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第4章 集まれ仲間達
エルドレッドの選択 -6-
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前世で、俺はリリエンヌ最推しのオタクで、リリエンヌを俺の嫁と決め、3次元の女には目もくれず彼女だけを愛していた。
リリエンヌに出会う前、女の子を好きになったことはないのか、と聞かれれば答えはNOだが、女の子に告白されたことはないのかと聞かれれば、答えはYESだった。
でも、女の子と実際に付き合ったことがあるのか、の答えはやはり、NOなのだけれど。
俺は学校や職場では完全に一般人に擬態していたし、自室の鍵は出入口も窓側もロックを追加して家族の突入を許さなかったから、ネットで出会った同志達とオタ活動するまでは、本当に誰にもバレていない潜航型のオタクだったんだ。
だから女の子達も告白とかしてきたんだろう、と俺は考えていたから、リリエンヌに出会う前に彼女達へしていた答えは「ごめん」だけだったけど、リリエンヌに出会ってからは「ごめん、俺、好きな子いるんだ」に答えを変えた。
誰? って聞かれても「キミの知らない子」で通していたから恐らく、オタ同志以外に俺の好きな子を知っている人間は皆無だ。
けれど、世の中には、女の気配というのに敏感な女子というのがいて、俺の好きな子が存在していない ── まぁ、リリエンヌは当時、俺がいた次元には存在していなかった ── とアタリをつけた女に纏わり付かれたことがあった。
こっちにその気はないのに彼女気取り。
やんわり言ってもハッキリ言ってもやめてくれなくて、しまいにはストーカー化した。
そんな体験を残念ながら覚えたまま転生してきた俺は、そのストーカー女と女神様の意思を無視った女に共通の空気を感じていた。
「エンディ、きいてくれ」
「っ、いま、ぼくはっ!」
「アリィとフランは、おれといっしょでわかってるんだ。そのおんなにとって、おまえが、どうおもっているかなんて、さいしゅうてきには、かんけいないんだって」
「………え?」
アリューシャの誤解だと思って焦っていたらしいエンディミオン殿下は、俺の言葉に、ここでやっと耳を傾けてくれた。
「どういういみ?」
「エンディがアリィをどんなにすきか、こんせつていねいに、そのおんなにせつめいしたとしても、そのおんなは、アリィがエンディに、そういわせてるんだ、そくばくされてかわいそうに、わたしがあなたをかいほうしてあげるわ、なんて、ななめうえ37.51°くらいズレまくってるうえに、へんのどあいがこまかすぎて、だれにもきょうかんしてもらえないような、かいしゃくしか、してくれやしねぇからだよ」
「やけに、ぐたいてきね?」
「じったいけんだからな」
アリューシャがして来た突っ込みに俺が即答すると、女の子2人は息を飲んで驚いたような顔をした。
「エンディ、このテのおんなのたいしょにひつようなのは、いかにじぶんが、アリィをすきなのかをしゅちょうすることでもなければ、そのおんなにたいする、かんようやきょひをぜんめんにあらわすことでもない。ゆいいつ、ゆうこうといえるしゅだんは、ぶつりてき、かつ、じかんてきな、きょりをおくことだけだ」
俺はキッパリとそう言い切った。
すると、ふらぁっとアリューシャの傍から立ち上がったエンディミオン殿下は、闇堕ちしたようなツラで、俺の方を向いて、こう言った。
「……おうぞくである、ぼくにたいする、ふけいざいとかで、こくがいついほうにでもすればいいのかい?」
「まっくろオーラをからだじゅうからブンまきながら、まがおでいうな。アリィとフランがドンびいてるぞ?」
「えっ⁈ ち、ちがうよ⁈ アリィとフランにそんなことしないよ、ぼく⁈」
俺の言葉をアリューシャとフランソワーヌに対して追放すると言ったように聞こえた、という意味に受け取ったエンディミオン殿下は、慌ててそれを否定していた。
「めいわくおんなかくていじんぶつとはいえ、まだ、なんもしとらんおんなにたいして、おまえがそのせんたくしを、えらぶことができるというてんにドンびいてんだよ、きづけ」
「っ」
まぁ、実際には当たらずしも遠からずだろうから、そこのとこはもういいだろう。
流して先いこう。
「いいか、エンディ。おまえがふたりを、とくにアリィをだいじにしてるのはわかった。だったらおまえがしなくちゃならんのは、きけんいんしのはいじょほうほうをかんがえることじゃない。いかに、じぶんやアリィをまもって、めいわくおんなをちょうしづかせず、ごかいのじょちょうや、ぬりかさねをさせないかだ」
「そんなほうほう、あるの?」
「ある」
「っ‼︎ おしえて、エル! ぼくは、どうしたらいいの?」
ま、知りたいよな。
当時の俺だって、誰かが教えてくれるモンなら教えて欲しかったしさ?
