32 / 458
第3章 それぞれのスタートライン
国王謁見 -2-
しおりを挟む
国王陛下と枢機卿猊下直々の参内要請を断る訳にもいかないし、そもそもこちらから謁見をお願いしていたのだし、とわたし達は慌ただしく領地を発つと最速の5日で何とか王都の邸へと辿り着き、早々に先触れを出して城へ向かった。
「ランドリウス公爵夫妻、並びに娘御達よ、よう参ったのう。楽にするがよい」
“花キミ” では、魔王戦が発生した時とエンディミオン殿下ルートの後半くらいにしか画面へ登場しなかった国王陛下が私用謁見室、という公式ではない形で人と会う為の部屋で、わたし達を出迎えてくれながらそう言った。
陛下の左隣にある長椅子には王妃陛下とエンディミオン殿下の姿もある。
エンディミオン殿下の姿がある!
3歳のエンディミオン殿下の姿ががががががががががががが、ガッ!
「お手数をおかけいたしまして、恐悦にございます、陛下」
「ああー、固い固い。ロー、そなたがそんなんでは奥方や娘御達の緊張が解けんではないか」
そうですね!
陛下と王妃様への緊張はありませんけど、3歳のエンディミオン殿下への緊張はあります!
金糸みたいに細いの金髪が、まだちょっと公式絵より短いけど、陽の光を受けてキラキラ。
どこまで、わたし達のことを聞いているのか分からないけど興味深そうに、わたしとフランを見る、お空みたいなスカイブルーの目がクリクリのキラキラ。
私用謁見だからなのか、ちょっとラフ目の服装は、白と水色を基調としたスリーピースで、あちこちに金糸で刺繍がされているからなのか、これまたキラキラ。
要するにキラキラ男子!
もう存在そのものが、青空に登ってきたばかりの太陽の光とか、夜空に燦然と輝く1番星レベルでキラキラ。
カッコカワイイ!
3歳のエンディミオン殿下、キラキラでカッコカワイイ!
拝みたい拝みたい拝みたい拝みたい拝みたい!
つか拝んでいい? いいよね⁈
「………さま! ア……ねぇさま! もう! アリューシャおねぇさまってば!」
「はえ?」
「おきもちは、わからないでもないですが、へいかとおうひさまをガンむしして、でんかをおがまないでくださいまし!」
考えてただけだった筈なのに、ホントに拝んでいたらしいことをフランに突っ込まれて、初めてわたしは気がついた。
「えへっ♡ だって、ほんものはじめてみたから、つい♡」
「おねぇさま……」
「だってだって! ちょう、カッコカワイイよ、エンディミオンでんか! おがんでかんしょうしてめでるいがいに、なにすればいいの⁈」
「じゃあ、ぼくといっしょに、おにわさんぽする? おとなのおはなし、つまんないだろうし、ぼく、あんないしてあげるよ?」
わたしとフランの救いようゼロな会話に、ニコニコ笑顔でそう提案してくれたのは、あろうことかエンディミオン殿下ご本人!
「うわあー! うわあー! でんかうごいたよ? しゃべったよ⁈ フラン! こえきれい! ちょうやさしい! えがおキラキラ! ヤバーイ!」
フランの両肩をガッシリ掴んで前後にブンブン振り回したら、当のフランから溜息が漏れ出た。
「だめですわね、これは。エンディミオンでんか。どうやらおねぇさまは、しばらくつかいものにならなさそうなので、もうしわけございませんが、おねぇさまがおちつくまで、おにわにおつきあいいただいてもよろしゅうございますか? おはなしは、そのあいだに、わたくしどもですすめておきますので」
「キミはこないの?」
エンディミオン殿下が、こてんって首傾げた!
何という!
何というあざと可愛さ!
これが罪ショタ⁈ 罪ショタなのか⁈ 初めてショタに興味持ったわ!
や、違うな。
ショタなら何でもいい訳じゃないぞ、わたしの場合!
絶対、やってるのがエンディミオン殿下だからだ!
そうに違いない!
「えっと……その……おさそいは、うれしゅうございますが、わたくしまでせきをはずしますと、これからおとうさまたちがされるおはなしのないようを、しょうめいできなくなってしまいますので」
「そうなんだ。わかった。じゃあ、キミとはまたきかいがあればね」
「……わたくしのぶんまで、おねぇさまをよろしくおねがいいたしますわ」
「うん。それじゃあ、アリューシャじょう。いこうか?」
そう言ってエンディミオン殿下が、わたしに向かって、にこやかに手を差し出した。
当然のように、わたしは固まる。
え? こ、これ、かの有名なエスコートってヤツだよね?
