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第4章 集まれ仲間達
ステータスを出してみよう! -2-
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「じゅもんとかは、なしで、むぞくせいのまりょくをつかいながら “ステータスオープン” っていえばいいだけなの?」
「ほんらいであれば、それでどんなことができるのかってとこまで、イメージ……あー、あたまのなかで、おもいうかべて、そうぞうするとせいこうしやすいんだ。いまは、アリィがだしっぱなしにしてるから、じぶんのもこうしてめのまえに、だせるんだって、コレをみながらおもってやるといいかもしれない」
「……わかった。やってみる」
大体の説明を聞いて挑戦することにしたらしいエンディミオン殿下が、そう言って右手に無属性の魔力を集め出しました。
流石は王族の方です。
専属の教師の方がついていても魔力操作や、魔力に任意の属性をつけるのは、躓く人が多いのだと聞きます。
「どのくらい、あつめればいいの?」
「まだまだ」
エンディミオン殿下の質問にエルドレッド様が短い答えを返されます。
「あとすこし」
集められた無属性の魔力を見詰めて具合を確かめながら、エルドレッド様が追加で指示を出されました。
「もうちょい」
思ったより魔力量が必要なようです。
エルドレッド様や、アリューシャ様、フランソワーヌ様は、これを瞬時に練り上げて使われるのですね。
凄いです。
「ちょい。ちょい。ちょい。はい、おっけー。ここで “ステータスオープン” っていって、あつめたまりょくをじぶんから、きりはなせ」
「ステータスオープン!」
エンディミオン殿下が、言われた通りに右手から魔力を切り離して、決められた通りの言葉を口にされると、ふよふよと不安定な動きで右手より少し上の位置まで上がって行った無属性の魔力が、不意に四方へ伸びて四角い形を作ったと思ったら、ぼぉんやりとした像を結んで、辛うじて何かが記載されているっぽい物を作り上げました。
「おー、すげーすげー。だいたいできてんじゃん。もっかいやってみようか。あたまのなかで、きえろっておもいながら、つくったもんみてろ」
「う、うん」
できた喜びを感じる間もなく、消すことを指示されて戸惑われたような様子を見せながら、それでもエンディミオン殿下は、ちゃんと従って作り上げたものを見詰められます。
やがて、ふやふやふや~っと水に粉物が溶けて行くのに近い印象で、四角がぼやけて消えて行きました。
敬われて当たり前、優先されて当たり前。
王族の方の意識は、漠然とそういうものなんじゃないかと思っていましたが、エンディミオン殿下は、それを全く感じさせません。
「エンディ。コレみろ、コレ。アリィがつくったステータスボード。おまえにもこれがある。いま、あらわれてはいたんだから、かくじつに、ぜったいにある。そして、おまえは、それをじぶんで、しかもいっかいめで、だすとこまでは、ちゃんとできたんだ。じしんもて。おまえはできる」
「そうですわ、エンディにいさま。わたくしも、おねぇさまも、できる、とおもって、できたのですから、きっとエンディにいさまも、できるとおおもいになるのが、だいじなのですわ」
「エンディ。わたし、しんじてるわ。あなたはできるひとだもの!」
「……うん。ありがとう。できるんだって、じぶんをしんじて、やってみるよ」
エルドレッド様に出来ると言い切られ、フランソワーヌ様に大事な部分を意識するように言われ、最後にアリューシャ様に励まされたエンディミオン殿下は、瞳の奥に決意を宿して答えると、もう1度、アリューシャ様の出されたステータスボードを見詰められます。
細部まで、きちんと捉えて記憶することを意識した視線が向けられて、ボードから目を離すことなく、右手に無属性の魔力を集め始めます。
「エル、このくらいでいい?」
「ん、もうちょい……よし、それでいける」
「ステータスオープン!」
心持ち気合いを入れて無属性の魔力を切り離されたエンディミオン殿下の目の前に、1回目とは違ってパッと現れたボードは、アリューシャ様のお出しになっているそれと変わらぬ見た目で、そこに開きました。
「できた!」
「おお! やったじゃんか!」
「さすがだわ、エンディ!」
「おめでとうございます、エンディにいさま」
「すごいです、エンディミオンでんか!」
