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1-1 暑いね
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茹だるような暑さは、夏のせいか君のせいか
「毎日毎日補習なんて耐えられない~!海行ったりバイトしたり部活したりするはずだったのに!!」
『うるせぇ』
華の高校生の夏休みといえば、部活に遊びに全力で毎日きらきら楽しい生活だと思ってた
蓋を開けてみれば、期末テストの範囲を間違えて勉強し、赤点を取りまくったおかげで補習三昧
し!か!も!補習対象者私を入れて2人ってどゆこと…?
いちゃもんをつけてきた補習相手をチラッと横目で見る
髪は金髪、ピアスはジャラジャラ、制服も着崩してる彼は、入学当初からあまり学校にこない問題児で
だからテストの日も来なくて、こうして赤点補習組にいるのだ
「だってーーー、私範囲間違えただけで普通にやれば赤点なんて取らなかったんだよ?こんなの横暴だよー」
『あっそ』
「てかなんで学校こないのに補習はくるわけ?真面目なの?不真面目なの?」
『これも来なかったら留年っていわれたから』
「あーね、そりゃそうだわ」
最初はビビってたけど、今では普通に会話くらいできるようになった、見た目が厳ついだけで案外普通の男の子なんだなって
「よし!今日の分終わり!!部活行ってくる!!」
『いってら』
こんな短い会話が意外に心地良かったりもする
*
今日もお疲れさん、明日だが急遽体育館点検になったから部活は休みにする、しっかり休んで課題もやるんだぞー
顧問の一声に、部員からはやったぁという声が漏れる
部活は全力で取り組んでいるが、急なおやすみは嬉しいもの、明日遊ばないー?とかそんな声が聞こえてくる
なんで明日も補習なの~!?!?
心で叫んだ、いや出てたかも
友達に励まされながら、泣く泣く家に帰ったのだった
*
「はぁ…」
『なんだよ辛気臭せーな』
「今日部活休みになって、これのためだけにきたの、悔しくて…みんなは遊びに行くのに…」
『…ふーん、まぁでも今日が最後だろ、がんばれがんばれ』
あんたもでしょ!と思いながら、あぁなんだ今日が最後か、とふとおもった
「あんたと2人でくだらない話しながら補習受けるのも悪くなかったわよ」
『なんだよそれ』
「別にー」
仲間と共に旅を終えたような寂しさが心をくすぐるが、隣の男はなんにも感じてないようだ
ーーーー今日で最後
もう風に靡く髪を見ることも、意外に綺麗な字を見ることも、なんだかんだ話しかけたら答えてくれることも、もう、ない(そもそも来ない)
仲間に対して持つにはいささか大きすぎる感情が、私の中にある気がした、でも、私はこれの名前をまだ知らない
「終わったねー」
『やっとだな』
「留年回避おめでとう笑」
『ほんとうるさいやつ』
「なんだかんだ相手してくれるくせに~!さて、帰るかぁ」
席を立った、そのとき
なぁ、うみ、いかね
はじめて彼から話しかけられた
*
「初!!海!!!」
今年初の海にテンションが上がった私ははしゃぎまくっていた
「ねぇーちょっとだけ!ちょっとだけ海はいろ!!」
『俺はいい』
「なんでよー!あんたが誘ったんでしょ!!」
『…お前が』
?
『お前が見たいって言ってたから、俺は付き添い』
覚えてたのか、あの一方的な私の話を
なんだろうじわじわと暑さが増してくる気がする
「覚えてたんだ!?じゃあ入るのはいいからさ!浜辺歩こう!」
ちょっとだけ顔が見れなくて、横並びなら顔見なくても済むかなって歩くことにした
「綺麗だね~しかも人少ないし、海水浴場じゃないの?」
『ここ、穴場なんだよ、知る人ぞ知るってエリアだからあんま人来ない』
「わざわざ調べたの?」
『人多いの嫌いだから』
「だからって人がいないわけじゃないのに、そんなに私と来たかった~??」
なんて、茶化したつもりだった
『うん』
え?
隣じゃなくて後ろから声が聞こえたから、驚いて振り向いた
『海、似合うと思ったんだ、お前いつも笑ってキラキラしてたから、海で笑うお前が見たかった』
似合ってる
ねぇ、なにその笑顔、初めて見たんだけど
さっきと比べ物にならないくらいの勢いで暑さが増してくる
「……その」
『なに』
「……どういう、つもり…で…」
『なにが』
「…だからぁ!!!こんなの、い、いしきしちゃうじゃん!!」
『してよ』
「へ?」
『意識、して、俺のこと、好きって自覚して』
ー私の中の名前のない感情さん、こんにちは、初めまして、好きっていうお名前なんですね
『真っ赤』
ふっと笑って彼が告げる頃には、2人の距離は近づいてて
『返事は?』
「…学校、きてくれる?」
『ん?』
「教室で、見たい、またくだらない話したい、多分私はそういうあんたを、好きになったから」
顔を見てちゃんと告げたら、今度はあんたも真っ赤になって、思わず笑ってしまった
多分今日の暑さは、夏のせいじゃなくてお互いのせい
あんたに出会えた補習にちょっとだけ感謝した
*
ガタンゴトンー
「ねぇ、私のこといつから、というかなんで好きになったの?」
『…秘密』
「え!?私言ったのにフェアじゃない!」
彼の口から聞けるのは、また別のお話し
「毎日毎日補習なんて耐えられない~!海行ったりバイトしたり部活したりするはずだったのに!!」
『うるせぇ』
華の高校生の夏休みといえば、部活に遊びに全力で毎日きらきら楽しい生活だと思ってた
蓋を開けてみれば、期末テストの範囲を間違えて勉強し、赤点を取りまくったおかげで補習三昧
し!か!も!補習対象者私を入れて2人ってどゆこと…?
