正義を履き違えた悪魔

Mへの挑戦状 嬢の微笑み 絶体絶命！3

一方、同じ頃。探偵事務所では、深夜でも蘭が心配で眠れないのか、奏はテレビをつけながら「蘭くん帰ってこぉへんなぁ…余計な事首突っ込んでへんとええんやけど…」とミルクティーを飲みながら呟いていた。蘭からのメールを開けば、『少し借りますわね』と謎のお嬢様口調の題名と、明らかに女の部屋のベッドで上裸になり眠る蘭の写真が送付されていた。肩の怪我は上手く映らないよう、比率の加工も丁寧だ。「蘭くん……浮気！？」スマホを震えた手で握りながら、奏は首をブンブンブンブンと横に振った。ホーホー、ホーホホー。鳥の鳴き声で、蘭は目を覚ます。「はぁ……」と目を擦りながら起きる。「命日の朝はいかがです、？Mさん」微笑みかける少女。蘭は用意されていた適当な服を着ながら、「…俺まだ肩痛いんだけど。」と呟く。「あら、投げ出してもいいのですよ」満足気に笑う少女に、蘭は「俺がそんなことをするとでも」と生意気な面を向けた。「まあ…ムキになって。お可愛い事。」少女に煽られた蘭は、撃たれてから初めて立ち上がり、「……秒で殺す……」と負けじと呟く。「場所を変えましょうか。屋敷が汚れるのは好みませんのよ」少女が庭へ出ると、ヤクザ数人が『お嬢！お嬢！』と周囲を囲み、少女に声援を送る。それを「お黙りなさいな、やかましいですわ」とピシャリと黙らせる。「…俺、今から喧嘩でもするのかこれ…」不良校のノリと変わらない流れに、蘭は後ずさる。「いいえ、私がここで貴方を殺すのです。これは、殺し合い…俗に言うタイマンですわ」少女がうふ、と微笑むと、外野が銃のセーフティを外す音がする。「ちなみに私がやられた場合貴方は蜂の巣になるのでお覚悟を」「お前…何者だ」「私は宇津田姫家組長、宇津田姫殺。人を殺めると書いて殺ですわ。そして、人は私をこう呼びます。〝殺意姫〟と」そう言った瞬間、宇津田姫は勢いよく蘭に向かい走っていく。「ｯ！？？？？」蘭は両腕を顔の前でクロスさせながら、蹴りを交わすも、ｽﾞｽﾞｽﾞ､と後に引きずられていく。「M様、貴方とようやくやり合えると言うのに、その程度の戦闘力じゃ私物足りませんわ！」襲われると同時に、蘭はｽﾁｬｯと銃を構えるが、宇津田姫の手刀で銃は簡単に払われてしまう。「M様、ガラ空きですわ」