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第4章 集まれ仲間達
狙われた伯爵家 -2-
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「ねらわれたのは……おかあさまなのですか?」
僅かに身の震えだしたリリエンヌ嬢の問いかけに六精霊の魔導術士様は、握る手に力を込め直すだけでなく、椅子の右側に膝を出し、完全にリリエンヌ嬢の方を向いてしまいました。
顔色を無くしたリリエンヌ嬢に、逡巡した様子を見せたアリューシャ嬢でしたが。
「そうよ。でも、けっかてきには、あなたいがいのやしきのひとたちぜんいんが、ひがいしゃっていえば、ひがいしゃね。だって、おうとのやしきにうつってきても、いえのなかのじょうきょう、かわらなかったでしょう?」
「………はい。かわりませんでした」
「おうとのやしきでは、あなただけが、じぶんのちからでだしたみずをのんでた。ちがう?」
「………いいえ、そのとおりです」
「ねぇ、アリィ。デルタズマフェンおうこくは、どうして、はくしゃくふじんや、はくしゃくけのひとたちを、ころそうとしたの?」
アリューシャ嬢とリリエンヌ嬢のやりとりに、そう言ってエンディミオン殿下が割って入り、首を傾げます。
「リリエンヌじょうがぶじだったのは、どくのはいったみずを、くちにしなかったからなんだろうけど、ぎゃくにいうなら、のんだひとたちは、ぜんいんむさべつに、しんじゃうかのうせいがあったはずだよね? でも、じっさいになくなっているのは、ファーフリスタはくしゃくふじんだけ。それはどうして?」
「しんでないだけで、リリエンヌいがいのひとたちには、ちゅうどくしょうじょうが、おこってるのよ?」
「えっ?」
アリューシャ嬢が当たり前みたいな調子で仰ったことにエンディミオン殿下同様、私も心の中で疑問符を浮かべてしまいました。
「いらいらしていることがおおくなられたはくしゃくさまと、きがみじかくなられたおにいさま。しゅけのむすめであるリリエンヌさまをないがしろにするしようにんたち。このどくは、まずしんけい……せいしんてきなものと、ひとがいしきせずにうごかしているないぞうに、えいきょうをおよぼすのですわ」
「そうよ。のう、しんぞう、かんぞう、じんぞう。えいきょうをうけるのは、ひとがいきていくためには、そこなってはいけないぞうきばかりだわ。エル。こうさくいんとラザエリーのしずく、しようされていたどくいりのみず、それじたいのかくほは、できてるんでしょうね?」
アリューシャ嬢がフランスワーヌ嬢の後を続けるようにして答えた言葉の終わりに六精霊の魔導術士様に投げかけた問いに、彼は初めてリリエンヌ嬢から視線を外して俯きました。
「……ああ」
ごく、短く発せられた答えは、今、正にこの時、リリエンヌ嬢のご自宅や領地の館が王軍によって捜索されている事実を彼女に悟らせてしまうものでした。
「こうさくいん、しずく、つかわれたみず、この3つをしょうこいんめつされるまえに、おさえられなれば、こんかいのじけんは、かんぜんにおれたちのまけがかくていする。リリエンヌはこうしてたすけられても、はくしゃくふじんはすでになくなり、はくしゃくとあにきは、へたすりゃ、しょけいがかくていする」
処刑。
その単語を聞いた瞬間、リリエンヌ嬢の身体がビクッと跳ねました。
「まだ、まにあう」
顔を上げてリリエンヌ嬢を見詰める六精霊の魔導術士様のお顔は、苦渋の決断であることを示すように切なげな歪みを伴っておりました。
「おれこじんとしては、リリエンヌをいじめてたはくしゃくとあにきは、たとえどくであたまおかしくなってたんだとしても、しょけいとかあまっちょろいこといわねぇで、このてでくびりころしてやりてぇくらいだ。でも!」
六精霊の魔導術士様は、頑張って変えておられた伯爵子息としての一人称が、すっかり個人としての物に変わってしまわれておりました。
ですが、その所為で、より一層、彼自身の気持ち自体が別にありつつも、それを思い止まっているのだと分かる繋ぎ言葉が説得力を持って聞こえます。
「どくのせいで、あんなふうになってたんだ、どくのせいで、おかしくなってたからなんだってわかったら、きっとリリエンヌは、ふたりもしようにんのれんちゅうも、たすけたいって、いいだすにきまってる」
リリエンヌ嬢のお気持ちを思い込みだけで決めつけるのはよくない気もいたしましたが、六精霊の魔導術士様に向ける彼女の目には、拒否も嫌悪もなく、寧ろ、喜びと感謝に溢れていました。
「じぶんをいじめてたあいてでも、かあさまをたすけてくれなかったあいてでも、わるいのは、デルタズマフェンのヤツだって。はくしゃくとあにきをたすけてくれって、そういうにきまってる」