いちゃもんをつけてきた補習相手をチラッと横目で見る
髪は金髪、ピアスはジャラジャラ、制服も着崩してる彼は、入学当初からあまり学校にこない問題児で
だからテストの日も来なくて、こうして赤点補習組にいるのだ
「だってーーー、私範囲間違えただけで普通にやれば赤点なんて取らなかったんだよ?こんなの横暴だよー」
『あっそ』
「てかなんで学校こないのに補習はくるわけ?真面目なの?不真面目なの?」
『これも来なかったら留年っていわれたから』
「あーね、そりゃそうだわ」
最初はビビってたけど、今では普通に会話くらいできるようになった、見た目が厳ついだけで案外普通の男の子なんだなって
「よし!今日の分終わり!!部活行ってくる!!」
『いってら』
こんな短い会話が意外に心地良かったりもする
*
今日もお疲れさん、明日だが急遽体育館点検になったから部活は休みにする、しっかり休んで課題もやるんだぞー
顧問の一声に、部員からはやったぁという声が漏れる
部活は全力で取り組んでいるが、急なおやすみは嬉しいもの、明日遊ばないー?とかそんな声が聞こえてくる
なんで明日も補習なの~!?!?
心で叫んだ、いや出てたかも
友達に励まされながら、泣く泣く家に帰ったのだった
*
「はぁ…」
『なんだよ辛気臭せーな』
「今日部活休みになって、これのためだけにきたの、悔しくて…みんなは遊びに行くのに…」
『…ふーん、まぁでも今日が最後だろ、がんばれがんばれ』
あんたもでしょ!と思いながら、あぁなんだ今日が最後か、とふとおもった
「あんたと2人でくだらない話しながら補習受けるのも悪くなかったわよ」
『なんだよそれ』
「別にー」
仲間と共に旅を終えたような寂しさが心をくすぐるが、隣の男はなんにも感じてないようだ
ーーーー今日で最後
もう風に靡く髪を見ることも、意外に綺麗な字を見ることも、なんだかんだ話しかけたら答えてくれることも、もう、ない(そもそも来ない)
仲間に対して持つにはいささか大きすぎる感情が、私の中にある気がした、でも、私はこれの名前をまだ知らない
「終わったねー」
『やっとだな』
「留年回避おめでとう笑」
『ほんとうるさいやつ』
「なんだかんだ相手してくれるくせに~!さて、帰るかぁ」
席を立った、そのとき
なぁ、うみ、いかね
はじめて彼から話しかけられた
*
「初!!海!!!」
今年初の海にテンションが上がった私ははしゃぎまくっていた
「ねぇーちょっとだけ!ちょっとだけ海はいろ!!」
『俺はいい』
「なんでよー!あんたが誘ったんでしょ!!」
『…お前が』
?
『お前が見たいって言ってたから、俺は付き添い』
覚えてたのか、あの一方的な私の話を
なんだろうじわじわと暑さが増してくる気がする
「覚えてたんだ!?じゃあ入るのはいいからさ!浜辺歩こう!」
ちょっとだけ顔が見れなくて、横並びなら顔見なくても済むかなって歩くことにした
「綺麗だね~しかも人少ないし、海水浴場じゃないの?」
『ここ、穴場なんだよ、知る人ぞ知るってエリアだからあんま人来ない』
「わざわざ調べたの?」
『人多いの嫌いだから』
「だからって人がいないわけじゃないのに、そんなに私と来たかった~??」
なんて、茶化したつもりだった
『うん』
え?
隣じゃなくて後ろから声が聞こえたから、驚いて振り向いた
『海、似合うと思ったんだ、お前いつも笑ってキラキラしてたから、海で笑うお前が見たかった』
似合ってる
ねぇ、なにその笑顔、初めて見たんだけど
さっきと比べ物にならないくらいの勢いで暑さが増してくる
「……その」
『なに』
「……どういう、つもり…で…」
『なにが』
「…だからぁ!!!こんなの、い、いしきしちゃうじゃん!!」
『してよ』
「へ?」
『意識、して、俺のこと、好きって自覚して』
ー私の中の名前のない感情さん、こんにちは、初めまして、好きっていうお名前なんですね
『真っ赤』
ふっと笑って彼が告げる頃には、2人の距離は近づいてて
『返事は?』
「…学校、きてくれる?」
『ん?』
「教室で、見たい、またくだらない話したい、多分私はそういうあんたを、好きになったから」
顔を見てちゃんと告げたら、今度はあんたも真っ赤になって、思わず笑ってしまった
多分今日の暑さは、夏のせいじゃなくてお互いのせい
あんたに出会えた補習にちょっとだけ感謝した
*
ガタンゴトンー
「ねぇ、私のこといつから、というかなんで好きになったの?」
『…秘密』
「え!?私言ったのにフェアじゃない!」
彼の口から聞けるのは、また別のお話し
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