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第4章 集まれ仲間達
子供ざまあの後始末 -3-
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儂の名は、ユーグレット・クレメンティルス侯爵。
このシグマセンティエ王国で、法務大臣を任されとる。
「………」
今、儂の目の前には、どうしてこうなったんじゃ? と疑問に思わざるえん量の書類が山積みされとってな。
つい先頃、クウェンティ家に詐欺を働き、陛下のご裁可によって取り潰しとなった貴族家の時以上の証拠書類とその目録が……。
『ソラヨ。コンドハ、リョウチノヤツカラダゼ』
こうして、緑色の半透明な丸い球 ──… 現臨したミニ精霊 …── によって、ひらひらぺらり、と風に乗って机上に降りるからじゃ。
コヤツらの上位にあたる精霊王との契約者である六精霊の魔導術士と呼ばれる小僧が、今回、盛大にやらかしまくっとるのが発覚したファーフリスタ伯爵家の顛末に関わっとるのが、全ての元凶なんじゃよう……。
あの小僧は、ファーフリスタの王都邸と領地の領館に派遣される王軍に手製の魔法陣が描かれた羊皮紙を渡しとって、予め闇の精霊がみつけた証拠品の在り処をリストアップしたものと照らし合わせて、その魔法陣の上に置けと言いよった。
どうやらそれは、転移魔法陣の1種であったらしく、こうして儂の執務室にある、魔法陣に双方の家宅捜索場所より次々と送られてきとるモンが全て検証対象となっとる訳だ。
室内におった部下共が、ついぞ皆、居なくなったのは、この書類と証拠品の山が3つ目を越した辺りだったかのう。
関係各所への確認に次ぐ確認。
お役所仕事と言うてくれるな。
儂ら法務の仕事なんぞ、8割方確認じゃ。
犯人捕縛に関する確認、証拠と証言の確認、現場検証の確認、裁判を行うかどうかの確認、裁判官のみで行う下級裁判にするのか陛下にお出ましいただく上級裁判とするかの確認、現行法との確認、過去裁判での判例確認、慣例確認、判決の確認、判決に基づく処罰の実行に関する前後確認、実行された処罰に基づき決定された様々な関連事項の決定と実行に関する確認、全ての手続きや実行が滞りなく完遂されおるかの確認、確認、確認、確認……。
『マタキタゼィ』
ひらひらペラリ、と魔法陣から風のミニ精霊によって運ばれ、1枚1枚着実に増え、積み上がって行く紙の群れ。
何というか……普段、こんなに証拠だの接収した証拠品の目録だのが即日大量に見つかったりはせんのだがのう。
『ニンゲンッテヨウ、ナンデ、ジブンガカクシタモノハ、ジブンニシカ、ワカンネェッテ、オモウンダ? ンナワキャネェダロ。オナジニンゲンニダッテ、ミツカルコトガアンノニ、メガミサマヤ、オイラタチ、セイレイアイテニ、カクシトオソウトカ、ムリニキマッテンダロ』
「……言われてみれば、と思う辺りで終わっとるのだろうの。秘密は暴かれるもの、隠した物は見つかるもの。真理だのう……」
全人類がミニ精霊から疑義とツッコミを貰うという、前代未聞の事態を何で儂1人で対応せねばならんのか。
「うん? ……ああ、これか。ファーフリスタ伯爵夫人、エーデルリット様に盛られた毒というのは」
儂は証拠品目録にあった薬剤名称と予め陛下を通して六精霊の魔導術士様より指定されておった至急対応案件薬剤に合致を見て手を止めた。
「風のミニ精霊よ。儂は薬剤にはあまり詳しくないんだがの、この “ラザエリーの雫” とやらは、一体どんな毒なんじゃ?」
『チノヤツニキイテヤルカラ、マド、アケナ』
「うむ」
風のミニ精霊が求めたことに従って儂が窓を開けると緑色の半透明をした球体が、フワフワ~っと窓辺へ移動した。