皆様が称賛するのに合わせて、わたしも素直な賛辞をエンディミオン殿下に送り、侍女さんやメイドさん達も驚きと嬉しさとを綯交ぜにした表情で、拍手を送られました。
「ほんらいであれば、それでどんなことができるのかってとこまで、イメージ……あー、あたまのなかで、おもいうかべて、そうぞうするとせいこうしやすいんだ。いまは、アリィがだしっぱなしにしてるから、じぶんのもこうしてめのまえに、だせるんだって、コレをみながらおもってやるといいかもしれない」
「……わかった。やってみる」
大体の説明を聞いて挑戦することにしたらしいエンディミオン殿下が、そう言って右手に無属性の魔力を集め出しました。
流石は王族の方です。
専属の教師の方がついていても魔力操作や、魔力に任意の属性をつけるのは、躓く人が多いのだと聞きます。
「どのくらい、あつめればいいの?」
「まだまだ」
エンディミオン殿下の質問にエルドレッド様が短い答えを返されます。
「あとすこし」
集められた無属性の魔力を見詰めて具合を確かめながら、エルドレッド様が追加で指示を出されました。
「もうちょい」
思ったより魔力量が必要なようです。
エルドレッド様や、アリューシャ様、フランソワーヌ様は、これを瞬時に練り上げて使われるのですね。
凄いです。
「ちょい。ちょい。ちょい。はい、おっけー。ここで “ステータスオープン” っていって、あつめたまりょくをじぶんから、きりはなせ」
「ステータスオープン!」
エンディミオン殿下が、言われた通りに右手から魔力を切り離して、決められた通りの言葉を口にされると、ふよふよと不安定な動きで右手より少し上の位置まで上がって行った無属性の魔力が、不意に四方へ伸びて四角い形を作ったと思ったら、ぼぉんやりとした像を結んで、辛うじて何かが記載されているっぽい物を作り上げました。
「おー、すげーすげー。だいたいできてんじゃん。もっかいやってみようか。あたまのなかで、きえろっておもいながら、つくったもんみてろ」
「う、うん」
できた喜びを感じる間もなく、消すことを指示されて戸惑われたような様子を見せながら、それでもエンディミオン殿下は、ちゃんと従って作り上げたものを見詰められます。
やがて、ふやふやふや~っと水に粉物が溶けて行くのに近い印象で、四角がぼやけて消えて行きました。
敬われて当たり前、優先されて当たり前。
王族の方の意識は、漠然とそういうものなんじゃないかと思っていましたが、エンディミオン殿下は、それを全く感じさせません。
「エンディ。コレみろ、コレ。アリィがつくったステータスボード。おまえにもこれがある。いま、あらわれてはいたんだから、かくじつに、ぜったいにある。そして、おまえは、それをじぶんで、しかもいっかいめで、だすとこまでは、ちゃんとできたんだ。じしんもて。おまえはできる」
「そうですわ、エンディにいさま。わたくしも、おねぇさまも、できる、とおもって、できたのですから、きっとエンディにいさまも、できるとおおもいになるのが、だいじなのですわ」
「エンディ。わたし、しんじてるわ。あなたはできるひとだもの!」
「……うん。ありがとう。できるんだって、じぶんをしんじて、やってみるよ」
エルドレッド様に出来ると言い切られ、フランソワーヌ様に大事な部分を意識するように言われ、最後にアリューシャ様に励まされたエンディミオン殿下は、瞳の奥に決意を宿して答えると、もう1度、アリューシャ様の出されたステータスボードを見詰められます。
細部まで、きちんと捉えて記憶することを意識した視線が向けられて、ボードから目を離すことなく、右手に無属性の魔力を集め始めます。
「エル、このくらいでいい?」
「ん、もうちょい……よし、それでいける」
「ステータスオープン!」
心持ち気合いを入れて無属性の魔力を切り離されたエンディミオン殿下の目の前に、1回目とは違ってパッと現れたボードは、アリューシャ様のお出しになっているそれと変わらぬ見た目で、そこに開きました。
「できた!」
「おお! やったじゃんか!」
「さすがだわ、エンディ!」
「おめでとうございます、エンディにいさま」
「すごいです、エンディミオンでんか!」
皆様が称賛するのに合わせて、わたしも素直な賛辞をエンディミオン殿下に送り、侍女さんやメイドさん達も驚きと嬉しさとを綯交ぜにした表情で、拍手を送られました。
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