彼の仰ることは、真実、その通りなのでしょう。
リリエンヌ嬢は、彼の言葉を一切遮ることなく。
口に出すことは出来ない、ご自分の気持ちを半ば代弁してくれているような格好で話し続ける彼にリリエンヌ嬢の瞳が涙で潤んできていました。
「だからおれは……おうしつあんぶにかけあって、リリエンヌのいえに、ちょうほうではいりこんでるにんげんとはべつで、あんぶのにんげんをいれてもらったんだ。おちゃかいのひ、きょうリリエンヌをおくりだすときまで、それとなくリリエンヌをたすけてくれるように。デルタズマフェンのヤツをおうぐんがとつにゅうするまえに、つかまえて、かくほできるように」
何も知らずにいた自分を影からあれこれ手を回して、手助けする準備を整えてくれていたこと。
自分の性格や気持ちを考えて、彼自身の考えよりもそれを優先してくれたこと。
小さく唇を噛んで、目の縁に一杯涙を溜めながら、それでも泣くまいと頑張っておられたリリエンヌ嬢の頬に六精霊の魔導術士様が、左手で包み込むように触れました。
「おれにくすりはつくれないけど、リリエンヌ。キミならつくれるようになる! ひつようなざいりょうのありかは、せいれいたちにいって、ぜんぶ、おさえてある。どうぐも、このきゅうでんのいっしつにキミのへやから、はこびこんでもらうさんだんをつけてある。だから。ねぇ?」
優しくかけられる声に、リリエンヌ嬢が遂に堪えられなくなって、涙を溢しました。
自分の望みを的確に予測して、既に全部、手段や環境を整えてくれている。
そう、彼が言ってくれているのが分かるのですから。
「おしえて? キミの、のぞみを。どうしたい? どうしてほしい? かなえるから。なにをさしおいても、ぜんぶ……ぜんぶ、キミのしたいこと、そののぞみをかなえるためのみちずじを、おれがつくってみせるから。いって? おねがい」
独り善がりで押し付けるばかりではなく、最後にはリリエンヌ嬢が本当に望んで、ご自分からしたいと仰ったことを大事になさるおつもりなのでしょう。
おねがい。
その言葉に、彼の気持ちが集約されているようでした。
「エルドレッドさま……」
名を呼び、頬に触れている彼の手にご自分の右手を外から重ねられたリリエンヌ嬢は、彼の手に頬を摺り寄せるような仕草をなさいました。
「いえのみんなをばっするより、たすけたい。わたしのこのわがままを、おゆるしくださいますか?」
「それがキミの、のぞみならば。よろこんで」
「ありがとうございます、エルドレッドさま」
リリエンヌ嬢の求めに即答された六精霊の魔導術士様の言葉に、溢れる涙を拭いもせず、嬉しそうな笑顔を見せる彼女の姿は、肉親以外の男性から無償の愛を注がれる喜びを知った1人の女性として、幼いながらも美しさを感じさせるものでございました。
僅かに身の震えだしたリリエンヌ嬢の問いかけに六精霊の魔導術士様は、握る手に力を込め直すだけでなく、椅子の右側に膝を出し、完全にリリエンヌ嬢の方を向いてしまいました。
顔色を無くしたリリエンヌ嬢に、逡巡した様子を見せたアリューシャ嬢でしたが。
「そうよ。でも、けっかてきには、あなたいがいのやしきのひとたちぜんいんが、ひがいしゃっていえば、ひがいしゃね。だって、おうとのやしきにうつってきても、いえのなかのじょうきょう、かわらなかったでしょう?」
「………はい。かわりませんでした」
「おうとのやしきでは、あなただけが、じぶんのちからでだしたみずをのんでた。ちがう?」
「………いいえ、そのとおりです」
「ねぇ、アリィ。デルタズマフェンおうこくは、どうして、はくしゃくふじんや、はくしゃくけのひとたちを、ころそうとしたの?」
アリューシャ嬢とリリエンヌ嬢のやりとりに、そう言ってエンディミオン殿下が割って入り、首を傾げます。
「リリエンヌじょうがぶじだったのは、どくのはいったみずを、くちにしなかったからなんだろうけど、ぎゃくにいうなら、のんだひとたちは、ぜんいんむさべつに、しんじゃうかのうせいがあったはずだよね? でも、じっさいになくなっているのは、ファーフリスタはくしゃくふじんだけ。それはどうして?」
「しんでないだけで、リリエンヌいがいのひとたちには、ちゅうどくしょうじょうが、おこってるのよ?」
「えっ?」
アリューシャ嬢が当たり前みたいな調子で仰ったことにエンディミオン殿下同様、私も心の中で疑問符を浮かべてしまいました。
「いらいらしていることがおおくなられたはくしゃくさまと、きがみじかくなられたおにいさま。しゅけのむすめであるリリエンヌさまをないがしろにするしようにんたち。このどくは、まずしんけい……せいしんてきなものと、ひとがいしきせずにうごかしているないぞうに、えいきょうをおよぼすのですわ」
