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第3章 それぞれのスタートライン
国王謁見 -1-
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昏森塚の地下迷宮での目的を想定以上の成果を以って完遂し、ランドリウス公爵家へと戻ったわたくしとアリューシャちゃんは、御父様と御母様にメッチャ叱られた。
一応、家令のグレイディスは、わたくしの言葉通りに説明と説得をしてくれてはいたのだけれど、そういう問題じゃない、とか自分の年齢を考えろ、とか公爵家の令嬢なんだぞ、お前達は! みたいなことを懇々と並べ立てられた。
最初は、私関係ありません、みたいな顔をしていたアリューシャちゃんも。
「アリューシャ。貴女は、聖女となる前にまず、公爵家の長女になるのよ?」
と、鬼女みたいな顔をした御母様に詰め寄られ。
「あ、はい。すいません! ごめんなさい! ちゃんとききます!」
なんて迫力負けして謝罪していた。
そんなこんなでガミガミお説教されること3時間。
御父様はとうに飽きて、お茶をしながら急ぎの仕事を片付け始め、夕飯の支度をする為にメイドと侍従数人が席を外した頃になって、やっと御母様は満足したのか。
「次からは、ちゃんと説明してから動きなさいね!」
と言って、話を締め括った。
わたくしとアリューシャちゃんは心の中で「Yes, ma'am!」と唱えながらソファを立ち、2人揃って敬礼後、御母様に向かって頭を下げた。
「いご、きをつけます!」
綺麗に揃ったわたくし達の言葉と動きに御母様が溜息をついて、執務机を離脱した御父様が、再び御母様の隣へと戻って来た。
「それで? 修行というのは、結局、何だったんだ? アリューシャ、フランソワーヌ」
「はい、おとうさま。わたくしたちは、くらもりづかのちかめいきゅう、そのさいかそうにあるボスべやにむかい、そのおくに、そうちょうの、みじかいじかんにだけ、はいることのできる、かくしべやにいってまいりましたの」
「何だと⁈」
思わず声を上げてしまったのだろう、御父様の驚きは理解出来る。
あそこは、ランドリウス領やダータルヘッジ領の領民、そして冒険者達にとっては、結構、昔からあるただの初級ダンジョンで、隠し部屋の存在なんて、これまで噂話しや与太話しにすら出てこなかったのだろうから。
「あー、旦那様。フランソワーヌお嬢様の仰っていることは、事実です。隠し部屋の手前までは、俺とアルバロス、リゼラの3人が一緒でしたから」
護衛兼冒険者として迷宮内に同行してくれた方の1人、シュリットが右手を上げながらお父様にそう説明すると訝しげな表情を扇の端で隠しながら御母様が口を開く。
「貴方達は、隠し部屋には入っていないということかしら?」
「そうです。そこは、めがみのま。めがみサーシャエールさまにゆるされたものしか、はいることができないので、せいじょであるわたしと、ういみこであるフランしか、はいることができなかったのです」
御母様の疑問に答えたのは、シュリットではなく、アリューシャちゃんでした。
「ういみこ? 聞かぬ称号だな」
「はい。フランのことをいたくおきにめしたサーシャエールさまが、フランのためだけに、あらたにおつくりになられたしょうごうですので」
「………」
「………」
アリューシャちゃんの、残念ながら真実な説明に御父様と御母様は、目を瞠って言葉をなくしたようだった。
そりゃそうだろう。
娘が高熱でブッ倒れ、復活して来てからコッチ、我が家は蜂魔物の巣を誤って叩き落としたような騒動の渦に放り込まれていて、ストーリー展開をある程度、知っているわたくし達ですら、ややついていけてない部分が発生してきているのだから。
そんな無言の嵐が渦巻く中、執務室の扉をノックし、入室を許可された侍従が、更なる嵐の種を投下した。
