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最終章 ガルディアナ聖王国編
管理神達の主張
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「離せっ、世界副神! 俺はもう限界だ! 異星の魔王すら手助けしてるというのに自分達の管理している世界の者達を助けることすら出来んとか、何が神だ!」
後ろから羽交い締めにして行動を押さえ込んでいる筈の世界副神をズルズルと引き摺って管理界を出ようとしているのは、赤髪金眼の男神、名を勝利神。
その名の通り勝負事の、それも勝利を約束する神である。
「落ち着け、勝利神! お前が出張らなくとも勇者達もフィリアも負けなどしないから! それより私達が出て行ったら今度こそ『あそこ』から処分を食らうぞ! 頼むから冷静になってくれ!」
既に小一時間続いている小競り合いを呆れた風情で眺めているのは正義神と裁定神、そして転生神の3人。
少し離れた所では、我関せずといった素知らぬ振りで恋慕神と愛謳神を始めとした他の神々がテーブルを囲んで茶を嗜んでいて、更にその奥のギリギリ見えるか見えないかの所に境界神と時空神。
何やら2人でコソコソと話をしていた。
「だからー、どうせ『あそこ』でもやってんだからこっちでやっても問題ないって」
「しかしだな、こちらが話しを通さぬままに行うと却って邪魔になってしまう可能性も……」
「そこー! 境界神と時空神! 聞こえてるからなッ⁈ 余計なことすんなよッ⁈」
「ちっ、地獄耳ー」
あくまでコソコソやっていたつもりの境界神は、しっかり世界副神に見咎められて不貞腐れたように悪態をついた。
「ねぇえ、世界副神たぁん? どぉしてぇそんなにぃ、皆がお手伝いするのをぉ、ダメって言うのぉ?」
「だから! 今度こそ処分されるからと言ってるだろうが!」
「どぉしてぇ? あたし達ぃ、下界への干渉ってぇ、いつもしてるじゃなぁい? 世界主神様だってぇ、やってることなのにぃ、今だけダメなのはぁ、どぉしてぇ?」
「ゔ」
恋慕神に痛い所を突かれた世界副神は、思わず言い淀んでしまった。
そこをすかさず愛謳神が拾い上げる。
「馬っ鹿、そんなん決まってるじゃん? ウチらが出てくと管理神と侵略神の対立戦ってコトになっから勇者ちゃん達がハブられんしょ? 元はと言や、ウチらが勇者ちゃん達休暇ってんのいいことにフィリアんこと丸投げたのが始まりなのにさー? 今更ハブるとか、そんなん有り得ないわー。ウチら勇者ちゃん達にガチギレされても文句言えない系」
「……愛謳神は、よく分かってくれているようで助かるよ」
言ってる事は完全に正論で、彼等が窮地に陥ったとかでない限り、自分達はこれまで通り静観するのが神としての正道なのだ。
「我々が人と次元を分かつ前の時代ならいざ知らず、過ぎた干渉は世界と文明の停滞と我々への過ぎた依存しか生まない。見守ること、道を外しすぎたなら修正できるよう整え、導くこと。本来はそれが我々のしなくてはならないことなのだから」
それは、失敗すると分かっていながらそれでも経験を積ませる為に敢えてやらせる親や師の立ち位置に近い。
どんなにもどかしくとも、見ていてハラハラしようとも。
それが成長を促し、自立と共存のバランスを自ら取って、望んだ未来へと進んでいける力を得ることの出来る唯一の道なのだから。
だからこそ神仏界仏神と違い、管理界の神達は信仰心の増減による昇降格や消滅が存在しないとも言える。
「数多の人々が、心からそれを望んでいるのでなければ……我々は、直接介入が出来ない」
管理界神の悲哀とも言える無情なルール。
