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第4章 集まれ仲間達
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「え? これ、なんていう、ちしきチート?」
「たじまもりさまのかごですわ」
え?
それ、前世の世界の神様じゃん?
しかも加護で、まんじゅう? はい?
「かごって、まんじゅうが?」
「はんいは、おかし、かんみ、デザートるいをいただけること、で、かごをおねがいいたしましたわ」
「………うん、まぁ、いざってときに、くいっぱぐれることはねぇってかんじのせんたく、てきな……?」
「はい。わたくし、へいみんおちフラグとか、ついほうフラグとか、かくしゅいろいろとフラグがございますし。おねぇさまにとってかわろうとするきなのだろう、イタインのじょうほうも、サーシャエールさまからいただきましたしね」
「おおぅ……イタインかくていなのかよ」
「はい。りゆうがりゆうですので」
そう前置きして、フランソワーヌは、昏森塚の地下迷宮でリセット5-10を使った時のことを話してくれた。
エンディミオン殿下が居たからか、前世の話しは微妙にボカしてはいたが、要するに生まれて来る時、違う世界へ行く筈だった子が、女神の意思を無視して、逆ハー目指し、勝手に特攻転生したという話しで。
俺は正直、開いた口が塞がらなかった。
ついつい、行儀悪いと分かっていながら、椅子の肘置きに肘をついて、握った右手の人差し指、第3関節の横辺りを眉間に押しつけて目を閉じた。
頑張れ俺。
挫けるのはまだ早い。
俺にとっては、まだ本題に入ってないんだぞ、今の状況。
でも、もし、そいつが何某かの力を持ってて、俺がリリエンヌを助けた後に学院でそれを使い、俺の意思とは関係なく、彼女を裏切るようなことをしでかす可能性を排除出来ないなら、この話しは聞いておいて損はない。
今ならまだ、ありとあらゆる状況を想定して対策を打てる。
「うん、まぁ、おもうところは、いろいろあるけど、とりあえずいまはいいや。きいときときたいのはさ? そいつのねらいが、ぎゃくハーってのは、ガチなわけ?」
「ぎゃくハーってのはがちなわけってなに? どういういみのことばなんだい? それ」
ん?
単語の意味を既に全員が分かってるものとして、目を閉じたまま話しを進めていた俺は、完全に素朴な疑問音程で紡がれた問いに、動きも思考も固まった。
「……なぁ、なんでおまえら、エンディにせつめいしてねぇの? はなしきいたかぎり、いちばんヤバげなひがいしゃこうほNo.1は、どうかんがえたってコイツだろ?」
何せ、フランソワーヌまたはアリューシャと結ばれなかった場合のエンディミオンストーリーの展開は、悲惨の一語に尽きるんだ。
良くて、逆ざまぁの巻き添えで廃嫡、平民落ち。
悪くすると、魔王戦メンバーが誰も傍に残らず、殆ど孤立無縁状態で魔王に挑んで討ち死。
2人の話しでは、魔王戦のBADENDルートは塞がれてるらしいのとエンディミオン殿下が勇者になるのを拒む “終末ENDその2” は回避済みらしいが、どの道、この2人をどちらも嫁に出来なかったエンディミオン殿下の未来には、破滅しかないんだから。
「だって……おとこのひとが、うわきするりゆうって、おんなのわたしたちには、よくわかんないんだもん」
「えっ⁈ まって⁈ なに、それ⁈」
アリューシャの言い分に驚愕の表情を浮かべて、エンディミオンが勢いよく席から立ち上がる。
「ちちうえじゃないんだから、ぼく、おんなあそびとかいうの、するきないよ⁈ アリィいがいのおんなのこに、いっしょうそばにいてほしいとか、いっしゅんでもおもったことないのに! その、ぎゃくハーっていうのはがちなわけ、っていうのが、なんなのかわかんないけど、アリィじゃなくて、そのめがみさまをむしするようなおんなのこのことなんか、ぼく、すきになんかならないよ!」
アリューシャの傍まで言って、必死に訴えかけるエンディミオン殿下に俺はついつい、ショッパイ顔になってしまった。
「たじまもりさまのかごですわ」
え?
それ、前世の世界の神様じゃん?
しかも加護で、まんじゅう? はい?
「かごって、まんじゅうが?」
「はんいは、おかし、かんみ、デザートるいをいただけること、で、かごをおねがいいたしましたわ」
「………うん、まぁ、いざってときに、くいっぱぐれることはねぇってかんじのせんたく、てきな……?」
「はい。わたくし、へいみんおちフラグとか、ついほうフラグとか、かくしゅいろいろとフラグがございますし。おねぇさまにとってかわろうとするきなのだろう、イタインのじょうほうも、サーシャエールさまからいただきましたしね」
「おおぅ……イタインかくていなのかよ」
「はい。りゆうがりゆうですので」
そう前置きして、フランソワーヌは、昏森塚の地下迷宮でリセット5-10を使った時のことを話してくれた。
エンディミオン殿下が居たからか、前世の話しは微妙にボカしてはいたが、要するに生まれて来る時、違う世界へ行く筈だった子が、女神の意思を無視して、逆ハー目指し、勝手に特攻転生したという話しで。
俺は正直、開いた口が塞がらなかった。
ついつい、行儀悪いと分かっていながら、椅子の肘置きに肘をついて、握った右手の人差し指、第3関節の横辺りを眉間に押しつけて目を閉じた。
頑張れ俺。
挫けるのはまだ早い。
俺にとっては、まだ本題に入ってないんだぞ、今の状況。
でも、もし、そいつが何某かの力を持ってて、俺がリリエンヌを助けた後に学院でそれを使い、俺の意思とは関係なく、彼女を裏切るようなことをしでかす可能性を排除出来ないなら、この話しは聞いておいて損はない。
今ならまだ、ありとあらゆる状況を想定して対策を打てる。
「うん、まぁ、おもうところは、いろいろあるけど、とりあえずいまはいいや。きいときときたいのはさ? そいつのねらいが、ぎゃくハーってのは、ガチなわけ?」
「ぎゃくハーってのはがちなわけってなに? どういういみのことばなんだい? それ」
ん?
単語の意味を既に全員が分かってるものとして、目を閉じたまま話しを進めていた俺は、完全に素朴な疑問音程で紡がれた問いに、動きも思考も固まった。
「……なぁ、なんでおまえら、エンディにせつめいしてねぇの? はなしきいたかぎり、いちばんヤバげなひがいしゃこうほNo.1は、どうかんがえたってコイツだろ?」
何せ、フランソワーヌまたはアリューシャと結ばれなかった場合のエンディミオンストーリーの展開は、悲惨の一語に尽きるんだ。
良くて、逆ざまぁの巻き添えで廃嫡、平民落ち。
悪くすると、魔王戦メンバーが誰も傍に残らず、殆ど孤立無縁状態で魔王に挑んで討ち死。
2人の話しでは、魔王戦のBADENDルートは塞がれてるらしいのとエンディミオン殿下が勇者になるのを拒む “終末ENDその2” は回避済みらしいが、どの道、この2人をどちらも嫁に出来なかったエンディミオン殿下の未来には、破滅しかないんだから。
「だって……おとこのひとが、うわきするりゆうって、おんなのわたしたちには、よくわかんないんだもん」
「えっ⁈ まって⁈ なに、それ⁈」
アリューシャの言い分に驚愕の表情を浮かべて、エンディミオンが勢いよく席から立ち上がる。
「ちちうえじゃないんだから、ぼく、おんなあそびとかいうの、するきないよ⁈ アリィいがいのおんなのこに、いっしょうそばにいてほしいとか、いっしゅんでもおもったことないのに! その、ぎゃくハーっていうのはがちなわけ、っていうのが、なんなのかわかんないけど、アリィじゃなくて、そのめがみさまをむしするようなおんなのこのことなんか、ぼく、すきになんかならないよ!」
アリューシャの傍まで言って、必死に訴えかけるエンディミオン殿下に俺はついつい、ショッパイ顔になってしまった。
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