お金がないっ!

有馬 迅

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第5章 歯止めをなくした暴走編

まさかの選択肢

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 とにかく、現状としてはハッキリしている条件を満たせるように動くしかない訳なんだけど、流石にドルフさんを1人で行かせる訳にはいかないので。

(いつも向こうの世界に森が出現する場所をナジェット村の近くに出来る?)

【今後は可能です】

 今後は?

 ああ……既に村の周り、何もなくなっちゃってる状態だから出来るようになったって感じなのかな?

 切ねぇ……。

「ここから村への移動は、森の出現地点を村の近くにすれば、ほぼ解決できるだろう。問題は、寧ろ必要素材の調達だ」
「俺、行ってもいいぜ! 元々、散歩する予定だったんだし、それがちょっと距離伸びるだけだろ?」
「うむ、名案だ。私達でファイアースライムブロッカシアの捜索と捕獲を致しましょう」

 元ワンコ王子と師団長がそう申し出てはくれたけれど、ここで俺は気になることが思い浮かんでしまった。

「……そなた達、魔法は使えるのか?」
「無理!」
「いえ、全く」

(え。待って、何か嫌な予感。ねぇ、応答ウインドウさん。この中で魔法使えるヤツいる?)

【NO】

 あっちゃあ、やっぱりー。

 そうだよね、使えるならもっと楽に逃げて来れてるよね!

(魔法、使えるようになりそうなのは?)

【アレイスターです】

 まさかのアレイスター! それも1択⁈

 無理だよ! 赤ん坊じゃん⁈

(取得のポーション飲ませても無理?)

【YES, 現状適性がほぼありません】

「……まさか、アレイスターのみとは……」
「え? 何が?」
「この中で魔法を使える適性を持っているのがだ」
「まぁ。この子の父親も魔法など使えませんでしたのに。何故かしら?」

 あれ? そうなの?

(アレイスターが使えるようになるのは何で?)

【万能花葉製のミルクを摂取している為、通常の栄養摂取に比べて体内の魔力受容体が成長に合わせ、容量を大きくできる状態にあるからです】

(皆は、もうその大きさが固定されちゃってて、俺はそんなもんなかったけど賢者の石入れたから適性も受容体っていうのも問題なく使えてるって、そんな感じなの?)

【YES】

(例えばだけど、ここで俺と一緒に万能花葉さんのご飯食べ続けててもダメ?)

【エシェンティーヌ、アルクレイン、トゥラガルド、ドルフは1つだけの魔法ならば行使可能な程度には上昇可能。リクアルド、ロザリンは3つの魔法までなら行使可能レベルまで上昇可能。アレイスターはこのまま14歳まで食べ続けた場合、救世種の10分の1まで行使・成長可能です】

 摂取する栄養って大事だなー。

 しかしまぁ、そんなに差があるもんなんだね。

 これは、この世界の食べ物の所為なのか、万能花葉さんが優秀だからなのか。

【後者です】

 デスヨネー。

(受容体自体はあるってなると賢者の石入れる方法は、皆には使えないってことなんだよね?)

【YES, 肉体が直ちに崩壊します】

 ダメそうだな。

 ここは素直に回復ポーションとかをしこたま持たせた方が無難な気がする。

(因みにポーションって攻撃とか捕獲とかに使えそうなのもある?)

【攻撃に使用出来るポーションは万能花葉で作成可能。捕獲のポーションはありませんが、魔導具ならば存在します】

 魔導具!

 魔法使えるヤツ少ない割にそう言うのは発展してんのか。

(いや……逆かな? 自分で使えるようにならなくても魔導具あればいいよねって、廃れてっちゃった感じなのかな?)

【YES, 魔法を自身で発動させる為の媒体は、1部の人族が独占状態で使っています】

 過去形じゃなくて現在進行形。

(ひょっとしてそれが今、ファイアースライムブロッカシアに協力してもらって結界保ってるっていう2国?)

【YES, 蝶人族と蝉人族が一斉蜂起に賛同した理由の一因でもあります】

 あー……独占とか、既得権益を死守しようとするのって、人間のさがっていうか、業っていうか、そんな面があるからねー。

 何かまた、この戦争の起きた理由に数えられそうな「そもそも人間が悪い」みたいなとこ知っちゃったよー。

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