もっと初期の状態からコントロール出来ていれば、ジャハルナラーの侵入を防ぐことも増長を挫くことも出来たろう。
けれど、こうなった今となっては全てが遅すぎるのだ。
「フィリアと勇者達に任せよう。愛謳神の言う通り、ずっと目を向けて来なかった我々の怠慢が引き起こした事態を……引き受けてくれているのだから」
「遅きに失したのは認める! だが、それならば尚のこと静観など許されまい!」
世界副神の羽交い締めから脱出した勝利神が、淡い光を纏い出す。
「勝利神!」
「これを看過せねばならぬと言うなら、管理神の座などいらん!」
そう言い切って、彼は管理界を降って行った。
「っ!」
彼の消えた先を強い瞳で見詰める世界副神の両脇を正義神と裁定神が通過する。
「なるほど、勝利神の選択も頷ける。正義を司る神として私もこれ以上は静観出来ぬ」
「人を裁くのとは訳が違う。これは神が神を裁くこと。裁定を司る神として私が居らねば始まらぬ」
「なら俺も境界を司る神として言わしてもらうけどさ? 正直? 境界侵犯英雄な聖勇者は諦めるとしても俺に何の断りもなくこの世界に次元干渉して、パカスカ穴開けられんのって気に食わないんだよね」
「同じく時空を司る神として馬鹿にされているとしか思えん。故に個人的に報復したい。いやさ、いっそ祟りたい」
「お、お前達……」
それぞれの最もらしく聞こえて、実は勝手極まりない主張に世界副神は、思わず頭を抱え。
その隙に4柱の神々も勝利神を追うかのように管理界を降っていく。
「世界副神たぁん、行っちゃったよぉ?」
「脳筋ども、単純過ぎてマジウケるぅ」
2柱の女神を始めとした静観組が、やれやれと嘆息するのを尻目に世界副神は、管理界の果てにある岩屋へと動き出す。
言うまでもなく、世界主神であるエルメシアが管理界に於いてはダントツの人界降臨度を誇るのだ。
それはもう専用エフェクトなんか出来てしまうほどに。
「まさか……まさか、お前まで居なくなってないだろうな? 世界主神⁈」
どうしてもその危惧が捨てきれなくて、彼は神としての優雅をかなぐり捨ててガスガス音がしそうな勢いで、そこへと足を進めていた。
後ろから羽交い締めにして行動を押さえ込んでいる筈の世界副神をズルズルと引き摺って管理界を出ようとしているのは、赤髪金眼の男神、名を勝利神。
その名の通り勝負事の、それも勝利を約束する神である。
「落ち着け、勝利神! お前が出張らなくとも勇者達もフィリアも負けなどしないから! それより私達が出て行ったら今度こそ『あそこ』から処分を食らうぞ! 頼むから冷静になってくれ!」
既に小一時間続いている小競り合いを呆れた風情で眺めているのは正義神と裁定神、そして転生神の3人。
少し離れた所では、我関せずといった素知らぬ振りで恋慕神と愛謳神を始めとした他の神々がテーブルを囲んで茶を嗜んでいて、更にその奥のギリギリ見えるか見えないかの所に境界神と時空神。
何やら2人でコソコソと話をしていた。
「だからー、どうせ『あそこ』でもやってんだからこっちでやっても問題ないって」
「しかしだな、こちらが話しを通さぬままに行うと却って邪魔になってしまう可能性も……」
「そこー! 境界神と時空神! 聞こえてるからなッ⁈ 余計なことすんなよッ⁈」
「ちっ、地獄耳ー」
あくまでコソコソやっていたつもりの境界神は、しっかり世界副神に見咎められて不貞腐れたように悪態をついた。
「ねぇえ、世界副神たぁん? どぉしてぇそんなにぃ、皆がお手伝いするのをぉ、ダメって言うのぉ?」
「だから! 今度こそ処分されるからと言ってるだろうが!」
「どぉしてぇ? あたし達ぃ、下界への干渉ってぇ、いつもしてるじゃなぁい? 世界主神様だってぇ、やってることなのにぃ、今だけダメなのはぁ、どぉしてぇ?」
