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2-1 そっか
しおりを挟むーなぁなぁ、あいつら夏休みの間に付き合ったらしいぜ
久しぶりの登校で、想い人である彼に会えると浮き足立っていた私に聞こえたのは、そんな彼と他クラスの女子との話だった
夏休み前、大きな花火大会に誘うかギリギリまで迷って、結局誘えなかったのだ
後悔しても知らないよ~なんて、背中を押してくれていた友達の言う通りになってしまった
サッカー部の彼は、クラスの誰にでも優しくて、人気者で、今までならあまり話すタイプではなかったんだけど、好きな作家さんが同じで仲良くなったのだ
まさか付き合えるなんて思ってなかった
でも、でもほんの少しだけ、付き合えたらな、なんて淡い期待を抱いていた
お相手の女の子は大人しい私とは真逆のタイプで、可愛くて笑顔がはつらつとした女の子
あぁ、付き合える可能性なんて1ミリもなかったんだなって、思い知らされる
*
今日は登校だけだから、昼にはもう帰宅してもいいことになっている
私もそそくさと帰り支度をしていると、嫌でも聞こえてくる会話
なぁ~!きっかけは!?どっちから告ったんだよ!
あの子のどんなところが好きなわけ!?めっちゃ可愛いもんなぁ
お前も隅におけないなぁ
なんて、男子たちの盛り上がる声がする
聞きたくない、早く帰ろ
ー彼女がさ、でかい花火大会誘ってくれて、そこで告白してくれたんだよ、それまであんまり意識してなかったんだけど、その時の彼女すごい可愛くて、告白も嬉しくてオッケーしちゃったんだよね
……私が、誘おうと思ってたやつだ
そこまで聞いて、走り出した
*
早く帰りたかったけど、下校中の人に見られたくなくて、咄嗟に人のこない図書室に忍び込んだ
だって、気を抜いたら泣いてしまうから
あの子は、勇気を出したんだ
私が、もだもだして、諦めてる時にはもう
タイプがどうとか、好きな人がいたんだとか、そういう話じゃない
一歩踏み出せたかどうか、それだけの違い
あの時、誘って断られたとして、今より傷はマシだったんじゃないかって思う
だってね、なんにもしてない、なんにもしてないの
「そっか、私のこの気持ち、伝える権利もなくなっちゃったんだ」
悲しくて情けなくて声を殺して泣いた
人生で初めての恋はなにもできずにおわってしまった
そんな夏の終わりのお話し
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