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赤色 それはありきたりで残酷で真っ赤なトラウマ
第一話 悪いことが色濃く出てきた夢は、わたしの珍しい瞳の色が、たくさん出てきたんだ
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ドクン
心臓の音が響いた。
黄色の、さらさらした砂の上に、わたしは立ってた。
塩の香りに。すこし、鉄の香りが混ざってたけど、信じられなかった。
砂はどろどろとした赤色の不思議な液体に染まっていく。
不思議だ。
足が固まって動かない。
不思議だ。
だれかが救急車を呼んでる。
不思議だ。
鉄の香りがする。
不思議だ。
キッチンで野菜を切る時に使う、危ないものが落ちてる。
不思議だ。
わたしの瞳の色が、おとうさんの口から、おかあさんの頭から、妹の体中から出ている。
ドクンドクン
心臓の鼓動が早まっていく。
こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
最後に鼓動が強く聞こえたとき、わたしは――――
大きく目を上げて、自嘲の笑みを浮かべると、呟いた。
(あぁ………………なんだ)
「悪い夢、か」
◇◇◇
勢いよく扉をあけると、わたしの黒色のポニーテールが反動で左右に揺れているのが目に入る。
そして続けて、呆れたような表情の生徒たちの顔が見えてくる。それに気づかないふりをして、足を進めた。
わたしの名前は夜桜杏。
わたしは教師だ。それも、特別な教科である、『魔法』の。
わたしは天才だった。
自分で言うのもあれだけど、魔法や勉強で困ったことは一度もない。のにも関わらず、学年一位を取り続けてた。
もちろんのことだけど、親には気味悪がれて、虐待されていたような、なかったような……。
あのころの記憶はあまりなく、妹――亜美が他殺されたのだけを覚えている。
亜美は優しかった。わたしに、さくらんぼのヘアピンをくれたのだから。
だから、だから、大嫌いだった。大嫌いだった?そんなことはない。大好きだった。
たまにわからなくなった。亜美のことが好きなのか、嫌いなのか。
そんな日には、悪夢を見るんだ。
記憶にはのこっていないけれど、とても嫌な夢なんだ。
でも、今日は記憶に残っていた。
なぜだか、残ってたんだ。
「先生ー!!今日の先生なんか可笑しいですね!!」
「悩み、聞きましょーか??」
「なんでも、ないんだよ?……夢見が悪かっただけだから!!」
わたしの育てた子たちには、自由に明るく生きてほしかったから、自由に発言させていた。わたしの授業のときだけ。
ダメなことかもしれないけれど、メリハリもつくし、いいかな?と思った。学園長からは強引だが、許可をもぎ取ってある。
でも、それが今の私には痛かった。
その気遣いが痛かった。思い出してしまうから。
――だって、亜美が殺されてしまったのは、周りに気遣いをしない人を注意しただけでなのだもの。
わたしはにへっと笑おうとした。笑えなかった。
教室内には、静寂が訪れた。
【 悪いことが色濃く出てきた夢には、わたしの珍しい瞳の色が、たくさん出てきたんだ 】
心臓の音が響いた。
黄色の、さらさらした砂の上に、わたしは立ってた。
塩の香りに。すこし、鉄の香りが混ざってたけど、信じられなかった。
砂はどろどろとした赤色の不思議な液体に染まっていく。
不思議だ。
足が固まって動かない。
不思議だ。
だれかが救急車を呼んでる。
不思議だ。
鉄の香りがする。
不思議だ。
キッチンで野菜を切る時に使う、危ないものが落ちてる。
不思議だ。
わたしの瞳の色が、おとうさんの口から、おかあさんの頭から、妹の体中から出ている。
ドクンドクン
心臓の鼓動が早まっていく。
こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
最後に鼓動が強く聞こえたとき、わたしは――――
大きく目を上げて、自嘲の笑みを浮かべると、呟いた。
(あぁ………………なんだ)
「悪い夢、か」
◇◇◇
勢いよく扉をあけると、わたしの黒色のポニーテールが反動で左右に揺れているのが目に入る。
そして続けて、呆れたような表情の生徒たちの顔が見えてくる。それに気づかないふりをして、足を進めた。
わたしの名前は夜桜杏。
わたしは教師だ。それも、特別な教科である、『魔法』の。
わたしは天才だった。
自分で言うのもあれだけど、魔法や勉強で困ったことは一度もない。のにも関わらず、学年一位を取り続けてた。
もちろんのことだけど、親には気味悪がれて、虐待されていたような、なかったような……。
あのころの記憶はあまりなく、妹――亜美が他殺されたのだけを覚えている。
亜美は優しかった。わたしに、さくらんぼのヘアピンをくれたのだから。
だから、だから、大嫌いだった。大嫌いだった?そんなことはない。大好きだった。
たまにわからなくなった。亜美のことが好きなのか、嫌いなのか。
そんな日には、悪夢を見るんだ。
記憶にはのこっていないけれど、とても嫌な夢なんだ。
でも、今日は記憶に残っていた。
なぜだか、残ってたんだ。
「先生ー!!今日の先生なんか可笑しいですね!!」
「悩み、聞きましょーか??」
「なんでも、ないんだよ?……夢見が悪かっただけだから!!」
わたしの育てた子たちには、自由に明るく生きてほしかったから、自由に発言させていた。わたしの授業のときだけ。
ダメなことかもしれないけれど、メリハリもつくし、いいかな?と思った。学園長からは強引だが、許可をもぎ取ってある。
でも、それが今の私には痛かった。
その気遣いが痛かった。思い出してしまうから。
――だって、亜美が殺されてしまったのは、周りに気遣いをしない人を注意しただけでなのだもの。
わたしはにへっと笑おうとした。笑えなかった。
教室内には、静寂が訪れた。
【 悪いことが色濃く出てきた夢には、わたしの珍しい瞳の色が、たくさん出てきたんだ 】
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