「キャーッ⁈ まって! まって! しげきが強すぎる! むりぃぃぃぃぃ! あ! よ、よごれ! わたし、きたなくない⁈ なに? どうすればいいの? みずまほうで、ジャバジャバすればいいの? じょうかまほうで、ドロリンパってすればいいの? それとも……あ! せいしき!」
メッチャパニクりまくって、ようやく出てきた適切な魔法名に、わたしはここが何処かなんて綺麗サッパリ頭の中からスッ飛んでいて。
「〈聖なる泉の清らかなる調べにて 穢れに侵されし全てのものを拭いさらん 清拭純化!〉」
「‼︎」
わたしが唱えた呪文にフラン以外の全員が、息を呑んだのが分かったけれど、それどころではないわたしは、自分の手から汚れや細菌などが綺麗になくなり気分的にも見た目的にもキラリーン⭐︎って感じになったことに、とても満足した。
「おまたせしました、エンディミオンでんか! まいりましょう!」
テンアゲしたまま全開の笑顔で言って、エンディミオン殿下が差し出してくれていた手に自分の手を乗せると、にこっ、と微笑んでくれた殿下が、わたしの手をギュッと握った。
はえ?
エスコートってこういうんだったっけ?
「ランドリウス公爵夫妻、並びに娘御達よ、よう参ったのう。楽にするがよい」
“花キミ” では、魔王戦が発生した時とエンディミオン殿下ルートの後半くらいにしか画面へ登場しなかった国王陛下が私用謁見室、という公式ではない形で人と会う為の部屋で、わたし達を出迎えてくれながらそう言った。
陛下の左隣にある長椅子には王妃陛下とエンディミオン殿下の姿もある。
エンディミオン殿下の姿がある!
3歳のエンディミオン殿下の姿ががががががががががががが、ガッ!
「お手数をおかけいたしまして、恐悦にございます、陛下」
「ああー、固い固い。ロー、そなたがそんなんでは奥方や娘御達の緊張が解けんではないか」
そうですね!
陛下と王妃様への緊張はありませんけど、3歳のエンディミオン殿下への緊張はあります!
金糸みたいに細いの金髪が、まだちょっと公式絵より短いけど、陽の光を受けてキラキラ。
どこまで、わたし達のことを聞いているのか分からないけど興味深そうに、わたしとフランを見る、お空みたいなスカイブルーの目がクリクリのキラキラ。
私用謁見だからなのか、ちょっとラフ目の服装は、白と水色を基調としたスリーピースで、あちこちに金糸で刺繍がされているからなのか、これまたキラキラ。
要するにキラキラ男子!
もう存在そのものが、青空に登ってきたばかりの太陽の光とか、夜空に燦然と輝く1番星レベルでキラキラ。
カッコカワイイ!
3歳のエンディミオン殿下、キラキラでカッコカワイイ!
拝みたい拝みたい拝みたい拝みたい拝みたい!
つか拝んでいい? いいよね⁈
「………さま! ア……ねぇさま! もう! アリューシャおねぇさまってば!」
「はえ?」
「おきもちは、わからないでもないですが、へいかとおうひさまをガンむしして、でんかをおがまないでくださいまし!」
考えてただけだった筈なのに、ホントに拝んでいたらしいことをフランに突っ込まれて、初めてわたしは気がついた。
「えへっ♡ だって、ほんものはじめてみたから、つい♡」
「おねぇさま……」
「だってだって! ちょう、カッコカワイイよ、エンディミオンでんか! おがんでかんしょうしてめでるいがいに、なにすればいいの⁈」
「じゃあ、ぼくといっしょに、おにわさんぽする? おとなのおはなし、つまんないだろうし、ぼく、あんないしてあげるよ?」
わたしとフランの救いようゼロな会話に、ニコニコ笑顔でそう提案してくれたのは、あろうことかエンディミオン殿下ご本人!
「うわあー! うわあー! でんかうごいたよ? しゃべったよ⁈ フラン! こえきれい! ちょうやさしい! えがおキラキラ! ヤバーイ!」
フランの両肩をガッシリ掴んで前後にブンブン振り回したら、当のフランから溜息が漏れ出た。
「だめですわね、これは。エンディミオンでんか。どうやらおねぇさまは、しばらくつかいものにならなさそうなので、もうしわけございませんが、おねぇさまがおちつくまで、おにわにおつきあいいただいてもよろしゅうございますか? おはなしは、そのあいだに、わたくしどもですすめておきますので」
「キミはこないの?」
エンディミオン殿下が、こてんって首傾げた!
何という!
何というあざと可愛さ!
これが罪ショタ⁈ 罪ショタなのか⁈ 初めてショタに興味持ったわ!
や、違うな。
ショタなら何でもいい訳じゃないぞ、わたしの場合!
絶対、やってるのがエンディミオン殿下だからだ!
そうに違いない!