『ラザエヒソノイッシュナンダトヨ。ヤクジュツヤ、レンキンジュツデゴウセイスルト、シロイイロノ、ムミムシュウナ、フンマツトシテ、セキシュツサレテ、ソイツヲ、ショウリョウミズニトカシテ、チョウキニワタッテセッシュスルト、チュウドクショウジョウッテノガオキテ、マテリアルナイキモノハ、ミンナ、シンジマウンダッテサ』
土の精霊から得たのだろう情報を伝えてくれた風のミニ精霊の言うことを聞く限りでは、秘匿性が高い上に、かなりの毒性を持つ薬剤という印象しか、儂には抱くことが出来んかった。
「マテリアルな生き物……儂らのように肉体を持っとる生物全般を殺せる毒物ということか」
『バレニクインダッテヨ。シンジマッタヤツカラコイツヲケンシュツスルニハ、センモンテキナ、チシキトギジュツガイルンダトヨ』
つまり、儂が知らんかっただけで、知っとるヤツは知っとるし、作れるヤツも使っとるヤツも居る……そういうことか。
「なるほど。それを聞いただけでも意図的かつ計画的。加えて、罪過から逃奔する気なのが透けて見えるのう」
『ホカハシラネェガ、エルドレッドカラニゲルトカ、ムリダロ。シカモ、コンカイノケンハ、エルドレッドガ、ツガイニノゾムオンナ、リリエンヌガラミダゾー? ムリムリ。アイツニ、カゴアタエタノ、ダレダトオモッテンダ。ワレラガセイレイオウサマダゾ? セイレイリョクガ、ゼロナセカイニデモイカナケリャ、ニゲラレネェヨ』
「まぁ、犯した罪の数も多い。ここまでやらかせば、我が国とて見過ごせんよ」
特にこの、数ある偽造の中でも取り分け、王家への納入品に関する公文書偽造が致命的じゃ。
夫人の毒殺に当主と令息が絡んどるというのも裁可で心証を悪くする要因となるじゃろう。
他にも税の不正取得、帳簿の改竄。
まだまだ叩けば叩くだけ埃が出てきそうな手応えがある上、今日になってやらかした分を含めれば、刎ねるには十分じゃろう。
全く、愚かなことよの。
このシグマセンティエ王国で、法務大臣を任されとる。
「………」
今、儂の目の前には、どうしてこうなったんじゃ? と疑問に思わざるえん量の書類が山積みされとってな。
つい先頃、クウェンティ家に詐欺を働き、陛下のご裁可によって取り潰しとなった貴族家の時以上の証拠書類とその目録が……。
『ソラヨ。コンドハ、リョウチノヤツカラダゼ』
こうして、緑色の半透明な丸い球 ──… 現臨したミニ精霊 …── によって、ひらひらぺらり、と風に乗って机上に降りるからじゃ。
コヤツらの上位にあたる精霊王との契約者である六精霊の魔導術士と呼ばれる小僧が、今回、盛大にやらかしまくっとるのが発覚したファーフリスタ伯爵家の顛末に関わっとるのが、全ての元凶なんじゃよう……。
あの小僧は、ファーフリスタの王都邸と領地の領館に派遣される王軍に手製の魔法陣が描かれた羊皮紙を渡しとって、予め闇の精霊がみつけた証拠品の在り処をリストアップしたものと照らし合わせて、その魔法陣の上に置けと言いよった。
どうやらそれは、転移魔法陣の1種であったらしく、こうして儂の執務室にある、魔法陣に双方の家宅捜索場所より次々と送られてきとるモンが全て検証対象となっとる訳だ。
室内におった部下共が、ついぞ皆、居なくなったのは、この書類と証拠品の山が3つ目を越した辺りだったかのう。
関係各所への確認に次ぐ確認。
お役所仕事と言うてくれるな。
儂ら法務の仕事なんぞ、8割方確認じゃ。
犯人捕縛に関する確認、証拠と証言の確認、現場検証の確認、裁判を行うかどうかの確認、裁判官のみで行う下級裁判にするのか陛下にお出ましいただく上級裁判とするかの確認、現行法との確認、過去裁判での判例確認、慣例確認、判決の確認、判決に基づく処罰の実行に関する前後確認、実行された処罰に基づき決定された様々な関連事項の決定と実行に関する確認、全ての手続きや実行が滞りなく完遂されおるかの確認、確認、確認、確認……。