それは体験済みの者として理解出来たから。
「じゃ、エンディも、いざってときには、おれのことたすけてな? それならおれもエンディをたすけるからさ? おたがいに、りがある。おたがいにたすけあえるから、ともだちでもいられるんだし? かいきゅうのもんだいはしょうがないにしても、それいがいのトコでは、おれとおまえは、それをもって、びょうどうでいられる。そんなかんじでどよ? このはなし、のる?」
ニッ、と笑って、俺はエンディミオン殿下にそんな提案を投げかけていた。
リリエンヌに出会う前、女の子を好きになったことはないのか、と聞かれれば答えはNOだが、女の子に告白されたことはないのかと聞かれれば、答えはYESだった。
でも、女の子と実際に付き合ったことがあるのか、の答えはやはり、NOなのだけれど。
俺は学校や職場では完全に一般人に擬態していたし、自室の鍵は出入口も窓側もロックを追加して家族の突入を許さなかったから、ネットで出会った同志達とオタ活動するまでは、本当に誰にもバレていない潜航型のオタクだったんだ。
だから女の子達も告白とかしてきたんだろう、と俺は考えていたから、リリエンヌに出会う前に彼女達へしていた答えは「ごめん」だけだったけど、リリエンヌに出会ってからは「ごめん、俺、好きな子いるんだ」に答えを変えた。
誰? って聞かれても「キミの知らない子」で通していたから恐らく、オタ同志以外に俺の好きな子を知っている人間は皆無だ。
けれど、世の中には、女の気配というのに敏感な女子というのがいて、俺の好きな子が存在していない ── まぁ、リリエンヌは当時、俺がいた次元には存在していなかった ── とアタリをつけた女に纏わり付かれたことがあった。
こっちにその気はないのに彼女気取り。
やんわり言ってもハッキリ言ってもやめてくれなくて、しまいにはストーカー化した。
そんな体験を残念ながら覚えたまま転生してきた俺は、そのストーカー女と女神様の意思を無視った女に共通の空気を感じていた。
「エンディ、きいてくれ」
「っ、いま、ぼくはっ!」
「アリィとフランは、おれといっしょでわかってるんだ。そのおんなにとって、おまえが、どうおもっているかなんて、さいしゅうてきには、かんけいないんだって」
「………え?」
アリューシャの誤解だと思って焦っていたらしいエンディミオン殿下は、俺の言葉に、ここでやっと耳を傾けてくれた。
「どういういみ?」
「エンディがアリィをどんなにすきか、こんせつていねいに、そのおんなにせつめいしたとしても、そのおんなは、アリィがエンディに、そういわせてるんだ、そくばくされてかわいそうに、わたしがあなたをかいほうしてあげるわ、なんて、ななめうえ37.51°くらいズレまくってるうえに、へんのどあいがこまかすぎて、だれにもきょうかんしてもらえないような、かいしゃくしか、してくれやしねぇからだよ」
「やけに、ぐたいてきね?」
「じったいけんだからな」
アリューシャがして来た突っ込みに俺が即答すると、女の子2人は息を飲んで驚いたような顔をした。
「エンディ、このテのおんなのたいしょにひつようなのは、いかにじぶんが、アリィをすきなのかをしゅちょうすることでもなければ、そのおんなにたいする、かんようやきょひをぜんめんにあらわすことでもない。ゆいいつ、ゆうこうといえるしゅだんは、ぶつりてき、かつ、じかんてきな、きょりをおくことだけだ」
俺はキッパリとそう言い切った。
すると、ふらぁっとアリューシャの傍から立ち上がったエンディミオン殿下は、闇堕ちしたようなツラで、俺の方を向いて、こう言った。
「……おうぞくである、ぼくにたいする、ふけいざいとかで、こくがいついほうにでもすればいいのかい?」
「まっくろオーラをからだじゅうからブンまきながら、まがおでいうな。アリィとフランがドンびいてるぞ?」
「えっ⁈ ち、ちがうよ⁈ アリィとフランにそんなことしないよ、ぼく⁈」
俺の言葉をアリューシャとフランソワーヌに対して追放すると言ったように聞こえた、という意味に受け取ったエンディミオン殿下は、慌ててそれを否定していた。
「めいわくおんなかくていじんぶつとはいえ、まだ、なんもしとらんおんなにたいして、おまえがそのせんたくしを、えらぶことができるというてんにドンびいてんだよ、きづけ」
「っ」
まぁ、実際には当たらずしも遠からずだろうから、そこのとこはもういいだろう。
流して先いこう。
「いいか、エンディ。おまえがふたりを、とくにアリィをだいじにしてるのはわかった。だったらおまえがしなくちゃならんのは、きけんいんしのはいじょほうほうをかんがえることじゃない。いかに、じぶんやアリィをまもって、めいわくおんなをちょうしづかせず、ごかいのじょちょうや、ぬりかさねをさせないかだ」
「そんなほうほう、あるの?」
「ある」
「っ‼︎ おしえて、エル! ぼくは、どうしたらいいの?」
ま、知りたいよな。
当時の俺だって、誰かが教えてくれるモンなら教えて欲しかったしさ?
それは体験済みの者として理解出来たから。
「じゃ、エンディも、いざってときには、おれのことたすけてな? それならおれもエンディをたすけるからさ? おたがいに、りがある。おたがいにたすけあえるから、ともだちでもいられるんだし? かいきゅうのもんだいはしょうがないにしても、それいがいのトコでは、おれとおまえは、それをもって、びょうどうでいられる。そんなかんじでどよ? このはなし、のる?」
ニッ、と笑って、俺はエンディミオン殿下にそんな提案を投げかけていた。
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