「そうよ。のう、しんぞう、かんぞう、じんぞう。えいきょうをうけるのは、ひとがいきていくためには、そこなってはいけないぞうきばかりだわ。エル。こうさくいんとラザエリーのしずく、しようされていたどくいりのみず、それじたいのかくほは、できてるんでしょうね?」
アリューシャ嬢がフランスワーヌ嬢の後を続けるようにして答えた言葉の終わりに六精霊の魔導術士様に投げかけた問いに、彼は初めてリリエンヌ嬢から視線を外して俯きました。
「……ああ」
ごく、短く発せられた答えは、今、正にこの時、リリエンヌ嬢のご自宅や領地の館が王軍によって捜索されている事実を彼女に悟らせてしまうものでした。
「こうさくいん、しずく、つかわれたみず、この3つをしょうこいんめつされるまえに、おさえられなれば、こんかいのじけんは、かんぜんにおれたちのまけがかくていする。リリエンヌはこうしてたすけられても、はくしゃくふじんはすでになくなり、はくしゃくとあにきは、へたすりゃ、しょけいがかくていする」
処刑。
その単語を聞いた瞬間、リリエンヌ嬢の身体がビクッと跳ねました。
「まだ、まにあう」
顔を上げてリリエンヌ嬢を見詰める六精霊の魔導術士様のお顔は、苦渋の決断であることを示すように切なげな歪みを伴っておりました。
「おれこじんとしては、リリエンヌをいじめてたはくしゃくとあにきは、たとえどくであたまおかしくなってたんだとしても、しょけいとかあまっちょろいこといわねぇで、このてでくびりころしてやりてぇくらいだ。でも!」
六精霊の魔導術士様は、頑張って変えておられた伯爵子息としての一人称が、すっかり個人としての物に変わってしまわれておりました。
ですが、その所為で、より一層、彼自身の気持ち自体が別にありつつも、それを思い止まっているのだと分かる繋ぎ言葉が説得力を持って聞こえます。
「どくのせいで、あんなふうになってたんだ、どくのせいで、おかしくなってたからなんだってわかったら、きっとリリエンヌは、ふたりもしようにんのれんちゅうも、たすけたいって、いいだすにきまってる」
リリエンヌ嬢のお気持ちを思い込みだけで決めつけるのはよくない気もいたしましたが、六精霊の魔導術士様に向ける彼女の目には、拒否も嫌悪もなく、寧ろ、喜びと感謝に溢れていました。
「じぶんをいじめてたあいてでも、かあさまをたすけてくれなかったあいてでも、わるいのは、デルタズマフェンのヤツだって。はくしゃくとあにきをたすけてくれって、そういうにきまってる」
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リリエンヌ嬢は、彼の言葉を一切遮ることなく。
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自分の性格や気持ちを考えて、彼自身の考えよりもそれを優先してくれたこと。
小さく唇を噛んで、目の縁に一杯涙を溜めながら、それでも泣くまいと頑張っておられたリリエンヌ嬢の頬に六精霊の魔導術士様が、左手で包み込むように触れました。
「おれにくすりはつくれないけど、リリエンヌ。キミならつくれるようになる! ひつようなざいりょうのありかは、せいれいたちにいって、ぜんぶ、おさえてある。どうぐも、このきゅうでんのいっしつにキミのへやから、はこびこんでもらうさんだんをつけてある。だから。ねぇ?」
優しくかけられる声に、リリエンヌ嬢が遂に堪えられなくなって、涙を溢しました。
自分の望みを的確に予測して、既に全部、手段や環境を整えてくれている。
そう、彼が言ってくれているのが分かるのですから。
「おしえて? キミの、のぞみを。どうしたい? どうしてほしい? かなえるから。なにをさしおいても、ぜんぶ……ぜんぶ、キミのしたいこと、そののぞみをかなえるためのみちずじを、おれがつくってみせるから。いって? おねがい」
独り善がりで押し付けるばかりではなく、最後にはリリエンヌ嬢が本当に望んで、ご自分からしたいと仰ったことを大事になさるおつもりなのでしょう。
おねがい。
その言葉に、彼の気持ちが集約されているようでした。
「エルドレッドさま……」
名を呼び、頬に触れている彼の手にご自分の右手を外から重ねられたリリエンヌ嬢は、彼の手に頬を摺り寄せるような仕草をなさいました。
「いえのみんなをばっするより、たすけたい。わたしのこのわがままを、おゆるしくださいますか?」
「それがキミの、のぞみならば。よろこんで」
「ありがとうございます、エルドレッドさま」
リリエンヌ嬢の求めに即答された六精霊の魔導術士様の言葉に、溢れる涙を拭いもせず、嬉しそうな笑顔を見せる彼女の姿は、肉親以外の男性から無償の愛を注がれる喜びを知った1人の女性として、幼いながらも美しさを感じさせるものでございました。
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