『マタキタゼィ』
ひらひらペラリ、と魔法陣から風のミニ精霊によって運ばれ、1枚1枚着実に増え、積み上がって行く紙の群れ。
何というか……普段、こんなに証拠だの接収した証拠品の目録だのが即日大量に見つかったりはせんのだがのう。
『ニンゲンッテヨウ、ナンデ、ジブンガカクシタモノハ、ジブンニシカ、ワカンネェッテ、オモウンダ? ンナワキャネェダロ。オナジニンゲンニダッテ、ミツカルコトガアンノニ、メガミサマヤ、オイラタチ、セイレイアイテニ、カクシトオソウトカ、ムリニキマッテンダロ』
「……言われてみれば、と思う辺りで終わっとるのだろうの。秘密は暴かれるもの、隠した物は見つかるもの。真理だのう……」
全人類がミニ精霊から疑義とツッコミを貰うという、前代未聞の事態を何で儂1人で対応せねばならんのか。
「うん? ……ああ、これか。ファーフリスタ伯爵夫人、エーデルリット様に盛られた毒というのは」
儂は証拠品目録にあった薬剤名称と予め陛下を通して六精霊の魔導術士様より指定されておった至急対応案件薬剤に合致を見て手を止めた。
「風のミニ精霊よ。儂は薬剤にはあまり詳しくないんだがの、この “ラザエリーの雫” とやらは、一体どんな毒なんじゃ?」
『チノヤツニキイテヤルカラ、マド、アケナ』
「うむ」
風のミニ精霊が求めたことに従って儂が窓を開けると緑色の半透明をした球体が、フワフワ~っと窓辺へ移動した。
『ラザエヒソノイッシュナンダトヨ。ヤクジュツヤ、レンキンジュツデゴウセイスルト、シロイイロノ、ムミムシュウナ、フンマツトシテ、セキシュツサレテ、ソイツヲ、ショウリョウミズニトカシテ、チョウキニワタッテセッシュスルト、チュウドクショウジョウッテノガオキテ、マテリアルナイキモノハ、ミンナ、シンジマウンダッテサ』
土の精霊から得たのだろう情報を伝えてくれた風のミニ精霊の言うことを聞く限りでは、秘匿性が高い上に、かなりの毒性を持つ薬剤という印象しか、儂には抱くことが出来んかった。
「マテリアルな生き物……儂らのように肉体を持っとる生物全般を殺せる毒物ということか」
『バレニクインダッテヨ。シンジマッタヤツカラコイツヲケンシュツスルニハ、センモンテキナ、チシキトギジュツガイルンダトヨ』
つまり、儂が知らんかっただけで、知っとるヤツは知っとるし、作れるヤツも使っとるヤツも居る……そういうことか。
「なるほど。それを聞いただけでも意図的かつ計画的。加えて、罪過から逃奔する気なのが透けて見えるのう」
『ホカハシラネェガ、エルドレッドカラニゲルトカ、ムリダロ。シカモ、コンカイノケンハ、エルドレッドガ、ツガイニノゾムオンナ、リリエンヌガラミダゾー? ムリムリ。アイツニ、カゴアタエタノ、ダレダトオモッテンダ。ワレラガセイレイオウサマダゾ? セイレイリョクガ、ゼロナセカイニデモイカナケリャ、ニゲラレネェヨ』
「まぁ、犯した罪の数も多い。ここまでやらかせば、我が国とて見過ごせんよ」
特にこの、数ある偽造の中でも取り分け、王家への納入品に関する公文書偽造が致命的じゃ。
夫人の毒殺に当主と令息が絡んどるというのも裁可で心証を悪くする要因となるじゃろう。
他にも税の不正取得、帳簿の改竄。
まだまだ叩けば叩くだけ埃が出てきそうな手応えがある上、今日になってやらかした分を含めれば、刎ねるには十分じゃろう。
全く、愚かなことよの。
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