「ゔ」
恋慕神に痛い所を突かれた世界副神は、思わず言い淀んでしまった。
そこをすかさず愛謳神が拾い上げる。
「馬っ鹿、そんなん決まってるじゃん? ウチらが出てくと管理神と侵略神の対立戦ってコトになっから勇者ちゃん達がハブられんしょ? 元はと言や、ウチらが勇者ちゃん達休暇ってんのいいことにフィリアんこと丸投げたのが始まりなのにさー? 今更ハブるとか、そんなん有り得ないわー。ウチら勇者ちゃん達にガチギレされても文句言えない系」
「……愛謳神は、よく分かってくれているようで助かるよ」
言ってる事は完全に正論で、彼等が窮地に陥ったとかでない限り、自分達はこれまで通り静観するのが神としての正道なのだ。
「我々が人と次元を分かつ前の時代ならいざ知らず、過ぎた干渉は世界と文明の停滞と我々への過ぎた依存しか生まない。見守ること、道を外しすぎたなら修正できるよう整え、導くこと。本来はそれが我々のしなくてはならないことなのだから」
それは、失敗すると分かっていながらそれでも経験を積ませる為に敢えてやらせる親や師の立ち位置に近い。
どんなにもどかしくとも、見ていてハラハラしようとも。
それが成長を促し、自立と共存のバランスを自ら取って、望んだ未来へと進んでいける力を得ることの出来る唯一の道なのだから。
だからこそ神仏界仏神と違い、管理界の神達は信仰心の増減による昇降格や消滅が存在しないとも言える。
「数多の人々が、心からそれを望んでいるのでなければ……我々は、直接介入が出来ない」
管理界神の悲哀とも言える無情なルール。
もっと初期の状態からコントロール出来ていれば、ジャハルナラーの侵入を防ぐことも増長を挫くことも出来たろう。
けれど、こうなった今となっては全てが遅すぎるのだ。
「フィリアと勇者達に任せよう。愛謳神の言う通り、ずっと目を向けて来なかった我々の怠慢が引き起こした事態を……引き受けてくれているのだから」
「遅きに失したのは認める! だが、それならば尚のこと静観など許されまい!」
世界副神の羽交い締めから脱出した勝利神が、淡い光を纏い出す。
「勝利神!」
「これを看過せねばならぬと言うなら、管理神の座などいらん!」
そう言い切って、彼は管理界を降って行った。
「っ!」
彼の消えた先を強い瞳で見詰める世界副神の両脇を正義神と裁定神が通過する。
「なるほど、勝利神の選択も頷ける。正義を司る神として私もこれ以上は静観出来ぬ」
「人を裁くのとは訳が違う。これは神が神を裁くこと。裁定を司る神として私が居らねば始まらぬ」
「なら俺も境界を司る神として言わしてもらうけどさ? 正直? 境界侵犯英雄な聖勇者は諦めるとしても俺に何の断りもなくこの世界に次元干渉して、パカスカ穴開けられんのって気に食わないんだよね」
「同じく時空を司る神として馬鹿にされているとしか思えん。故に個人的に報復したい。いやさ、いっそ祟りたい」
「お、お前達……」
それぞれの最もらしく聞こえて、実は勝手極まりない主張に世界副神は、思わず頭を抱え。
その隙に4柱の神々も勝利神を追うかのように管理界を降っていく。
「世界副神たぁん、行っちゃったよぉ?」
「脳筋ども、単純過ぎてマジウケるぅ」
2柱の女神を始めとした静観組が、やれやれと嘆息するのを尻目に世界副神は、管理界の果てにある岩屋へと動き出す。
言うまでもなく、世界主神であるエルメシアが管理界に於いてはダントツの人界降臨度を誇るのだ。
それはもう専用エフェクトなんか出来てしまうほどに。
「まさか……まさか、お前まで居なくなってないだろうな? 世界主神⁈」
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