしょ? それにこれなら、えんきょりこうげきできるから、てきにちかよんなくていいじゃん? したらあぶなくないしー? リリちゃんは、ゆうやくしだから、かくせいして、しばらくしたら、きそちょうごうひんなんか、まりょくだけでつくれるようになるじゃない? だから、それつかってなげて、とおくからブスっ☆てやればいっかなーって?」
「ささるぎおんにだけ、へんなふしつけたところで、じじつはかわいくならねぇから」
「あの……」
不毛とも言えるエルドレッド様とルナ様のやり取りに、おずおずと手を上げて、お声をかけられたのは、当のリリエンヌ様でした。
「ルナルリアおうじょでんか。おききしてもよろしいでしょうか?」
「ルナでいいよー? なに?」
「わたくし、ゆうやくしには、たしかにかくせいしているのですけれど」
「それつくれるってことは、そうみたいねー?」
「これ、まりょくだけで、できているのですか? すいみんやくのこうのうをもたせるのに、ちょうごうはひつようないのですか? ざいりょうとかは⁈」
「そんざいはっせいエーテル!」
リリエンヌ様の怪訝とも言える疑問3連続に、屈託ない返事に何故か、耳のない青のボディーカラーをしたロボットを思い浮かべでしまったのは、わたくしだけでしょうか……?
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