お金がないっ!

有馬 迅

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序章 助けてなんてくれないと思ってた

神様的にも無しなんだ?

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 フッ、と意識が浮上した俺は、何だ、死に損ねたのか、なんて思いながらイマイチ焦点の合っていない状態の視界に1度ギュッと目を瞑り、ゆっくりと瞼を持ち上げた。

 周囲に感じる草木と土の匂い。

 視界一杯に広がる青空と緑の深い背高な木々。

 何処の公園だろう? ここ。

 そんな風に考えた瞬間、俺の目の前にフォンって音を立てて広がる青い半透明の四角。

【ちょ! わたくしの守護する国で餓死とかマジないんですけど⁈ 気づくの遅れてごめんねぇ> <; 転生先では、貴方が望んだように、飲み食いするのには絶対困らない人生送れるように頼んどいたからねっ! 今度こそ、幸せだったって思えるような人生を送ってね! [天照大神]】

 は? ナニコレ?

 天照大神って何だっけ? 女の神様? みたいのだっけ? わたくしの守護する国? えっ⁈ 神様ってホントに居たの⁈

 軽い疑問に塗れながらその四角を凝視していたら、下の方にあった空きスペースに、それまでにはなかった文字が現れた。

【固有スキル “万能花葉ばんのうかよう” を使用しますか?】【YES】【NO】

 ばんのうかよう? よく分からんが、実は居たらしい神様が、ごめんなさいしながら俺にくれた飲み食いするのに絶対困らない人生とやらが、このスキルってので実現するなら『YES』を選ばない理由はない。

「使用します……YES……YESを選択……」

 言葉ではどれも選択出来なかったので、俺は右手を伸ばして【YES】に人差し指で触れた。

 すると仰向けで寝転がって居たらしい俺の目の前に白い花が2輪現れた。

 左右に並んでいるそれの左側には【男】右側には【女】の表示が上に書かれていて、2つに跨る形で1番下に【どちらかを選んで食べてください】と書かれていた。

 死ぬ前、俺は男だった。

 でも女の子になりたいと思ったことは、幸か不幸か1度もなくて、それは今でも同じだったから左の花に手を伸ばす。

 千切った感触もなく、スッと手に取ることの出来た白い花。

「花って食べられたんだ。知ってたら公園に生えてた花とか適当に食ったのにな」

 花が食べられる物って認識なかったからなぁ、なんて考えながら白い花を口に入れたら、綿菓子みたいに噛むことすらなく溶け消えて、何だろ?

 ちょっとほろ苦い、チョコレートとコーヒーの中間みたいな味がした。

【種族を決めてください】【人間】【人間以外】

 俺が花を1輪食べ終わったら、ゲームのウインドウみたいな半透明の板に書かれている内容が、そんな風に変わって、黄色い花が2輪現れた。

 どうでもいいけど、人とそれ以外って、凄い大雑把な纏め方だと思うんだけど、これって人以外は動物とか、鳥とか、魚とか、そういうものになるって話しなんだろうか?

 それにしたって、この闇鍋ランダムガチャ顔負けの一纏め感は酷過ぎると思うんだけど?

 どうなの?

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