「失礼致します。旦那様。王都の国王陛下と聖サーシャエール女神教会のサーシャリスト枢機卿猊下より、書状が参りました。使者の方が、出来るだけ早急にお返事を賜りたいとのことで、応接室でお待ちにございます」
一応、家令のグレイディスは、わたくしの言葉通りに説明と説得をしてくれてはいたのだけれど、そういう問題じゃない、とか自分の年齢を考えろ、とか公爵家の令嬢なんだぞ、お前達は! みたいなことを懇々と並べ立てられた。
最初は、私関係ありません、みたいな顔をしていたアリューシャちゃんも。
「アリューシャ。貴女は、聖女となる前にまず、公爵家の長女になるのよ?」
と、鬼女みたいな顔をした御母様に詰め寄られ。
「あ、はい。すいません! ごめんなさい! ちゃんとききます!」
なんて迫力負けして謝罪していた。
そんなこんなでガミガミお説教されること3時間。
御父様はとうに飽きて、お茶をしながら急ぎの仕事を片付け始め、夕飯の支度をする為にメイドと侍従数人が席を外した頃になって、やっと御母様は満足したのか。
「次からは、ちゃんと説明してから動きなさいね!」
と言って、話を締め括った。
わたくしとアリューシャちゃんは心の中で「Yes, ma'am!」と唱えながらソファを立ち、2人揃って敬礼後、御母様に向かって頭を下げた。
「いご、きをつけます!」
綺麗に揃ったわたくし達の言葉と動きに御母様が溜息をついて、執務机を離脱した御父様が、再び御母様の隣へと戻って来た。
「それで? 修行というのは、結局、何だったんだ? アリューシャ、フランソワーヌ」
「はい、おとうさま。わたくしたちは、くらもりづかのちかめいきゅう、そのさいかそうにあるボスべやにむかい、そのおくに、そうちょうの、みじかいじかんにだけ、はいることのできる、かくしべやにいってまいりましたの」
「何だと⁈」
思わず声を上げてしまったのだろう、御父様の驚きは理解出来る。
あそこは、ランドリウス領やダータルヘッジ領の領民、そして冒険者達にとっては、結構、昔からあるただの初級ダンジョンで、隠し部屋の存在なんて、これまで噂話しや与太話しにすら出てこなかったのだろうから。
「あー、旦那様。フランソワーヌお嬢様の仰っていることは、事実です。隠し部屋の手前までは、俺とアルバロス、リゼラの3人が一緒でしたから」
護衛兼冒険者として迷宮内に同行してくれた方の1人、シュリットが右手を上げながらお父様にそう説明すると訝しげな表情を扇の端で隠しながら御母様が口を開く。
「貴方達は、隠し部屋には入っていないということかしら?」
「そうです。そこは、めがみのま。めがみサーシャエールさまにゆるされたものしか、はいることができないので、せいじょであるわたしと、ういみこであるフランしか、はいることができなかったのです」
御母様の疑問に答えたのは、シュリットではなく、アリューシャちゃんでした。
「ういみこ? 聞かぬ称号だな」
「はい。フランのことをいたくおきにめしたサーシャエールさまが、フランのためだけに、あらたにおつくりになられたしょうごうですので」
「………」
「………」
アリューシャちゃんの、残念ながら真実な説明に御父様と御母様は、目を瞠って言葉をなくしたようだった。
そりゃそうだろう。
娘が高熱でブッ倒れ、復活して来てからコッチ、我が家は蜂魔物の巣を誤って叩き落としたような騒動の渦に放り込まれていて、ストーリー展開をある程度、知っているわたくし達ですら、ややついていけてない部分が発生してきているのだから。
そんな無言の嵐が渦巻く中、執務室の扉をノックし、入室を許可された侍従が、更なる嵐の種を投下した。
「失礼致します。旦那様。王都の国王陛下と聖サーシャエール女神教会のサーシャリスト枢機卿猊下より、書状が参りました。使者の方が、出来るだけ早急にお返事を賜りたいとのことで、応接室でお待ちにございます」
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