「えっと……その……おさそいは、うれしゅうございますが、わたくしまでせきをはずしますと、これからおとうさまたちがされるおはなしのないようを、しょうめいできなくなってしまいますので」
「そうなんだ。わかった。じゃあ、キミとはまたきかいがあればね」
「……わたくしのぶんまで、おねぇさまをよろしくおねがいいたしますわ」
「うん。それじゃあ、アリューシャじょう。いこうか?」
そう言ってエンディミオン殿下が、わたしに向かって、にこやかに手を差し出した。
当然のように、わたしは固まる。
え? こ、これ、かの有名なエスコートってヤツだよね?
「キャーッ⁈ まって! まって! しげきが強すぎる! むりぃぃぃぃぃ! あ! よ、よごれ! わたし、きたなくない⁈ なに? どうすればいいの? みずまほうで、ジャバジャバすればいいの? じょうかまほうで、ドロリンパってすればいいの? それとも……あ! せいしき!」
メッチャパニクりまくって、ようやく出てきた適切な魔法名に、わたしはここが何処かなんて綺麗サッパリ頭の中からスッ飛んでいて。
「〈聖なる泉の清らかなる調べにて 穢れに侵されし全てのものを拭いさらん 清拭純化!〉」
「‼︎」
わたしが唱えた呪文にフラン以外の全員が、息を呑んだのが分かったけれど、それどころではないわたしは、自分の手から汚れや細菌などが綺麗になくなり気分的にも見た目的にもキラリーン⭐︎って感じになったことに、とても満足した。
「おまたせしました、エンディミオンでんか! まいりましょう!」
テンアゲしたまま全開の笑顔で言って、エンディミオン殿下が差し出してくれていた手に自分の手を乗せると、にこっ、と微笑んでくれた殿下が、わたしの手をギュッと握った。
はえ?
エスコートってこういうんだったっけ?
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
忘れられた妻
毛蟹葵葉
恋愛
結婚初夜、チネロは夫になったセインに抱かれることはなかった。
セインは彼女に積もり積もった怒りをぶつけた。
「浅ましいお前の母のわがままで、私は愛する者を伴侶にできなかった。それを止めなかったお前は罪人だ。顔を見るだけで吐き気がする」
セインは婚約者だった時とは別人のような冷たい目で、チネロを睨みつけて吐き捨てた。
「3年間、白い結婚が認められたらお前を自由にしてやる。私の妻になったのだから飢えない程度には生活の面倒は見てやるが、それ以上は求めるな」
セインはそれだけ言い残してチネロの前からいなくなった。
そして、チネロは、誰もいない別邸へと連れて行かれた。
三人称の練習で書いています。違和感があるかもしれません
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
みんながみんな「あの子の方がお似合いだ」というので、婚約の白紙化を提案してみようと思います
下菊みこと
恋愛
ちょっとどころかだいぶ天然の入ったお嬢さんが、なんとか頑張って婚約の白紙化を狙った結果のお話。
御都合主義のハッピーエンドです。
元鞘に戻ります。
ざまぁはうるさい外野に添えるだけ。
小説家になろう様でも投稿しています。
ご愛妾様は今日も無口。
ましろ
恋愛
「セレスティーヌ、お願いだ。一言でいい。私に声を聞かせてくれ」
今日もアロイス陛下が懇願している。
「……ご愛妾様、陛下がお呼びです」
「ご愛妾様?」
「……セレスティーヌ様」
名前で呼ぶとようやく俺の方を見た。
彼女が反応するのは俺だけ。陛下の護衛である俺だけなのだ。
軽く手で招かれ、耳元で囁かれる。
後ろからは陛下の殺気がだだ漏れしている。
死にたくないから止めてくれ!
「……セレスティーヌは何と?」
「あのですね、何の為に?と申されております。これ以上何を搾取するのですか、と」
ビキッ!と音がしそうなほど陛下の表情が引き攣った。
違うんだ。本当に彼女がそう言っているんです!
国王陛下と愛妾と、その二人に巻きこまれた護衛のお話。
設定緩めのご都合主義です。
【完結】悪役令嬢エヴァンジェリンは静かに死にたい
小達出みかん
恋愛
私は、悪役令嬢。ヒロインの代わりに死ぬ役どころ。
エヴァンジェリンはそうわきまえて、冷たい婚約者のどんな扱いにも耐え、死ぬ日のためにもくもくとやるべき事をこなしていた。
しかし、ヒロインを虐めたと濡れ衣を着せられ、「やっていません」と初めて婚約者に歯向かったその日から、物語の歯車が狂いだす。
――ヒロインの身代わりに死ぬ予定の悪役令嬢だったのに、愛されキャラにジョブチェンしちゃったみたい(無自覚)でなかなか死ねない! 幸薄令嬢のお話です。
安心してください、ハピエンです――
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる